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僕が教師になる訳がない!

「これからよろしくねお兄ちゃん」

 彼女は最高の笑顔でとんでもないことを言った。

  ・・・

 取り敢えず玄関で立ち話もあれなのでリビングまで来てもらった。

「えーと、その、君が僕の妹なの?」

「むー、違うよお兄ちゃん!

君じゃなくてリンって呼んでよ!」

 しかめっ面で言われてしまったので言い直す。

「じゃあ、リンちゃん妹なの?」

「うん、そーだよリンがお兄ちゃんの妹だよ!」

今度は笑顔で答えてくれた、それにしてもこんなに小さい娘が妹なんて思ってなかった。

「リンちゃんは小学生?」

「リンは小学生四年生だよ」

 やっぱり小学生だったか、身長的にはそれぐらいなのかなーって思ってはいたけどまさか四年生だとは。

 「一条様、私達は一条原様に顔合わせをするように言われて来たのです」

 と、そばにいたメイドさんが説明をしてくれた。

 ん?なんでリンちゃんと一緒にメイドさんがうちに来ているのだろう、しかも僕より事情に詳しそうだし。

「ねぇ、リンちゃんなんで一緒にメイドさんがいるの?」

「あ、ごめんなさいお兄ちゃん、メイドはつれてこない方がよかった?」

 とても申し訳なさそうにこっちを見てくる。

「いや、別にダメじゃないんだけとなんで一緒なのかなーと」

「あ、このメイドはリンの専属のメイドなんだよ」

「よろしくお願いします、私はリン様専属のメイド、高城須原と申します」

「あ、どうも僕は一条龍太です

ねぇリンちゃん、もしかしてリンちゃんってお嬢様?」

「うん、お母さんはいっぱいお金を持ってるんだよー」

「お母さんの名前って何て言うの?」

「お母さんは栗原マリアって名前だよ」

 え、栗原マリアってあの超お金持ちの栗原グループの社長の名前じゃ。

「あのー、栗原ってあの栗原グループの?」

「はい、お嬢様のお母様は栗原グループの社長でございます」

 メイドさん、改めて高城さんが答えてくれた。

 まさか、自分の母親が栗原グループの社長の栗原マリアだったなんて知らなかった...

「それじゃ、自己紹介もすんだし行こうかお兄ちゃん」

「え、行くってどこへ?」

「なに言ってるのさお兄ちゃん、リンのおうちに決まってるじゃん」

「いや、決まってるじゃんって僕学校もあるしこの家を離れる気も無いんだけど」

「え、お兄ちゃん一緒に来てくれないの...」

「しょうがないですよ、龍太様にも事情がございますし、今すぐというのは無理がありすぎますよ」

「えーー!いーやーだー、お兄ちゃんがおうちに来てくれないんだったらリンもここに住むー!」

「お嬢様、それはいけませんよ、お母様も心配なされますし何より龍太様にご迷惑でしょう」

 んー、なにやら僕のことでもめちゃってるみたいだ、でも僕も高校生なので学校には行かなくてはいけないし、流石に今すぐ引っ越しもできないだろう。

「むー、じゃあお母さんに話すから電話を繋いで!」

「はい、かしこまりました...どうぞ」

「もしもし、お母さん、リンだけど...あ、お兄ちゃんの家にはしっかりとつけたよ」

 なにやらお母さんに電話を始めたみたいだ。

「でー、お兄ちゃんと一緒に住みたいんだけど学校があるからダメって言われちゃったのー、お母さんどうにかできない?...え、うんわかった、お兄ちゃんに代わりなさいって」

 僕の方に回ってきたようだ、でも久しぶりのお母さんとの会話か...緊張せずに話せるかな?

「もしもし、今代わりました一条龍太です」

『あ、龍太?久しぶりー、前にあったのは龍太が幼稚園の時だっけ?すっかり声が大人っぽくなっちゃって、元気にやってたみたいね』

「はい、お久しぶりですお母さん」

『そんなに固くしなくてもいいのよー、お母さんなんだから』

「う、うん、でもお母さんとしっかり話した記憶もあんまりないから緊張しちゃって」

『そうねー、ごめんねしっかりとお母さんできなくて、もっと龍太の事を見ていたかったんだけどねー、すぐに慣れろって言うのは無理かもしれないけどまた昔みたいに接してくれたらお母さんは嬉しいな』

「うん、お母さんの方にも色々理由があるんだろうし、僕も頑張ってみるよ」

『ありがとー、龍太』

「そう言えばリンとの話はどうなったの?」

『あー、それなんだけどねー

今家が持ってる学校には先生として就職しない?』

「ん?ごめんもう一回言ってくれない?」

『だから、家が持ってる学校に就職しないって言ったのよ』

「いやいやいや、なんでいきなり就職のはなしになってるの!?僕とリンが一緒に住むかって話でしょ?」

『え、だから家の学校に就職しないかって』

「いや、それがまずわからないから!

なんでリンと一緒に住むのに学校に就職しなくちゃいけないの?」

『だって、リンの話だと学校があるからリンと一緒にすめないんでしょ?だったら学校を辞めて家に就職すればいいのよ』

「なんでそんなに、当たり前のようにいってるの!?」

『だってそうでしょ?こうすれば学校もなくなるし就職先も決まるわよ』

 んー、まぁ確かに学校にもこれといって仲の良い友達だっている訳じゃないし正直いって行っても悪くは無いのだが、現実的にあり得なさすぎる。

「いや、でも僕は人に教えられるほど勉強はできる訳じゃないし」

『大丈夫よ、何にも問題ないわ』

「いや、教師になるんだったら教えられなきゃ困るでしょ!」

『んー、だから龍太でも絶対に教えられるから大丈夫なのよ』

 いや、僕でも絶対に教えられるって一体何を教えれば良いんだ?

日本語とか?

『それとも、龍太はリンと住むのは嫌だ?』

 リンを見れば少し心配そうにこっちを見ている。

「いや、別に嫌ではないけれど...」

『じゃあ、決まりね!

あとのことは須原に任せなさい、それじゃあ旅行が終わったらまた会いましょう!』

「あ、ちょっと、母さん!まだ決めた訳じゃ!」

 ツーツーツー

 電話は向こうから切られていた。

「で、どうだったお兄ちゃん!お母さんは何だって?」

「え、えーと、あははは」

「お嬢様、龍太様はお母様の学校に就職して一緒に住むことになったそうですよ、よかったですね」

「ちょ、なんでもう知ってるんですか!」

「メイドですから」

 いや、そんなにキメ顔で言われても。

「え!お兄ちゃん一緒に住めるの!ヤッター!」

 リンは大喜びで僕に抱きついてきた。

「うわ、リンいきなり抱きつかないで!」

「...........」

 ん?リンが固まっている。

うわ、顔が物凄く近い!

「ど、どうしたの?」

「や、やっと、お兄ちゃんがリンのことリンって呼んでくれた!」

 そう言って、より僕に抱きついてきた。

「うわ、ちょ、そんなに抱きつかれたら危ないって!」

 案の定僕はバランスを崩して椅子から倒れてしまう。

「うわ!...っ!大丈夫リン?」

「う、うん、大丈夫だよお兄ちゃん」

 そしてとっさにリンに体重をかけないように四つん這いみたいな格好をとったのでまるで僕がリンを押し倒したようになってしまった。

「うわ、ご、ごめん今すぐ退くから!」

「う、うん」

 僕はリンの上から飛び退くように退いた。

「お嬢様、龍太様、移動の準備が整いました」

 と、いつの間にか部屋から出ていたのかリビングの扉を開けながら高城さんが入ってきた。

 顔が赤くなっている僕とリンを不思議そうに見ながら。

「どうしたのですか、お二人とも顔が赤くなっていますが?」

「い、いや、なんでもないよ!」

「そうですか、なにもなかったのなら良いのですが」

 まだ、不思議そうだけど何とか納得はしてくれたようだ。

「それでは、移動の車が準備できましたのでそちらまでお願いします」

 あの短時間で車を準備したのか、いくらなんでも早すぎるだろ。

「メイドですから」

「今僕の心を読みましたよね!」

 またあのキメ顔をしていた。

本当に万能過ぎるよメイドさん。

「ありがとうございます」

「また読みましたね!」

 高城さん、本当にただのメイドなのかな?

 そんな疑問を抱えながら僕たちは車まで向かうのだった。

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