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カジノ・ロワイヤル(1967&2006)――比べていいのか? まあ……誰にも長所はある

 ほんと、すみませんと謝るしかないのだが、カジノ・ロワイヤルというとずっとデビッド・ニーヴンだろ? そしてウッディ・アレンじゃん? というイメージで今まで生きていました。

 新しい(?)カジノ・ロワイヤルを観て、ようやく気づく。

 なんだ、やっばりこっちがホンモノだったんだー、って。


 ショーン・コネリー主演の007シリーズに火がついてからずっと、そこまでではなかったものの、やっぱりジェームズ・ボンドは一通りチェックしていた。

 ところが、度重なる主役の交代に何となくついていけないものを感じてしまい、結局ネバーセイ・ネバーアゲイン(1983)で離れてしまった感が。

 ずっとボンド=コネリーという先入観があったのだろうね。


 それでも、他のボンドにもそれぞれの味があったとは思う。


 レーゼンビー主演の時は、うん、すごーく体当たり的だ、何となく照れてるところにとりあえず殴っちゃえ! みたいな。映画自体にもとりあえず突っ込んでいけ的な勢いがあって嫌いではなかった。もう少し続けてくれてもよかったのに。


 コネリー自身は、あまりボンドとしてのイメージ定着は望んでいなかったというのをよく聞く。当時(70年代後半か80年代始め)の映画雑誌にも、奥さんだったかパートナーだったかの談話に「帰宅して特に何も話もせず黙々と夕飯をかっこんでいる」みたいな姿で表現されていた記憶がある。

 記事にも「寡黙なスコットランドの男」といった姿で登場していたような。それを読んで、そうか、この人は『ボンド』という女好きで洗練された、しかし任務には実直で非情にもなれるという多面性のあるスパイをかなり意識して演じているのだろう、と感じ、俳優としてかなり興味を持ったものだった。


 ムーアはそこ行くと、ぱーっと開き直って明るいイメージがある。洗練されながらもどこかユーモラスという方向づけだったかな。しかし、シリーズの最初からずっと観ている人たちにとって混乱をきたすというものでもなかったのでは。

 彼の活躍によって、ボンドという『個性』に更なる可能性を拡げ、シリーズ映画としての可能性も更に拡がったのでは、と感じている。


 そんな中、シリーズとして認められていない、『鬼子』のカジノ・ロワイヤル(1967)があまりにもとんでもない出来だったので、急いで原作本を買って読んだことがあった。

 うん、やっぱりジミーなんて甥っ子は出て来なかった。よかった。


 映画カジノ・ロワイヤルは、オールスターキャスト、音楽はバート・バカラック、原作イアン・フレミングとあるものの、内容はまるっきり原作と異なり、スパイものというにはあまりにもグダグダ、コメディというにはあまりにもシュール、しかしなぜか忘れられない一作でありました(つい敬語)。

 とにかく、曲が良い。えっ、映画の中身は褒めないのか? うん、この曲にほとんど持っていかれてしまった感じはするね。聴いた事のない人は止めた方が良いかも。

 オープニングのあのオポンチな「♪カジノ・ロワイヤルに7人のジェームズ・ボンド」という歌声が唐突に流れ、続けて軽快なトランペットになだれ込み、曲が延々と脳内を浸食するという、絶対に麻薬並みの依存度を持つ一曲。

 ずっと後になって、なぜか筋肉少女帯もカバーしていてびっくり仰天した。やはり名曲なんだなーとつくづく思ったよ。

 ちなみにオープニングの美術もどこかシュールで大好きだった。文字装飾とかこまかく動くディテールとか。


 クレイグ主演の方を、ようやく観ることができたのがつい先日だったんですよ。


 新・真(?)カジノ・ロワイヤルのオープニングも凝ったアニメーションだったが、すぐに以前のオープニングを思い出してしまった。

 うーん、鬼子なる兄(作品)の影響なのだろうか? 


 そして再認識。

 こちらは原作にまあ忠実&現代風に味付けを変えていて、個人的にはいい感じでした。

 原作でのクライマックスとも言えた(?)拷問シーンとかシリーズお約束のラブシーンなども、現代風というのか、あまり生臭くないし。レイティングの問題なのか?

 ストーリーについては、うーんそんなものなのか? ってな悪の底浅い感じもちょっと感じてしまったけど、アクションは手に汗握るし、Mも悪役もボンドガールもそれぞれ適役かと思えたし、特にベネツィアでの建物が……の場面、深く印象に刻まれるものだったなあ。


 クレイグというキャスティング、公開前からかなり批判的な意見が多かったようだけど、カジノ……での演技や立ち居振る舞いを観ても、あまり違和感ない。確かに非情さが増してるし、スマートというよりは心の中で悪魔と天使が戦っていてめんどくさいので肉体で解決、というイメージもなきにしもあらず。

 しかし、今でも彼でシリーズが続いている、というのはやはりそれなりの『個性』がボンドに肉づけされ、更に幅を拡げることに成功した事例なのでは? と思ったよ。


 そして微妙に前作を引きずりながら、シリーズは進んでいくらしい。ちょっと時間ができたら、クレイグ=ボンドを追ってみようかなー、と思えたね。


 あ、ダルトンとブロズナン主演の作品については、えっと、ごめんたぶん観てないわ。評判そこそこに良いようなんだけどね……

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