1-4.級長
「ぷ――――――――っ!!!!!!」
今回は顔にぶつかることもなく、座り込んだ私の膝の上でぷかぷか浮かぶ。
なぜか必死な様子で、忙しなく私を見て回った後、ぽろぽろと涙を零した。
「ぷー! ぷー!」
この魔獣、泣くのか。
ということは、野苺不足で悲しそうに見えたのは気のせいではなかったらしい。
目が潤めば、自然とそう見える。
「なんだ、ぷー。そんなに騒いで」
「ぷー! ぷーっっ!!」
呆れた様子の黒の級長に振り返ると、そのまま体当たりを繰り返し、その間も涙は止まらない。
あれは体内のどこから出てるのか。口から入った物をきちんと消化しているのか。
魔獣は普通の動物と同じ構造なのかそうでないのか、その辺りから調べないと分からないことだろう。
そんなことを思っていると、いつまでも体当たりをされていることに疑問を感じたらしい黒の級長は、ようやく魔獣の動きに注視したらしい。
泣いたりぶつかったり忙しないけど、何を言いたいんだろう。
「ぷー、ぷー……」
黒の級長が自分を見たことに気付いた魔獣は、なぜかそのまま私の周りをぐるぐる回る。
薄暗い中私を中心に回られると、なんだか衛星のように感じられた。
「……貴様、何だその手は」
「え?」
手……そういえば。
言われて見てみると、両手首が不思議な方向に曲がっている。多分足首も同じ。
あと、謎のぶつぶつも出来てる。あの棘からはやっぱり、変な魔力が流れてたのかもしれない。
「さっきの人が拘束してたので」
「何故早く言わん!」
「忘れてました」
「そんな状態で忘れる馬鹿がおるかっ!」
骨が折れたと思った時から触覚を完全に閉じていて、奥の痛みはずっと続いていたせいで慣れ始めている。
痛みに強いつもりでいたけど、まさかここまでだったとは。
「他は何処だ」
「足首、だと思います」
「ええい、貴様っ! 自分の事なのに何故そんな調子なのだ!?」
「慣れてるので」
「そんな訳あると思っておるのか!
怪我をしているのなら帰さなかったものを……ぷー、電気を付けてこい」
「ぷーっ!」
その言葉にひゅんと飛び去って行ったかと思うと、すぐに天井が眩しくなった。
そりゃ、級長の部屋といっても元は学校の施設、電気があって当たり前だ。
すっかり蝋燭に慣れて忘れていた。
ぼんやりとそれを見上げていると、両脇の下から腕が入れられ、そのまま床をずるずると後退し始める。
ちらちらと入る黒いローブと黒い影で、黒の級長が引きずっているのだと分かった。
「自分で動きますよ?」
「そんな足で動けるものか! 貴様はおとなしく引きずられていろ!」
「はぁ……」
黒の級長は非力らしい。
無属性のクラスはほとんどが肉体操作を覚えているから、大抵が力持ちだ。
その感覚でいると男子でこの腕力は新鮮で、そして申し訳ない気分がするし、周りをぷかぷかと落ち着きなく動く魔獣にも、騒がせて悪い気がする。
狭い通路から机の周りに辿りつくと、壁を背に座らせられ、お腹の前に魔獣が納まった。
クッションを抱えているようでなんだか気持ちよく、息と共に力を抜く。
「完全に折れているな……治癒魔術でよいか?」
「はい、大丈夫です」
答えると、黒の級長の手が手首に触れ、そこから魔力が流れ込み始めた。
治癒魔術は向き不向きがあり、魔力持ちであっても効果が薄い場合がある。
魔力を持たない相手にはそもそも、治癒魔術を使うことすら禁じられている。
……あれ? この人、黒の級長なのに……
「なんで治癒魔術が使えるんですか?」
治癒魔術は一般的なイメージ通り、光属性。
黒の級長は闇属性の魔力持ちのはず。
もはや真逆の属性なのに、なんで使えているんだろう?
「一年生ということを除いても、貴様は魔力に関しての知識が乏しいな」
「授業では無属性の肉体操作についてしか習っていませんので」
「なんということだ……カリキュラムを変更すべきだ」
そう言っているうちに右手首の傷が塞がり、痛みが無くなった。
骨折、裂傷、魔力汚染をこんな短時間で治せるというのは、よっぽどの使い手……だったはず。
そのまま左手首に触れるとまた、同じように魔力が流される。
「人間の持つ魔力という物は、誰であっても無色である」
「……無色?」
「それに、属性という色をつけて体外に出せるか否か。それが第一の分岐だ」
「出せないのが無属性、ですか?」
「左様。そして無色の魔力に色を付けるのにも、自然に色付く属性と、操作により色付く属性とがある。
これが第二の分岐。無意識で自然に色付く属性が、その者の持つ属性だ。
我輩はそれが黒、闇属性が強く出ている。
しかし、操作により色付けるのならば、全ての属性を扱える」
左手首から足首へ。思った通り、不思議な方向に折れ曲がっている。
両手は正常な形に戻り、触覚を戻してもなんの痛みも感じられなかった。
「故に、闇属性より効率は悪いが光であろうと何であろうと魔力を染め、それに属した効果を得られるのだ」
初めて聞かされた魔力についての話は、それが正しいのか間違っているのかの判断さえ付かない。
けどこんな状況で、こんな立場の人が、わざわざ間違ったことを教えることもないだろう。
私はてっきり、人にはそれぞれ持った属性があって、それにより分けられてるんだと思っていた。
言われてみれば、じゃあなんで他の属性の人は無属性を使えるんだ、って疑問が浮かばなかったのがおかしい。
疑問がすっきりした頃には、黒の級長の治癒魔術も終わっていた。
両手両足、いつも通りの動きだ。
「ぷ?」
「終わった。もう大丈夫だ」
「ぷー!」
私の身体にぴったり寄り添っていた魔獣がぴくりと動き、黒の級長の言葉にキョロキョロと見回してから嬉しそうな声を上げた。
ぐいぐいと身体を押し付けられ、ふかふかして気持ちいい。
せっかく治ったからと手で撫でてみると、おとなしくされるがままにしてくれる。
「あまり無茶をしてくれるな。ぷーの寿命が縮んだらどうしてくれる」
「魔獣に寿命があるんですか?」
「……ただの比喩だ」
むっとした様子の黒の級長は自分の椅子に腰掛け、深い深いため息をつく。
そりゃ、あんなストーカー気質の人に迫られればそうなるか。
偉い人は偉い人で、大変なことも多いのかもしれない。
「ぷ、ぷ」
「はい、どうしました」
「ぷ?」
まだ少し瞳を潤ませたまま身体を傾げられると、人が首を傾げている様に見える。
人がそのような行動をする時は大抵、疑問や質問がある時だろう。
魔獣にされる質問……なんだろう。
「野苺ですか?」
「ぷー」
「お菓子ですか?」
「ぷー」
「お散歩ですか?」
「ぷー」
どれも違うらしい。好きそうな物を言い並べただけだけど。
半月ほど毎日通っているとはいえ、来て野苺を食べるのを見て帰るだけだから、そこまで意思疎通はしていないはずだ。
いや、そもそも意思疎通の方法が分からない。
「……身体の具合は大丈夫か、であろう」
「え?」
「我輩とぷーは魔力によってつながっている。多少の考えは伝わるものだ」
黒の級長の言葉に、魔獣はうんうんと頷くような仕草をする。
本当に、人間らしい行動だ。
「……心配、してくれたんですか?」
「ぷー!」
当たり前だ、と言わんばかりに頷かれ、その次の言葉が出てこない。
心配……心配、か。
遠い記憶にしかないその言葉が出てきたのは、なぜかは分からない。
けど、魔獣は確かに、私の心配をしてくれているらしい。
「大丈夫ですよ。黒の級長さんが治してくれましたから」
「ぷ!」
「……そいつなりに、後悔しているらしい。貴様を一人置いたことを」
「私が隠れてくださいと言いましたから、そんな必要ありません」
「結果、貴様は一人怪我を負った」
だからと言って、魔獣がいたところで状況が変わったかは疑問だし、黒の級長の隠したいことが露見していた。
そう考えれば、私の行動も魔獣の行動も間違っていない。
そう言葉にすると、小さく息を吐かれた。
「それでも、そう断じるには大きすぎる事件だったということだ。
ぷー、こっちに来い。少々魔力を使いすぎた」
魔獣は魔力の貯蔵庫の役割が大きい。
愛玩動物と思っていたけど、働く時はきちんと働くようだ。
にしても、真っ黒なローブを被った青年が、灰桃色のもこもこを抱きかかえる光景はなかなかに貴重だ。
そうだ、黒の級長に聞くことがあるんだった。
「黒の級長さん」
「なんだ?」
「魔獣のことなんですが。名前で呼んで欲しいそうなので、呼んでもいいですか?」
「ぷーがそう言うなら、好きにするがよい。
ついでにその、黒の級長、というのも改めぬか」
改めろと言われても……黒の級長は黒の級長なんだから、それでいいんじゃないのか。
そこまで考えて、魔獣の件を思い出した。
魔獣だから魔獣さんと呼ばれるのは嫌だと。
という事は、黒の級長も同じなのだろうか。
種族ではなく役職なんだから、少し違う気はしたけど。
「級長さん?」
「その呼び名はあと六名居るな」
「若様?」
「貴様は我が一族の者か?」
「違います」
こんな魔力を持つ親戚なんて聞いたことがない。
これも駄目ならなんと呼べばいいのか。
本人の種族でも役職でもなく、他人の私が呼んでも問題ない呼称……。
「……我輩さま?」
「む?」
「黒の級長さんは、自分のことを我輩と言っているので」
「貴様、普通名前で呼ぼうと思わぬのか?」
「名前、知りません」
私にとってはごく当たり前のことを言っただけなのに、唖然としている。
口をぽかんと開けたまましばし固まったと思ったら、次第に口の端がつりあがっていった。
「……くっ、ははっ、はっはっは! なるほど、その通りだ!
ではその呼び名を許そう、小娘め」
心底愉快だと言わんばかりに笑い、腕の中の魔獣も楽しそうだ。
なぜだ。笑われる意味が分からない。
「はっは……そうだな、そうだ。小娘よ、お前に一つ命を与えよう」
「いりません」
「そう言うな。小娘を、我輩の補助役に任命する」
補助役?
聞き覚えのない役目に首を傾げると、最後の一笑いを出し切った黒の級長が続ける。
「各色の級長には、補助役を指名する権利がある。補助役というのは謂わば雑用係だ。
級長はそれ相応の仕事を抱え、一人で全て行うには手がかかりすぎるからな」
名案だとばかりに言ってるけど、私は受けるなんて一言も言ってない。
そんな面倒な役割に納まりたくもない。
私はただ、平和に平穏に平均的に生活したいんだ。
「受けるというならば、小娘にかけた呪いを解いてやろう」
「それは、野苺運びが終われば解くという約束でした」
「では、最初にかけた物にしよう」
最初というと、廊下で毛皮を渡した時のことか。
額に指を置かれ、言葉をかけられた、だけ。
「あれはただのはったりでしょう」
「ふむ。
大抵の生徒はあれで恐れるものなのだが……小娘は魔力を感知する能力が高いのやもしれぬ」
「ですから、お断りします」
「まあ待て。利点を教えてやろう。まず、補助役になれば内申点は跳ね上がる」
「……」
「全校生徒の中に級長は七名、補助役も七名。
故に学園からの評価は上がり、卒業後の縁も得られる立場はそうあるものではない」
確かに各色のトップに選ばれたとなれば、普通の学校で言う生徒会役員のようなものだろう。
そうなれば、相応に評価はされるはずだ。興味は無いけど。
「帰りが遅くなると、夕飯が食べられなくなります」
「そんな気などいらぬ。
校内の仕事で遅れるのに、罰のような目にあう筈もない」
「宿題があります」
「小娘は宿題に追われるほどに低脳と言うか?」
「……いえ」
「ならば問題あるまい」
黒の級長にとって、もはや決定事項なのかもしれない。
私が何を言おうと、こうやって何かしら言い返してくるだろう。
反抗は難しい気がしてきた。
「なぜ、私なんですか?
同じ色の組の人のほうが、なにかと便利だと思います」
この学園は、一年生で決まった組分けが卒業まで適用される。
人はそうそう変われないと言うか、魔力の量や使い方はなかなか変わらないもので、ならばいっそ同じでいいということらしい。
だから、黒の級長は三年生で、二年間同じ組で生活してきた人たちが居る。
ならばそこから選ぶほうが、よっぽど自然だ。
「…………我輩の組、黒は血を重視している」
「はぁ……」
「故に、我輩に対する奴らの態度は、クラスメイトのそれではない」
眉を寄せ、抱えていた魔獣を軽く放ると、机に両肘を突いて指を組み合わせた。
「奴らは我輩を、崇拝している。先程の女を見たであろう?
そんな者に補助役など命じられるものか。
すぐさま騒動になり、強い選民意識が植え付けられる。
そんな下らぬ事態を起こしたい筈もない」
黒の級長は、名のある家の生まれなのか。
そうでなければ級長になることも難しいのかもしれないし、ここまで偉そうな態度をすることもできないだろう。
「そして何より……こやつだ」
ぷかぷか浮かぶ魔獣を指差すと、その指にぽいんと軽く体当たりをした。
柔らかい毛に指が埋まり、慣性に従って跳ね返る。
「ぷーを知っているのは、小娘だけだ。
他の者はプラズマしか知らぬし、知られぬよう配慮してきた。
それを、黒の者に知られるわけにはいかぬ。
かといって、この部屋の中でまでぷーに毛皮を纏わせるのも難儀だ」
黒い毛皮を被っている時がプラズマ。
灰桃色の毛皮のままの時がぷー。
黒い毛皮は結構窮屈に感じていたように思う。
この部屋以外ではずっと被っているんだから、ここでだけは開放してあげたいのだろう。
でないときっと、勝手に外で脱ぎだしそうだ。
「こやつは人を選好みする。それに小娘は適った。むしろ、よく懐いている。
それが理由の大半だ」
ふうと一息つき、どうだとばかりに私を見てくる。
どうだと言われても……。
確かに分かる。黒の組の理由も、魔獣の理由も、納得できる。
でもそれと同じくらい、自分の都合もある。
何かを決めるのは、苦手だ。
出来ることなら、緩やかに流されたい。
でもこれは急流に流されるようなものだ、平和で平穏で平均的とは言いがたい。
「ぷ……」
俯いていた顔を上げると、すぐ目の前に魔獣が居た。
灰桃色の身体をゆらゆら揺らし、不安そうな目をしている。
ふわふわで、もこもこで、あったかくて……可愛い。
久々にそんな感情が湧いた相手。
そして何より……私のことを心配してくれた。
そんな存在と一緒ならば……流されるのも、悪くはないかもしれない。
「……私はあまり、有能ではないかもしれません」
「構わぬ」
「……卒業までですね?」
「左様」
「分かりました。よろしくお願いします」
床に座り込んだままでは格好が付かないから、きちんと立ち、頭を下げた。
真っ黒な机に影が落ち、今日は眩しいくらいに電気が付いていることを思い出す。
完璧なまでに黒く暗くしていた部屋を、私の怪我に気付いてすぐ明るくしてくれた。
もしかしたらこの人も、偉そうで怖そうなだけの人じゃないのかもしれない。
「では、職員室へ向かう。手足に違和感はないか」
「はい、大丈夫です」
「うむ、行くぞ」
立ち上がり、魔獣に毛皮を被せながら職員室へ魔力を飛ばしている。
いつもは不満気に被るのに、今日は逃げることなく協力的で、すぐに身支度が終わったようだ。
揃って扉を出て、電気と蝋燭を消して鍵をかける。
半月の間に一度もなかった行動だ。
黒の級長は私と違って最短距離で職員室に向かい、普段の半分以下の時間で辿り着いた。
引き戸を開けてすぐに現れたのは私の上履きを洗ってくれた先生で、そのまま奥の応接室へと通される。
小さい部屋なのに、しっかりした扉に高級そうな家具が並んでいて、職員室の実用一辺倒なものとは正反対だ。
変に緊張してしまう私をよそに、黒の級長は極々自然に椅子に腰掛けたので、恐る恐る隣に座った。
「やっと補助役を決めてくれたんだね、安心したよ」
「うむ、ようやく我輩に見合う者を見つけた」
「君はこの間の……無属性の生徒か」
正面に座る先生は私を見て一瞬、苦い表情をした。
差別はしないが区別はする。
それはこの先生もなのかもしれない。
「僕が言う事ではないかもしれないけど、君の家の人には、気を配って。
彼女に何も起こらないよう、気をつけてね」
「……分かっておる」
なんだか、違うらしい。
黒の級長の家の人……さっき一族とか若様とか言ってたから、名のある家の中でも偉い地位の人なんだろう。
そんな人に、無属性の人間が就けば異を唱える人も居そうだ。
さっきの女子生徒のような過激派も居ないとは限らない。
私自身、注意して生活するべきなんだろう。
「じゃあ、契約をしよう。
君がこのバッジの石に魔力を込めてから、彼女に渡し、任命を」
机の上に出されたのは艶やかな布張りの小さな箱で、中には真っ白なクッションに小さなくぼみがいくつも開いている。
その中で端にぽつんと一つ、透明な石の付いたバッジがはまっていた。
それを指でつまんで瞬時に魔力を移し、私に差し出される。
「手を開き、じっとしていろ」
言われた通りに手の平を上に差し出すと、その上にバッジが押し当てられ、魔力がにじみ出る。
純度の高い魔力が手の平から身体に流れ込み、ぞわりとした時、口を開いた。
「”黒峰十夜は、音無弥代子を補助役に任命する”」
魔力のこもった言葉が聞こえると共に、身体に流れていた魔力がするりと抜け出し、バッジの中へと戻っていった。
若干の喪失感はすぐに霧散したけど、離れていくバッジをぼうっと見ていた。
「これでよいか?」
「ああ、さすが完璧だ。彼女のほうも……大丈夫そうだね。
たまに魔力の相性が合わないことがあるんだけど、無属性が幸いしたのかな」
「先程、我輩の魔力を大量に注いでいるからな。合わぬはずも無い」
よく分からない会話が続き、その間に私は頭に引っかかったことを考えることにした。
くろみねとおや。黒峰。
どこかで聞いたことのある苗字だけど、知人に居たようには思えない。
けど、確実に耳にしたことがある。けど、分からない。
聞き流していた会話にその答えが出たのは、席を立つ直前だった。
「闇属性の本家ともなれば、諍いも多いと思う。何かあったら黒峰君や先生に言うんだよ?」
黒峰。聞き覚えがあって当然だ。
火の赤山。
水の青川。
木の緑原。
土の茶壁。
光の白空。
闇の黒峰。
入学して一番最初に習う歴史の授業。
遥か昔の魔力が発見された時代から続く、それぞれの属性の始祖。
脈々と続く尊い血筋の代表格。
闇の黒峰。
ローブのフードを脱いだ姿は、真っ黒の髪に紫色の虹彩を持つ目。
黒の級長は、純血を持つ人だった。