表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
砦のワルツ  作者: ゆう
3/5

第2話 『トンネル』

第2話 『トンネル』


ユウト達の乗る車は完全に包囲されていた。


頼みの綱だったタケこそが日本政府の犬だったのである。



-2週間前-


元々年金暮らしの親と生活していたニートでゲーマーのタケは、とある広告を目にした。


タケ『あなたの情報買い取ります…?』


それは新聞にそれとなく掲載されていた政府の広告だった。


内容は

『あなたの身の回りにもテロリストは潜んでいます。あなたの情報が日本国にとって有益であった場合、その内容に応じて100万〜33億円の報酬が支払われます。』


タケはこの時、明美から例の計画の仲間に入らないかと誘われていた。


もちろんタケ自身もエリア4からゲーマー友達のいるエリア5へ行きたいと考えていた。


タケにとってゲームこそがリアル。

ゲームのない人生などオッズ倍率1の競馬のようなものである。


そんなタケは仲間のいるエリア5でゲーマーとしての腕を見せつけたい人がいた。


しかし、当面の金もないニートのタケは、この広告に記載された政府の秘匿番号へかけたのである。


タケ『あの…。テロリストの情報があるんですが…』




-2015年7月1日 AM 08:30-


依然として状況は好ましく無かった。


ユウト達の乗る車は無数の警官に包囲されている。


ユウト『明美』


明美『ごめん』


ユウト『いや、あいつが裏切るかもしれないとは思っていた』


明美『え?』


ユウト『それより問題は他にある』


志穂&明美『???』


ユウト『なぜ奴らは何も言ってこない?なにもしてこない?』


明美『あっ…』


ユウト『そう。奴らは俺たちの事をテロリストだと思っている』


ユウト『手を出せばどこかに仕掛けたミサイルのスイッチを押すんじゃないかって。某国みたいに核ミサイルを撃つ可能性が捨て切れていないんだ』


志穂『テロリストと聞いてイメージするものと言えば今はそれだもんね』


ユウト『囲まれたのは迂闊だったが、テロリストだと思われているならその方が好都合』


ユウト『打開策がある』


ユウトは2人に作戦を告げた。


志穂『なるほど、それならいけるかもね』


明美『さすがエリア4健全育成機関の候補生♪』


こんな状況でも明美はニヤニヤしている。


ユウト『今はテロリスト…だ』


ユウトは明美から拡声器を受け取る。


ユウト『お集まりの警官のみなさーん!』


ユウト『我々はテロリストである!』


ユウト『これより我々はエリア5へのゲートへミサイルを発射する』


ユウト『我々の離れた場所にいる仲間が常に監視している』


ユウト『少しでも我々に近づくことがあればすぐに発射するようになっているので、みなさんは動かないように!』


ユウト『よし、発煙筒だ』


その声と同時に明美がドアの隙間から発煙筒を地面に置いた。


あからさまな量の煙が車を包みこむ。


ユウト『まだだぞ』


ユウトが自慢の愛車、ジープの床を開けた。


そう、米軍に憧れていたユウトはジープを改造し様々な機能を付け加えていた。


その中の一つが床下へ出られるハッチである。


ユウト『風が止まった、今だ!』


掛け声とともに3人はジープ下のマンホールへと降りた。


ユウトの警戒心の強さによりジープは万が一の逃げ道のある場所に停車させていた。


3人がマンホールへと降りる様を警官達は発煙筒の弱い煙でも見ることは不可能であった。


フルスモークの改造ジープに発煙筒、さらに反対側には膝の高さほどの垣根がある。


ユウトはこの場所にあらかじめ停めていたのである。


さらに先ほどのテロリスト宣言。


安月給で雇われた国家の犬は瞬く間に戦意喪失である。


こうして3人はくらい配管の中を進んだ。


そう、ひたすら南を目指して。



第2話 『トンネル』完

第3話 『出会い』へ続く


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ