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砦のワルツ  作者: ゆう
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第0話 『夜明け』

第0話 『夜明け』



-2015年7月1日 AM 06:00-


『ジリリリッ』


安っぽい目覚まし時計の音でユウトは目を覚ました。


ユウト『まだ…寝て…』


薄暗い部屋で目覚まし時計を探す。


ユウト『まだ…6時…。』


ユウト『6時‼︎』


そう、この青年こそ世界を救うべき主人公、旗影ユウトである。


遡ること2ヶ月前、5月7日。

政府により実施された【緊急鎖国政策】により日本は世界に対し実質的な鎖国状態となっていた。


今年に入り過激化して来た某国のテロ行為に対し日本政府としての最善の対処として、現総理大臣 阿藤学を始め与党、野党共にこの政策決定に異論は無かった。


しかし、国民からはGDP低下や国内自給率の問題、実質的なグローバル社会においてのあまりにも古い政策との非難の声も多く、日本国内は戦後最悪の事態となっていた。


旗影ユウトも影響を受けた一人である。


鎖国状態のため、国外に旅行中の家族も帰国出来ず、政府はあらゆる権限を使い、インターネットやクラウドサービスへのアクセス、衛星通信等を全て規制していて、ユウトは家族とも連絡を取れずにいたのである。


-2015年7月1日 AM 06:15-


ユウト『やばいっ、やばいやばい』


ユウトにとってこの日はとても大切な日であった。


-2015年7月1日 AM 06:32-


?『まーだ寝ぼけてんのー?』


ユウトの運転する車は首都高を抜けエリア5へのバイパスを進んでいる。


ユウト『昨日はいろいろ考えて眠れなかったんだよ』


?『ふーん…。いろいろって?』


ユウト『だから、その…、例のプログラムとか』


?『あれはもう万全だって明美が』


ユウト『でも…。でも、もし失敗したら反逆罪に問われるんだぞ?』


?『分かってる。それでも私たちにもう他に道は無いの』


ユウト『………だな』


車内に広がる沈黙。


-2015年7月1日 AM 06:49-


ユウトが口火を切る。


ユウト『ところで志穂は荷物それだけか?』


志穂『うん。検閲で引っかかるかもしれないし』


ユウト『エリア5は検閲項目多いって話だしな』


志穂『…だから家族の写真も置いて来た…。』


ユウト『テロ組織に対する人質規制法……か…』


志穂『うん…。私のお父さんみたいに日本の国税で生きてる公務員が人質に取られた場合は公務員の命を最優先に国は全力を上げるっていう法律…』


志穂『私は公務員の娘、通称子犬。』


ユウト『国に飼われてる犬の子供で子犬か。これじゃ日本もテロを仕掛けてきてた某国と同じだな…』


志穂『私はお父さんとは違う。自分の力でこの国と戦う』


その目には悲しみとも決意ともとれる涙が光る。


ユウト『俺も…。無理かもだけど…』


志穂『ユウトは候補生なんだから…。きっとこの街を救える。(……そしてあの人も)』


ユウト『…。』


車はバイパスを抜け、エリア5センターゲートへ向かう。



第0話 『夜明け』完

第1話 『裏切り』へ続く

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