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第5話:もやっとしたもの

お・ひ・さ・し・ぶ・り・で・す。


とにかく続きを書きました。

書く能力が落ちてる?いえいえ。元からです。

「好きな人はいるんだよ?」


悠の言葉が頭から離れない。

生返事をしたような気がするが、身体は動かない。


「どうかした?」


悠が、固まったままの私に声をかけてきた。

悠のほうもいつの間にか食べ終えていたらしく、台所にいる私の横で食器を洗い始めていた。


「ぺつに・・・。好きということは、ヘテロセクシャル(異性愛)のことか?これとも。」

「うん。ヘテロのことだから、それ以外は違うから。」


自分の心のもやっとしたものを紛らわすように話を変えようとするが、悠に阻まれてしまった。

そして、そうかヘテロなのかと、特に深い意味もなく頷く私をみて悠は笑う。


「ふふふ。他に聞きたいことはない?」

「聞きたいこと?・・・人を好きになるってどんな感じなんだ?」

「えっと・・・まさかそこが来るとはね。」


私が言った言葉に引きつった顔を見せながら、その人のことしか考えられなくなるんだよ~とか、楓にはまだ早いかなぁ~とか、若干バカにしたような返答をもらった。


「他には聞きたいこととかないわけ?」

「別にない。そもそもどうして私が悠の好きな人のことを知らなくちゃいけない?いや、知りたいと思わなかったというのは嘘になる。でもそれは、小姑だから当たり前のことだろう?」

「素直じゃないよね。楓ちゃん。」


私の答えに悠はため息をつきながら言った。

どこが素直じゃないのだろう?今ある自分の心のなかを言ったまでじゃないか。

いや・・・・心の奥底にある答えではないことは確かだが。

その言葉を言えば、今ある関係が崩れそうで怖いのだ。だが、どうして怖いと思うのかが私にはまだわからなかった。もしかしたらまだ、気づきたくないのかもしれなかった。



私は台所から離れ、リビングのほうへと移動。そして布状でできたソファへと座った。

この布ソファは肌触りがよく、私のお気に入りだ。

そのソファの上で膝を抱え、電源のついていないテレビをぼーと眺めた。


「悠・・・どうして私は小姑になろうと思ったんだっけ?」

「どうしてって・・・楓ちゃんが始めたことじゃないか。いつだったっけ?あ、小学生のときだよ。いきなり言い始めたときは驚いたよ。」


なつかしいなぁ~と悠は笑う。

懐かしい思い出だっただろうか?思い出してそれが、苦い思い出だったことに気づき顔を膝に押し付けた。

今の私の表情は、どんなやつにも見せられない醜い顔をしているに違いない。だからそんな顔を悠に見せるなんてもってのほかだったからだ。

私は強い子、泣かない偉い子、泣いちゃダメ。

それを心の中で唱える。


「楓ちゃんはさ・・・。なんでもかんでも一人で背負って一人で傷ついて諦めちゃうんだよね。僕がそばにいるのにさ。」


私が座っているソファが軋んだ。隣に悠が座ったのだろう。

悠の言葉の意味を頭の中で考える。

そして頭を振った。


「背負ってないし、傷ついてないし、諦めてもない。悠は確かにいつも傍にいてくれた。だから私は、悠に頼りっぱなしだったんだ。だから、私は小姑になった。」


膝に頭を埋めているため、声はくぐもって聞こえるだろう。

それでも、私は顔を上げない。今あげると、さっきよりももっと醜い顔を見られることになるのだ。

泣きそうな顔なんて見せるわけにはいかない。


「話の内容が途中でぶっ飛んでるよ。もしかして隠してるつもりだった?」

「何を?」


話の内容を途中で省略したのは認めよう。

だがしかし、いったい何を知ってるというのだ?


「小学校のことから、いじめられてること。それ隠してるつもりだったでしょう?」

「!!!??」


がばっと顔を上げ悠を見る私に、悠は微笑んでいた。

私は悠の言った通り、小学校のころからいじめられている。現在進行形でだ。

高校に入ってからは少なくなった嫌がらせに少し安堵していたというのに、コイツは気付いていたんだと。わたしが、わたしが、隠していたことを。


「気付かないほうが可笑しいって。しかもそのいじめの原因って僕でしょう?黙って見ててごめんね?ちょっと事情があって助けられなかったんだ。」


いじめの原因を知っていると。しかも黙ってみていたと。しかもしかも、事情があったと。

それなら仕方ないかぁ~・・・で、許せるほど私の心の閾値はとうに超えていた。


「事情って何?」

「う~ん。今なら言えるかも、僕もう18歳でしょ?それに楓ももうすぐで18歳。」

「だから?」


何を言い出すかと思えば、年齢のこと。

確かに、悠はこの前18歳になった。プレゼントとして万年筆といって凝ったもの挙げてみたのは余談だが、今この話にどう関係しているのかがわからない。


「だから。えっと~・・・楓ちゃん!」


名前を呼ばれ顔をしかめる私を悠は抱きしめてきた。

いきなりの抱擁に驚きつつ頭は真っ白になりつつ、なんとか意識を保った私に悠は追い打ちをかけてきた。


「結婚してください。」

「!?」


何がどうしてそうなった?

誰に説明を求めればいいのだろうか?悠にか?本人にか?

もしかしたら、この言葉に深い意味はないのかもしれない。ただ言ってみただけとか?

ぐるぐるといろんな考えが浮かんだが、やがて思考を停止する私がいた。




誰でもいい。どうか私に説明をしてください。

しりあす・・・ですけど。

え?違う?

心を広く持ちましょう・・・すみません。

と、とにかく次回はきっとハッピーエンドなんだ!

小姑になった意味とか。きっと次回で・・・。

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