最終話 哀しき魔女
最終話です。
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます。
それぞれの想いが交差し、この物語も一つの結末を迎えます。
最後まで見届けていただけると嬉しいです。
マリアは、静かに頭を下げた。
「……すまぬ」
ダンテは、何も言わずにその言葉を受け止める。
「私は……何もできなかった」
かすかに震える声。
ダンテは、小さく首を振った。
「……母は」
一度、言葉を切る。
「貴方に、救われたと思う...」
マリアの肩が、わずかに揺れた。
「私は...お前の言葉で……救われた気がする」
マリアがつぶやく。
「....あの子をあんな目に遭わせた、この国を許さない」
やがて、ゆっくりと立ち上がる。
腰に差していた剣を抜き、ダンテへと差し出した。
「――受け取れ」
「……え?」
「聖剣だ」
淡々とした声。
「本来は、勇者の証だが……今の私には、不要だ」
ダンテは、戸惑いながらそれを見つめる。
「これからは、お前が守れ」
「……何を?」
マリアは、森の奥へと視線を向けた。
「……あの墓を」
静かな声だった。
ダンテは、剣を握りしめる。
「……貴方は、どうするんだ」
問いに、マリアは振り返らなかった。
ただ、短く答える。
「決まっている」
その声に、迷いはなかった。
「国王を討つ」
――それから、半年後。
王城は、民衆と勇者によって陥落した。
王と、その取り巻きは討たれ。
長く続いた闇は、終わりを迎えた。
やがて、新たな王が立つ。
穏健派として知られる、公爵の男だった。
国は少しずつ変わり、
長い年月をかけて、穏やかな時代を迎えることになる。
――そして。
夜の森に、一人の男が立っていた。
ダンテは、静かに墓の前に膝をつく。
手には、聖剣。
「……母さん」
風が、木々を揺らす。
どこかで、梟の声が響いた。
それはもう、
恐ろしいものではなかった。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
この物語は「救えなかったもの」と「それでも残った想い」を描いた作品でした。
ダンテ、マリア、そして魔女――それぞれにとっての結末が、少しでも心に残れば嬉しいです。
短い物語ではありましたが、お付き合いいただき本当にありがとうございました。
感想やコメントも、とても励みになっています。
また次の作品でお会いできれば嬉しいです。




