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第3話 勇者マリア

第3話です。


ここから物語の核心に触れていきます。

これまでの違和感や出来事が、少しずつ繋がっていく回になります。


重い内容にはなりますが、この物語の大切な部分でもありますので、最後まで読んでいただけると嬉しいです。

魔女は、手際よくダンテの傷を縛りながら、静かに口を開いた。


「……私は、元勇者マリアだ」


「……えっ?」


ダンテは、息を呑む。


「勇者マリアは……この森で死んだって……」


「あれは、二十年近く前の話だ」


淡々とした声だった。


だが、その奥には、消えない何かがあった。


「私は国王の命で、この森――当時は“魔の森”と呼ばれていた場所に、“災厄の魔女”の討伐に向かった」


「現れた魔女は……魔王並みに強かった」


一瞬、手が止まる。


「……だが、勝った」


ダンテは、思わず息を詰めた。


「そして、首を刎ねようとした、その時だ」


マリアの声が、わずかに揺れる。


「……“ありがとう”と、言われた」


静寂が落ちる。


「私は、剣を止めた」


「……どういうことだ」


ダンテの声は、かすれていた。


マリアは、遠くを見るように目を細める。


「魔女は……こう言った」


ゆっくりと、言葉をなぞる。


「“私は、元はただの冒険者だった”と」


「この森の近くで、王国の騎士団に捕まった」


「そして――」


マリアの指先が、わずかに震える。


「“最強になりたくはないか”と、問われたそうだ」


「当然、拒んだ」


「だが……」


一度、息を吐く。


「魔王の細胞とやらを、無理やり身体に埋め込まれた」


ダンテの目が見開かれる。


「身体が焼けるように熱くなり、意識が遠のく中――」


「気づいた時には」


「縛られていたはずのロープを、自分で断ち切っていたそうだ」


声が、低くなる。


「……あとは、覚えていない、と」


「だが――」


マリアの視線が、地面に落ちる。


「周囲にいた騎士も、研究者も」


「……全員、切り刻まれていた」


重い沈黙。


「魔女は、そのまま森の奥へと逃げ込んだ」


「それが――“夜梟の魔女”の始まりだ」


ダンテは、何も言えなかった。


ただ、胸の奥が、強く締めつけられる。


マリアは、静かに続ける。


「……あの時」


「私は、彼女を救うことができなかった」


その声は、後悔に満ちていた。


「だが――」


わずかに目を閉じる。


「私のせいだ..,」


そして、ぽつりと落とす。


「……最後に、こう言っていた」


ダンテの心臓が、大きく脈打つ。


「“あぁ……ダンテ……”」


息が止まる。


「“最後に……抱きしめたかった……”」


「“私の息子……”」


世界が、止まった。


第3話を読んでいただき、ありがとうございます。


ついに明かされた過去と真実――いかがだったでしょうか。


ダンテ、マリア、そして魔女。

それぞれの想いが交差し、この物語は最終話へと向かいます。


次話で完結となりますので、最後まで見届けていただけると嬉しいです。


感想などもお待ちしております!

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