異世界スタート:オモテ町
異世界スタート:オモテ町
杉浦敏夫は、金の匂いを消す魔道具「チェチェ」を腰に忍ばせ、不思議な財布を手に持っていた。
その財布の中には、現実世界で当たった宝くじ、なんと10億円分がマジックバックに入っている。現実世界から異世界へ持ち越すことに成功したのだ。
ここはグヨモセザ王朝――オモテ町。
通りには人々が行き交い、香辛料や焼き魚の匂いが漂う。だが敏夫には、金の匂いは一切感じられない。魔道具「チェチェ」がきちんと働いているおかげだ。
金貨を出しても匂いは消え、誰もそれに気づかない。異世界の冒険者たちや商人たちは、敏夫の所持金に気づくことはない。
不思議財布の能力も便利だ。
所持金の範囲内なら、金貨1枚や銀貨100枚など、財布から必要な通貨を瞬時に取り出せる。
必要額をテレパシーで伝えれば、所持金以内で出現する。
冒険者セットも、路地裏で秒速着替えが可能だ。
杉浦はまず、オモテ町の中心広場で、周囲を観察する。
商人の呼び声、冒険者ギルドの掲示板、屋台の匂い――ここから、異世界生活の第一歩が始まる。
財布の中の宝くじはまだそのまま――使う必要もない。必要なのは、まず安全にこの町で立ち回ること。
そして敏夫は心の中で決めた。
「まずは冒険者として、オモテ町での足場を固める……でも金の匂いは絶対にバレないように。」
彼の異世界生活は、ここから静かに、しかし着実に始まった。




