ぼくの数少ない心霊体験。
やぁ、ぼくだよ。ぼくは看護師さんなのさ。まぁだからってわけでもないけど、心霊体験はね、直接感じたのは1回だけあるのだよ。あとは、なんだ、学生時代に霊感が強いと話していた友達といるときに起こったのがもう一つ。だから通算でいうと2回になるのかな?心霊じゃないけど不思議だな~って体験は何回かあるけど、「心霊体験」って言えるものは数少ない。
これはよく覚えている、23歳、看護師として働き始めて2年目の秋頃、遅出勤務の日だった。夜22時までの勤務の21時頃。その時間の仕事は、看護記録と、洗濯物の片付け、その他水回りの清掃・片付けが終われば時間で帰宅。ぼくは不眠を訴える患者さんやその他諸々の用事のナースコールの対応をしながら洗濯物を片付けていた。
その患者さんは、いわゆる看取りの方、近々亡くなることを予見しながら入院中の病院で最後の時を迎えるのが前提で入院されている方だった。その人は体力もなく体を動かすことも困難であり、ナースコールを押せなかった。そこで使っていたのは子ども用の赤い取っ手の鈴のおもちゃだった。手を少しだけ、振れるほどでもなく、あえて表現するなら揺らす程度。その静かな訴えにぼくらは耳を傾けながら業務に従事していた。もちろん話はできなかった。シャンシャン、チャッチャ、と音が鳴る。声にならない声を、小さな鈴の音が伝えてくれる。鈴の音が聞こえたら急いでベッドへ向かい、声をかけながらその人のニーズを探す。点滴の刺入部におかしいところはないか、オムツが気になっていないか、体温や血圧などのバイタルサインに変わりはないか。めんどくさいと言われればそうであるが、仕事であるしぼくらはプロフェッショナル、仕事時間はしっかり対応いたします。
そしてぼくの遅出のその日。洗濯物を片付けながら、記録を行い、その隙間でナースコールを対応していた。ここで書いていいのか迷うような内容もあった。ナースコールで呼ばれて行ったら患者さんがあれを食べてたとか、結婚してほしいです~、って言うためにボタン押した~とかっていうのもあった。そんな中でいつものあの人の部屋から、小さくシャンシャン、と鈴の音が聞こえた。よし、行くか。これが終わったら洗濯物やって記録して帰るか~。そんなことを考えていた。
「はーいお待たせしましたー。どうしましたー?」
誰もいない大部屋で、ぼくは独り言をしていた。
その患者さんは、すでに亡くなっていたのだ。
確かに亡くなったという話は昼過ぎに出勤したときに申し送りで確かに聞いていたはずだ。忙しい業務中だとそのことを忘れていたんだと改めて感じた。だとしたらぼくがさっき聞いたのは、あの鈴の音はなんだったんだ?この時間は遅出のぼくと、2交代で夕方から翌朝までの夜勤の先輩看護師が2人いた。その片方はぼくのプリセプター、世話役というか指導役みたいな先輩がいた。
「あの、先輩。OOO号の患者さんて亡くなったのいつでしたっけ?」
「たしかー、昨日だったよね。」
「あーなるほど、あとごめんなさい、その人が使ってた鈴って、どこに置いてますっけ?さっきその音が聞こえたんで違う部屋の患者さんが持ってんのかなって思ったんですけど。」
「鈴?これ?」
そういって先輩が記録用PCの置かれたテーブルの下から出したのは、間違いなくその患者さんの持っていた、赤い取っ手の鈴のおもちゃだった。何度も何度も聞いていたあの音の鈴だった。
落ちがないといえば、ないかもしれない。この話はここでおしまいなのである。ぼくがこの話を、ただのタイミングが良かっただけの聞き間違い事件でなく、確信を持った心霊体験と呼ぶのは、
別のスタッフで同じ体験をした人が1週間ほど毎日後を絶たなかったからである。
今日はここまで。ここはなろうサイト。本当か嘘か、真実がどうかはどっちでもいいよねって話。
またね。




