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1/∞の世界で  作者: スマイロハ
人と言う字はショットガンシャッフル。の章
8/47

教科書と同人誌の捨て時はほぼ同じ。

あれがトライホーンクラーケンですか。

確かにトライホーンですけど。

「イカですか?タコですか?」

ピンク色で足9本。どっちですか?

解剖せずに把握するにはどこを見れば良いんでしょうか。

顔もイカとタコの中間なんですよ。中性的な見た目なんですよ。

「どっちかと言えばイカじゃな。…タコと言えばタコじゃが。」

どっちなんですか結局。

「アンタ達!良かった。何とかなったんだな。」

依頼主さん。

「衛兵には話しといた。あのイカを倒したら直ぐに行くってよ。オレは避難してるから、気にせずぶちかましてくれ!」

もうイカで統一しましょう。

あのイカをどうやって倒すかですが…漁業ギルドの方たちが奮闘してますね。

「全然効いとらんな。」

並の魔法は効果なし。近接組は良い線行ってますけど、触手にあしらわれてますね。決定打には繋がらなさそうです。

「あそこの最前線に立ってるパーティ、全員シルバーランクだな。マスターを除いたシーの最高戦力だ。」

おお、さすがシルバーランク。この体格差でもしっかり戦えてます。

「貴様を倒して最高の一杯を貰う!!くらえ【泥酔音撃】!!」

すっ凄い…!体内に浸透する音波で無理やり酔わすとは…より大暴れしてシルバーランクの方々も手が出せなくなってます…!

「何やっとんじゃぬしは!?いかん、とにかく動きを止めなくては。炎魔法を使うぞ!」

「待ってくださいチトちゃん!!」

どうしたんですかリエルさん!!

「トライホーンクラーケンは新鮮な刺身が一番お酒に合うんです。」

お婆ちゃんやっちゃってください。

「待ってください!!ホントにレアなんです!めちゃくちゃ高級品なんです!ゲソ1本で最低でも中銀貨1枚はするんです!!新鮮なら5枚はくだりません!!」

「よし別の方法を考えるぞ。」

おい。

別の方法って言いますけど、体力が減ったら多分逃げると思うので、リエルさんのスキルは目的と相性悪いですよ。

お婆ちゃんの魔法も…風魔法でゲソを斬るぐらいじゃないですか?

「リエルよ。先程まで生きていたゲソならいくらじゃ…?」

「大銀貨1枚です…!」

…でしたら、勝利を確定させた状態で競りを始めますか。

捕縛するかどうにかして。どうですか?

「それでいこう。」

先ずは退路を断つべきでしょうか…。

「先ずはシルバーランクのパーティじゃげふんげふん足手纏いだと思いませんか?チトちゃん。」

「わしも丁度そう考えていたところじゃ。リエルよ。」

何やろうとしてるんですか!?

ちゃんと連携してくださいよ!!町の危機ですよ!?

ん?いや待ってください!!

「どうした!?ネムアム!!」

シルバーランクのお姉さんがエロいことになってます…。ああっ!2人目も!ここは一旦見守りましょう…!

「ネマちゃんもボケるんですか!?」

「私だってボケたいです。」

「わしはボケとらんぞ!!」

「そのボケじゃないです。」

騒ぐ三人組に気を取られ、シルバーランクパーティ【銀色の海風(シルバータイフーン)】のリーダーは、クラーケンの攻撃を避け切れずに大ダメージを負ってしまう。

(くそっ!何なんだアイツらは!?冒険者ギルドのヤツが応援に来たんじゃないのか!?)

仲間の【僧侶】と【弓使い】は触手に捕まり、【魔法使い】の攻撃は効いていない。そして自分【銀色双剣士シルバーツインブレイド】はこのザマだ。「マスターが来てくれれば」考えが頭を(よぎ)る。

(来るわけねぇか…。俺たちはマスターを裏切って漁業ギルドに行ったんだ。その時点で臆病者の俺には、冒険者なんて無理だったんだな…。)

「すまない…。みんな…。マスター…。」

「諦めないでください!」

女剣士はそう言い、瞬く間に触手から仲間を救い出した。

「遅れてすみません!でももう大丈夫です!」

女剣士は仲間をリーダーの下へ送る。

「マスター…!」

溢れた涙は、陽の光を浴びて銀色に輝く。

「マスター、俺…!」

「そんなに痛かったですか!?すみません、魔法は使えないので…取り敢えず包帯をどうぞ!」

勿論言いたいことは違う。だが、マスターの真っ直ぐな瞳を見れば、そんなものは映っていないのが分かる。

後悔すべきは別のことなのだと。

「許せません!港をめちゃくちゃにして!あなたはこの【海色剣士(オーシャンブレイド)】が必ず倒します!!」

お前が原因かよ。

かっこいい…かっこいいっちゃかっこいいですけどね…。

「でもメッチャ強い!!」

触手攻撃を二つの意味で簡単に捌いてます!しかしこれ以上捌かれると私たちの取り分が!

「ギルドマスターの最低条件はゴールドランクじゃからな。じゃが…仕方あるまい。わしが凍らす!冷凍でもあの大きさじゃ。充分稼げるじゃろう。」

!待ってください!触手が再生してますよ!

「クラーケン種のレーシャルスキル【触手再生(ゲソヒーリング)】!やはり使ってきたか…!」

レーシャル…種族固有のスキル的なコトですか。

「体力の消耗を抑えてゲソを再生出来る訳じゃな?となれば尚更、大規模魔法の使用を避けらんぞ。」

なんでお婆ちゃんはクラーケンの事知らないんですか?

「海の魔物など出会うことが無い。わし泳げんからな。」

誇らないでください。

「キリがありません!!」

「私が守るので!魔法使いさんたちゲソを止めてください!一瞬で良いです!」

ヤバいですよ!決着がつきそうです!

「耐えろイカァ!!!」

リエルさん何言ってんですか!?

「くらえクラーケン!ファイアブラスト!」

良かったです。爆発で聞こえてないみたいですね。

「落ち着くんじゃ二人とも。よく聞け。ゲソ切って売れば無限に稼げるぞ…!!」

「やはり…天才か。」

アレ飼うんですか?

…。

無理じゃないですか?

「やる前から諦めるな!!ネムアムよ…ぬしはわしの弟子じゃ。きっと出来る。わしが保証する!!」

なんで私にやらせようとしてるんですか。クラーケンの管理なんてしないですからね。ゲソタウン(株)やらないですからね。私に押し付けても直ぐ旅に出ますからね?

それなりに稼げれば、それで充分じゃないですか。お婆ちゃんさっきそう言ってましたよね?なんで急に意見変わるんですか?

「…里に賄賂贈ろうとしてます?」

「してないぞ。」

そうですか。

「墨だ!全員下がれ!アレは毒だ!」

クラーケンのイカ墨…!

「イカ墨パスタ…!」

そう言うふうに続けて欲しかった訳じゃないんですけど。

(マズいですね…。港にかかった墨の除去には時間もお金掛かります。クラーケンを討伐できれば資金面は問題ないはずですが…。)

「追い詰めたら逃げられますね…。」

(流石にクラーケンは追えません。完全に陸に上がってくれれば恐らく間に合います…。間に合わせるのに…!)

なんか向こうの方ヤバくなってますよ。

「分かった。じゃあこうしよう。」

リエルさんとの話し合い終わりましたか?

「冷凍は味が落ちるんじゃな?ぬしはそれを避けたい。じゃったら直接凍らすのは止めよう。」

何の話し合いしてたんですか?

「海を凍らす。そしたら冷凍よりマシじゃろ?生温かいより、身が引き締まって美味そうじゃし。」

「よし。それでいこう。チトちゃんお願い!」

マジで何話してんの?

(ゲソで近付けない。陽動はもう無理。時間を掛ければ逃げられる。)

「一瞬で決めます…!」

マスターは海へ飛び込んだ。

レーシャルスキル【海色生物(オーシャンバディ)

「力を貸して、クジラさん。」

水で出来た鯨がマスターをクラーケンの遥か頭上へと打ち上げる。

と同時に海色の鯨は水へと姿を戻す。

「グレイシャー…タイム…。」

海は凍りつく。鯨の水と、造る波をそのままに、魔物だけを残して。

「皆さん…!ありがとうございます!」

「これで決めます!オーシャンブレイド!!」

魔物は倒された。

シーの港町にまた平和な日常が帰って来た。

いや、平和な日常を連れ戻して来てくれた。

めでたし。めでたし。

「凄いですね。一刀両断ですよクラーケンを。」

巨大イカリング作りたかったって嘆いてる人も居ましたが。

「水でリーチを延ばすスキルなんです。魔力が足りて良かったですよ…。皆さんのおかげです!」

鯨は別のスキルですか?

「人魚族のレーシャルスキルです!…だと思います!」

分からないんですか?

「海のお友だちを一時的に造り出すスキルなんですが、私は『人魚の血を引いているから使える。』としか知らなくて…。両親も詳しくは分からないそうです!」

ネーミングセンスはスキルが由来でしたか。

「いや?カッコいいからですよ?」

あぁ、そうですか。

「それはルートスキルじゃ。普通の人魚はそんなスキル持っとらん。王族の血を引いとるんじゃろ。」

「そうなんですか!?」

ルート…ルート?

「血族固有のスキルじゃ。ジェネティックスキルと呼ぶ国もあるらしいの。」

なるほど?

それで、何で知ってるんですか?泳げないとか言ってたのに。

「人魚の国に行ったことがあるんじゃ。直ぐに出たがの。姫が同じスキルを使っとった。」

人魚姫ですか…。

「何十年も前の話じゃぞー。」

何も言ってないです。

「次はどちらへ行かれるんですか?」

受付嬢さん。

「みんなを代表してお礼を言わせてください。本当にありがとうございました。」

「こちらは、トライホーンクラーケンの討伐及び買い取りと、冒険者ギルドと漁業ギルド両方からの報酬。それにシーの町からの報酬です。どうぞ受け取ってください。」

お金モチモチですよ!

…。

「あ!!」

忘れてました。

変態紳士はどうなったんですか?

「あ。」

ブァックションッ!!!!

「クソガキどもめ!!雨で濡れたまま放置しやがって!!ッウ…キモチワルイ…。」

「兵隊で良いから早く来てくれーーー!!!」

「私は完璧な計画を練ったと言うのに…うっぷ……。」

ちゃんちゃん。

と言うことで次の目的地はどうするんですか?

「はい!」

リエルさんどうぞ。

「鬼族の国に行きたいで〜す!」

「賛成で〜す。」

「イヤで〜す。」

賛成意見多数につき、次の目的地は鬼族の国となりました。ありがとうございました。

「イヤじゃ!絶対に行かんぞ!」

リーダーが良いって言ってるんですよ?

「リーダーならメンバーの意見を聞け!」

何でそんなに嫌なんです?

長になりたくないなら、故郷の里に近寄らなければ良いじゃないですか。

「話せば長くなるが、アレは未だわしが子供だった頃…。」

要点だけ話してください。ダレるので。

「…ふぅー。」

「分かった。要点だけな。」

敵「お前強い。長なれ。」

チ「責任取りたくないから嫌じゃ。国外逃亡じゃ。」

敵「貴様アアア!!逃げるなアア!!!責任から逃げるなアア」

「今ココ。」

弟子の私に押し付けるくらいですからね。

普通に断っても駄目なんですか?

「より高い実力を持った者が居るのに長に据えんと言うのは、誇りを重んじる鬼族にとってあってはならんことなんじゃ。他の里からの目もあるしの。それなのにわしが断ったから、仕方なくNo.2を長にしようとしたんじゃが…。」

No.1じゃないのに長にはなれないと、No.2が断った。

「うむ。彼奴が断るもんじゃから、誰も長になりたがらんでの。長候補じゃった者が外へ出てわしを連れ戻そうとしとるんじゃ。」

一瞬だけ長になって、直ぐ次を指名したら良いじゃないですか。駄目なんですか?

「実力で上回る者が出て来ない限り代替わりは無理なんじゃ。それに、長になると嘘を吐いて出て行ったからの。追手にも似た様なこと言って誤魔化しとるし…。帰りたくないんじゃ。」

「嘘って…。」

「流石に…。」

「実年齢いくつですか…。」

「鬼族のお酒が飲みたい…。」

「……………分かった、分かった!行けば良いんじゃろ?行けば!はい!次は鬼族の国に行きまーす。船を探しましょーう。」

まあ私もそれなりには協力することも(やぶさ)かではないと言えなくも無いことも無いですよ。

「無いんかい。」

鬼族の国って外国ですよね。結構かかります?

「三日程じゃな。港が戻ったら出発じゃ。」

次の日には船が出たので、私たちはシーの町を出ました。

鬼族の国にはお米があるらしいですよ。リエルさんは米酒を飲んでみたいそうです。

それで一晩を船の上で明かして二日目。

「全員動くな!この船はたった今から我々が占拠した!」

海賊に捕まりました。

「国境付近の海域は海賊が多いんですよ。私のお酒ちゃんも奪われちゃいました。」

私たちは海賊の拠点に連れて行かれました。奴隷にするらしいです。手錠もかけられました。最近こう言うのばっかりなんですよね。旅って難しいですね。お婆ちゃん助けてください。

「あたちこわいー。たすけるなんてむりだよー。おねえちゃんたちがたすけてよー。」

里帰りしたくないだけですよね?

「さとがえり?あたちむずかしいことわかんないー。」

ちっ。ロリババアが…!

「海賊さん♡」

「何だガキ。殺されてぇのか?」

「この幼女鬼族の有力者なんで高く売れますよ。」

「…。」

海賊さんはお婆ちゃんの角を確認します。

「良いだろう。俺たちの仲間になりてぇってことだな?(かしら)には口聞いてやる。後はお前次第だ。」

よし。

「良くないですよ!?ネマちゃん!?ちょっ、私も助けてください!!」

海賊さんには口聞いてやります。後はお前次第です。

「どう言う立場だテメェ!!」

まあ良いじゃないですか。

ここだけの話、私の人生シビアなんですよ。ちょっとしくじったらコメディじゃなくなるんですよ。一気に指名手配犯なんですよ。

と言うわけで頭さん!私は助けてください!ロリババアとリエルさんは一人でもどうにか出来ますけど、私は弱いんで無理です。

「その前に。お前が差し出した鬼族の情報を吐け。有力者と言うのは本当か?」

あれ?

…もしかして、冒険者カード持ってなかったりします?

襲われた時、海に投げ捨てていた様な気もちょっとあるんですよね。

「冒険者なのか?」

私がリーダーで、彼女はメンバーです。

「それで知っているわけだな。有力者とはどう言うことだ?」

里長になる筈だったらしいです。

「成る程な。あの赤い角、シャクカクリョウ家の娘と言う事か。」

まあ、そうですね。

「…。良いだろう。名前は?」

手錠を外して貰いました。

「ネムアム・ロードレイグです。」

「ネムアム。この首飾りを着けろ。それがある限りお前は自由だ。」

青色の宝石があしらわれた首飾りです。

青宝海賊団(サファイアパイレーツ)へようこそ。歓迎しよう。ネムアム・ロードレイグ。」

あぁ、ありがとうございます。

「その首飾りには、海の魔物に気付かれ難くなる効果がある。そして仲間の証だ。耳飾りだったり、腕や脚に着けている奴もいる。特別な理由が無い限り外す事は許さない。滅多な事では傷付かないが、損傷したら新しい物と交換する。その時は私に言え。私は忙しいからな。早めに頼むぞ。」

「あいあいキャプテン!」

「そんな返事はしなくて良い。普通に応えろ。」

「はい。分かりました。」

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