正四面体の辛子明太子。
ルフェもサフェも私に懐いてくれません。言う事はちゃんと聞いてくれますが、日常会話が一切ありません…。なので仲良くなるためにクエストに来てみました。勿論三人で。
「…よし。これで依頼は完了ですね。二人ともお疲れ様です。」
「お疲れ様です。」「お疲れ様です。」
もうちょっと何か話題を…!
「二人の頑張りのおかげで早く終わりました。しっかり強くなってますね!」
「ほとんどお姉さんが。」「仕留めていましたが。」
もっと難しいクエストにすれば良かったか…!?…でももし怪我とかさせてトラウマになったりしたらフィヴやレファに合わせる顔が…!
「折角なので少し探索してみましょう!良い素材があればティアお姉ちゃんの助けになりますからね!」
「…何で『ティアお姉ちゃん』と呼んでいるんですか?」「…ルルさん以外は『さん付け』か『呼び捨て』で呼んでいますよね?」
食い付いた!この機を逃すんじゃあない私!!
「そう呼んで欲しいとジルミお姉ちゃんに言われたんですよ。ティアお姉ちゃんもです。あと敬語も外して欲しいと言われましたね。」
「…お姉さんが死んで寂しいですか?」「…お姉さんが死んで寂しいですか?」
おや…。
「…正直に言うと寂しくありません。」
「そうですか…。」「そうですか…。」
「でも死なない方が良かったとは思っていますよ。生きていた方が良いです。」
家族を守る為に死地へ向かった、正真正銘の勇者の仲間ですからね。本当ぶれない人ですよ。
「…ジルミお姉さんは。」「…どんな人でしたか?」
そうですね…。シスコンと言うのは…まぁ黙っておきましょう。敢えて私の口から明言することでも無いですし…。
「特殊なスキルも魔法も無しで、純粋な剣技だけでロードレイグの名を轟かせた天才…。の一方で、家族のことを、妹のことを、誰よりも愛し守り抜いた最高のお姉ちゃん。…ですかね?」
ジルミお姉ちゃんが死ぬまでは家族全員生きてました。妹たちは今でも全員五体満足で生きています。生死不明の行方不明になったのは魔王軍に死体が回収されたせいで、それは優秀な者の死体を研究に利用する為持ち去られていたかららしいです。こんな事を言うべきではありませんが、最初から研究目的で泳がされていたんでしょう。そもそもロードレイグ家はセデス様の気まぐれで出来た一族です。プライドの高い吸血鬼族が混血を許すはずありませんから、元から情報は魔王の手に渡っており、神の力の可能性として研究に使うため放置されていた。つまりこの家は魔王軍に狙われる運命なんです。その運命に猶予を作ってくれたのがジルミお姉ちゃんです。魔王が可能性に賭けて放置したように、妹達の可能性に賭けて。
「…!」「…!」
どうしました?
「お姉さん…。」「あの家誰か居ます…。」
あれはいつぞやのお化け屋敷じゃないですか。まだカップルのデートスポット何ですか?…いえ、そんな訳ないですよね…。王都は壊滅して王城も国王も無いんですから…。…んん??と言う事はこの気配は…。
「あら久しぶりじゃない。」
いつぞやの幽霊さん!生きてたんですね!…死んでたんですね?…どう言えば良いんですか?
「無事と言って良いのか分かりませんが、このお屋敷に戻って来たんですか?」
「そ。こんな状況だから、王都の住民なんて幽霊が出たくらいじゃ驚かないのよ。むしろ、知り合いに化けて出て来て欲しいと思ってるくらいだわ。因みに実証済み。」
言われたんですね…。
「…お化け?」「…幽霊?」
「この館の主様よ!」
「そう言うことです。前に色々ありまして。」
話題に詰まった時の為にこの話は残しておきましょう。
「実はかくかくしかじかでして。」
「…そんなことが…。流石に王都からは出られないわ。でもほら、前にレッドドラゴンの目の前に飛ばしたことがあるじゃない?あのドラゴン知り合いなのよね?連れてくるぐらいなら出来るわよ。こっちから送るのは無理だけど。」
「お願いします!」
タマゴ()が居れば百人力ですよ!
「ギャアアアアアアアアス!!!!」
あら元気。
「タマゴ()~。私ですよ~。覚えてますか~?」
「……………!?」
思い出しました?
「おお、あの時の人の子か!我の幼少を支えてくれたこと、感謝する。」
渋い…!!
「ドラゴンが喋った…。」「上位のドラゴンより大きい…。」
「して、何用か?我に出来る恩返しであれば尽力したいが…。」
「実はかくかくしかじかで。」
「ふむ…。…我は今最上位の竜でな。私利私欲の為には動けぬ。それは竜王の名の下禁じられている。だが、魔王との戦とあれば喜んで馳せ参じよう。最早あれは世界の敵と言って間違いあるまい。…しかし、先程申した様に、人の為に人と共に戦う訳にはいかぬのだ。すまぬ。」
「そうですか…。すみません無理を言って…。」
「お主が竜の血を引いていれば話は違ったのだがな…。しかし、魔王との決戦の際には必ず駆け付ける。我が二人目の母よ。共に戦える日を楽しみに待っているぞ。」
そうですね。私も楽しみに…って。
「竜の血を引いていれば何か出来るんですか!?」
「うむ。力を与える事が出来よう。」
「竜人でも良いですか!?」
「竜人か。竜の血を引く生物の代表と言えるであろうな。知り合いに居るのか?」
「すぐ連れて来ます!!」
キャルさんキャルさんキャルさん!!!
「――最上位の…レッドドラゴン…!?」
キャルさん連れて来ましたよ!?これでどうですか!?
「………!?お主、火の系譜ではないか!!…竜人族が人族の国に居る事自体が稀有であると言うのに…これほどまでに適任と知り合っていようとは…。我が母よ。やはり尊敬に値する。」
ありがとうございます。…キャルさんは勝手に付いて来ただけなんですけどね…。
「良く分かんねぇけど、アタシは何をすれば良いんだ?」
「我の血を与えよう。血と言っても、竜の力を込めた…所謂『竜の涙』だ。竜人族であればこの意味、分かるであろう?」
分かるんですか?私分からないんですが…。
「竜の涙か…。なるほど…。これは責任重大だな…。…アタシは火蛇竜だけど大丈夫なんだよな?」
「同じ火の系譜。問題は無い。同様に力を引き出せる。時間の限りは出来るが、それも、我が火竜で無ければ更に減っていたであろう。その力、託したぞ。我が母の助けに。」
「ああ、任せろ!ぜってー無駄にしねぇからよ!!」
そんな感じで思わぬ強化イベントがありましたが…結局どう言うものなんですか…?
「この竜の涙はつまり『竜への変身権』だ。同じ竜なら時間制限は無かったんだが、それでも火竜なら一回の戦闘分くらいは持つはずだからな。ラッキーだった!」
「…強くないですか?」
「超強いぞ!竜から力を貰う必要はあるが、竜人族のとっておきってところだな!」
これは頼りになりそうです!…と、そんなこんなしてたら凄い時間に…。今日はもう帰りましょう。
「――ネマちゃん。ネマちゃんに会いに来たって、お客さんが…。」
街に帰るなり、私にお客さんですか?
「よっ。」
「頭さん!?」
これまたいつぞやの青宝海賊団のキャプテンじゃないですか!今日は懐かしい人に会う日ですねぇ…。
「こっちも忙しいんでな。本題から入る。」
真面目な雰囲気…。お願いします。
「知っての通りアタシは海賊だ。つい最近も航海しててね。その途中人魚に襲われた。だが、ソイツ等は直ぐにアタシらを襲うのを止めた。アタシの船だと気付いたある人物に止められたからだ。」
「その人物と言うのは…?」
「まぁ聞け。その人物から伝言を預かっててな。『メメルに居る。』だそうだ。」
「…はぁ…。」
「後で落ち着いて考えてみろ。解ける謎だ。」
「分かりました。」
勉強も見てくれてたんですよね…。懐かしい…。面倒見の良い人ですよね。
「…首飾り、まだ持ってたのか。」
「勿論ですよ。大切なものです。」
役に立ったこともありますし、なくても捨てたりしません。壊れても直します。直せなくても持っています。
「…海賊やってりゃ人が死ぬとこなんてしょっちゅう見てる。だが気分の良いものでは無い。…死ぬなよ。ネムアム。」
頭さん…。
「あいあいキャプテン!!」
「それ止めろ。…またな。」
「はい!」
いや~収穫しかない一日でしたね毎日そうですが。頭さんとも会えるとは…へへ。さて、伝言の主は誰なんでしょう?考えれば分かる相手と言う事は、知ってる人ですよね…。頭さんと関係のある知ってる人…。
「…知り合い多いんだね。」「…良い旅だったみたいだね。」
ルフェとサフェが…私にため口を…!?
「話して欲しいな。」「教えて欲しいな。」
「「どんな旅だったのか。」」
今日の修行は切り上げて、みんなで旅の自慢です。…仲間の距離が縮まることは良いことですね。




