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1/∞の世界で  作者: スマイロハ
3652回くらい星を眺めたら十年。の章

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36/47

美味いカレーは初日でも美味い。

ミニフさんのおかげで予定よりもずっと早くギガルを抜けられました。私が13歳になるくらいの時間はかかっていますが。そして、ギガルを出た私達は選択肢を与えられています。最短距離は淫魔族の国「サキュル」を突っ切るルートですが…。

「絶対に迂回する。『ミニル』も癖はあるけどサキュバスよりマシ。どっちも通らないルートは時間がかかり過ぎるし。」

「ミニル」は小人族の国です。

「私は個人的にサキュル派です。知り合いが居る筈なんですよ。」

事情を話せば力になってくれるかもしれません。

「…私でも吸血鬼族と鬼族と淫魔族の仲が悪いのは知ってる。何でネマ姉はそこら辺と仲良いの…?体売った…?」

「売ってない!…その人吸血鬼との子で、他の淫魔族より話は通じると思うんです。」

「いやネマ姉なら大丈夫だろうけど、私達は普通に魅了されるんだからサキュルには行けないよ。…と言うかサキュバスの巣窟に行くなんて正気の沙汰じゃない。」

でも絶対行くべきだと思うんですよね…。たとえどんなに危険な場所であろうと、エロと言うロマン「エロマン」を人は追い求めるのです。

「どうせ最低な理由で行きたいんだろうけど、協力者が増えるのはありがたい。ネマ姉が良いなら一人で行って来てくれる?」

「任せて下さい!!皆さんの分まで楽しんで来ます(犠牲になるのは私一人で良いですから…)!!」

「おい逆だぞ。」

と言う事で。フィヴたちと別れて、私は単身で淫魔の国へ行くのでした――。

「――【魅了(チャーム)】【魅了(チャーム)】【魅了(チャーム)】【魅了(チャーム)】あれ?何だよ耐性持ちかよ。ほら行った行った。冷やかしはごめんだぜ。」

…思ってたのと違う。もっとえっちなお姉さんが溢れてると思ってたのに、みなさん出会うなりあの手この手で魅了しようとしてくる。そして効かないのが分かると行ってしまう。そりゃあ?吸血鬼にとっての太陽、淫魔にとっての受け身の姿勢なんでしょうけど?もうちょっとなんかこう…あるじゃないですか…。いやまぁ、一般淫魔にそう言うのを求めてるのが間違ってるのは分かってますよ?求めるならそう言うお店に行けって話なんでしょうけど…。まぁ良いか。オグルで会った…ジェーサさん。彼女に会いに行きましょうどこに居るか皆目見当もつかないでござるけど。

「…ねぇ、君…。もしかして、オグルでサキュバスに会ったことあったり…する…?」

あります!ジェーサさんの知り合いでしょうか。

「ジェーサと言う方を探して居まして…。お知り合いですか…?」

「やっぱり…もう一人の方とは一緒じゃないの?」

ロリコンの事でしょうか。

「すみません。私一人です。」

ジェーサさんが会いたいのはザルメアさんの方なんでしょうけど。

「そう…。案内するね。私と一緒に居たら襲われないから。」

共食いに意味がある吸血鬼族と違って淫魔族は共食いしても意味がないらしいので、仲間内での関わり合いは避ける傾向にあるようです。

「…失礼かもしれませんが、淫魔族にしては優しいですよね…?」

「みんな仲良くすれば良いとは思ってるよ。でもそれは…私は強いサキュバスなの。優しいのは才能があるからこその戯言だよ。…ほら、もう着くからお話はここまで。ここがあの子の家だよ。…またね。」

「ありがとうございます…。」

行っちゃいました。会って行かなくて良いんでしょうか。何か予定でもあったんですかね?

「ジェーサさーん…。居ますかー…?」

「…どっかで会ったことあったっけ?」

居ました。ほら鬼族の国で会ったじゃないですか。私は会っただけですけど…。

「…ああ、思い出した。…ザルメアさんは?」

「私一人です。…純粋な吸血鬼はここ来ないと思いますよ。」

「まぁ確かに。…でも一人か。せめて吸血鬼族だったらな…。」

吸血鬼だったら何かあるんでしょうか?

「私混血ですけど吸血鬼族の血を引いてますよ。」

「そうなの?…言われてみれば人族のくせに全然変わってないね。ちょっと実験したい事があってさ。付き合ってくれない?」

変わってないのは別の要因ですけど、何が始まるんでしょうか…?

「まず大前提として、アタシは吸血鬼族の力を使ってない。使ってるのは淫魔族の方だけ。」

それで理性を保とうって言う話でしたもんね。

「でも、一応吸血鬼族ではあるワケ。」

そうですね。

「吸血鬼族も淫魔族も悪魔族の果てでしょ?淫魔族はどんな種族とでも子供を作れるから、親和性が高いと言うか…他種族ともくっつけると言うか…そんな感じなのよ。で、吸血鬼族は血に深い関りがある。」

…なるほど?

「要するに、血を通してサキュバスの力を与えられるんじゃないかって言う実験。」

「そんなこと出来るんですか?」

「それを実験したいって言う話じゃん。…多分出来ると思うんだけど、淫魔族の力に適性があって、且つ大量の血を与えなきゃダメなんだよね。勿論アタシに与える気があるから可能な事だし。」

吸血鬼族の力が強くて淫魔族の力が負けた結果吸血鬼に流されてた訳ですし、ジェーサさんだからこそあり得る話ですよね…。

「それを私で実験したいと。」

「そ。ザルメアさんに会えたらお礼したいの。断られたら別の方法でするけど、一応試しときたくってさ。あくまでも、悪魔族の血から適性のあるレーシャルスキルを呼び覚ませそうってだけの考えだし。」

…見た目があまり変わっていないので中身も変わっていないのかと思ってましたが、めちゃくちゃ成長してるじゃないですか。やっぱりこの世界は見た目で人を判断し難いですね。

「むしろお願いしたいです。…実は私、ジェーサさんに仲間になってくれないか頼みに来たんですよ。」

かくかくしかじかでして…。

「なるほど。…サキュルの淫魔は魔王の配下だから人族に協力するのは無理だけど、実験なら別に良いんじゃない?…ぶっちゃけ、淫魔族に協調性を求めるヤツなんて居ないし。」

それは吸血鬼もそうですね…。

「じゃあ早速始めるよ。舌出して?口開けて?」

こうですか?――ッ!?何でキスするんですか!?

「舌傷付けて血を吸った方が無駄にしなくて済むでしょ。アンタも同じようにアタシの舌傷付けて血吸って。相互に吸えば体力の続く限り永遠に血を吸い続けられるから、意識を失うかスキルを得られるまで吸い続けるよ。」

「…それ何日かかるんですか…?」

「…日の単位で数えられるくらいの時間で終わったら良いね!」

終わりませんでした。

「ぅぅ…。ちょっとごめん…。休ませて…。」

どうぞ。

「やっぱアタシの体力が保たないか…。」

吸血鬼の力を使ってこなかったわけですし、そりゃあ私の方が余裕あるでしょうね。

「時間かかりそうですね。…一つ質問して良いですか?」

「なにぃ…?」

「親友さん…とはあんまりな感じですか?」

少し変な雰囲気でした。

「…アイツがアタシを甘やかしすぎて接近禁止命令出されたってだけ。」

どれだけ甘やかしたらそんなもの出されるんですか。

「淫魔族は共食いしない。それは意味が無いってのともう一つ理由があんの。」

そうなんですか?

「淫魔族の共食いは意味が無いのに気持ちよすぎて堕ちるから。一回するとハマって抜け出せなくなるんだって。それの対策で関わり過ぎないようにね。」

「…会いたいですか?」

「どうだろ。自分が堕ちるならともかく向こうを堕とさせたくないって、どっちも思ってるからね。私がもっと成長出来れば会えるだろうけど今は会いたくない。…もっと強くなってから会いたいって言う。」

そんな感じでサキュルにしばらく滞在し、その間に私は14歳になっていました。

私がジェーサさんに貰った淫魔族のレーシャルスキルは、簡単に言えば魔力の籠った行動で対象の興奮を誘うスキルです。まぁいわゆる【魅了(チャーム)】のことですね。それで、淫魔族は本来誘い受けることでのみ行為をすることが出来ます。その為に使うのが【魅了(チャーム)】で、吸血鬼族の弱点の様に、淫魔族の力はそう言う制約の下で成り立っているんですね。一度相手から求められればこちらから…つまり逆転と言うやつをする事は出来ますが。と、長々説明してますが、私は淫魔族じゃないのでその制約を無視出来るんですよ。要するに「純粋に手札が増えた。」ってことです。…相変わらず魅了スキルばかりの手札ですけど。

さて、久々にフィヴたちに会います。どう考えても私より先にティアお姉ちゃんと会ってると思うので、私も早く合流しましょう。サキュルを出れば戦場まですぐです。

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