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1/∞の世界で  作者: スマイロハ
3652回くらい星を眺めたら十年。の章

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33/47

手紙も良いし、直接会って話すのも良い。

次の国は巨人の国なわけですし、そもそものスケールが違うので越えるのにかなり時間がかかると思います。ここでお金を稼いでおきたいですね…。シンリさんはオグルを目指していて、キャルさんはそれに着きそうそうなのでお二人とはこの国で別れることになると言うのもありますし。

「クエストを受けたいです。」

でも私は今アイアンランクなので、パーティでまともなクエストを受けられるのは…。

「…私?」

「ダメっすか…?先生の妹さん…。」

名前で呼んであげて下さいよ。

「…確かに、シルバーランクの私じゃないとパーティを引っ張れないのか…。みんな私よりずっと年上なのに…みんなアイアン…。」

頼りない大人ですみません…。

「じゃあ適当に受けて来る。」

「受けて来たよ。」

どれどれ…。

「…なんだよこれ?クエストってモンスターの討伐とかじゃねーの?」

どれどれ……?

「報酬が良いのを持って来た。」

どれどれ………??

「報酬は良いっすけど、内容が意味不明っすよ。大抵のモンスターなら私の魔法で一発っす!他の受けるっす!」

ドレドレ…………???

「長いんだよな文章が。要点も分かんねーし。…時間かかりそうだよなこのクエスト。別のにしよう。」

ドレ!?

「私にも見せて下さい!」

「どうぞ。」

「…文通相手の女の子に良い感じの手紙送りたいから助言求む。って感じの内容ですね。まぁこの文章力ならアドバイスも欲しいでしょう。良いじゃないですか、報酬も高めですし。労力も低そうです。」

「じゃあ依頼人のところへ…。」

依頼人はドワーフの青年さんです。文通相手の彼女さんに良く思われたいそうです。

「依頼分見ましたよね?あんなかんじなので、僕…。自信なくて…なのでアドバイス下さい…!」

まぁ任せて下さいよ。私と言えば数々の美少女を――にした――なんですから。このぐらい朝飯前の散歩前です。

「自身はあるっすけど、変な感じになって関係が悪くなっても恨まないで下さいっすよ?」

「それは大丈夫だと思います。先日作ったこの魔道具に書いた手紙を入れると返事を作ってくれるんです。彼女の情報が少ないんで参考程度ですけど…この魔道具が良い感じの返事を作ったらクエスト達成ってことで、報酬をお渡しします。」

ハイテクですね…流石ドワーフ。

「因みにペンネームみたいなのあるんですか?」

「僕が『たまごやき』で彼女が『ヤドカリ』、魔道具は『クロヤギ:三号機』です。」

絶対初号機ですよね。

「そうそう、もう数回やり取りはしてるんですけど、前回『もっと良い文を書けるように勉強中です。』って書いたので、急に良い手紙になっても大丈夫です!彼女も『お返しが楽しみです。』って書いてので!直すべきところはガンガン言って欲しいです!」

よし!早速始めましょう!では先ずどこから…。

「とりあえずたまごやきさんの手紙を三号機に入れてみたら良いのでは?」

良いこと言いますねフィヴ。流石私の妹です。

「じゃ、じゃあ…入れてみます…。」

頑張って下さい!

[   ]

…?何も出て来ませんね。読み込みに時間がかかってるんでしょうか?どんだけ長い手紙書いたんですか。

「…これ返って来ません。」

「…え?」

「これ、返事返って来ません…。」

あっ…。

「落ち込まないで下さい…!そのために私たちが来たんですから…!」

どんな手紙を書いたのか見てみましょう…。

「長い。要点が分からない。ウザい。キモい。欲望が透けて見える。これにはアタシもドン引きだぜ…!」

「…もう文通止めます。」

「落ち込まないで下さい…!これからですよこれから…!」

と言ったものの…この文章を修整するのは難しいですね…。

「いっそ私たちが手紙を書いて、上手くいった奴を参考にしてもらうって言うのはどうっすか?」

「それです!それで行きましょう!」

三号機があるんですから、数を稼いで彼女の性格を把握しましょう!

「じゃあ私からいくっす!カッコいい感じにすればヤドカリさんもイチコロっすよ!」

――ヤドカリさんへ。

[ヤドカリさん、今晩は。僕は今、星を眺めながら想いを綴っています。あなたのことを考えていると、なんだか眠れません。何してるのかなぁ。何食べてるのかなぁ。何着てるのかなぁ。ナニしてるのかなぁ。そんなことを考えて、悶々としながらシーツに包まっています。P.S. 君の『たまご』が焼けるほど熱いモノを注ぎたいです(笑)。]

たまごやきより――。

――たまごやきさんへ。

[そんな風に想っててくれてたなんて、ちょっと恥ずかしいです((ノェ`*)っ))タシタシ。私、今直ぐ会いたくなっちゃいました。今夜空いてますか?]

タマを焼く者より――。

「焼かれてるじゃないですか!!たまごやきさんを意味深にしないで下さい!!」

「そうだぞシンリ。そう言う下ネタは顔が良いエルフだから許されるんだ。たまごやきさんじゃ犯罪だ。」

「…(泣)。」

また落ち込んでるじゃないですか…!!

「まぁまぁ、ここはアタシに任せとけって。下ネタは禁止な?それと長い文章もダメだ。長いと途中で読む気が失せる。簡潔に要点だけまとめるんだ。」

――ヤドカリさんへ。

[プリン作りました。]

たまごやきより――。

――たまごやきさんへ。

[プリン!私も買って来ちゃいました。是非一緒に食べましょう!]

ヤドカリより――。

「短すぎると思いましたけど、意外と好感触じゃないですか!続けて下さい!」

――ヤドカリさんへ。

[ありがとう!]

たまごやきより――。

家族とのグループRAINEですか?

――たまごやきさんへ。

[一個しか買ってないんですけど?自分だけ食べる気ですか?]

ヤドカリより――。

「女心って分かんねー。」

あなたも女じゃないですか。と言うか気難しすぎません?一個戻りましょう。

――ヤドカリさんへ。

[ありがとう!僕も買って帰ります。]

たまごやきより――。

同棲彼女とRAINEしてるんですか?

――たまごやきさんへ。

[私のプリン選びのセンスは悪くて私の買ったプリンはマズいから食べられないって言ってますか?]

ヤドカリより――。

「ごめんたまごやきさん。これ無理なヤツだ。」

「諦めないで下さい!短すぎたのが原因です。ここは私がちゃんとした文通を…。」

――ヤドカリさんへ。

[ムラムラします。]

たまごやきより――。

「ムラムラしてんじゃねぇよ!!下ネタ禁止って言ってましたよね!?真面目に考えて下さい!!報酬払いませんよ!?」

「真面目に考えてふざけてるんですよ。私はこれで上手くいった例を知ってますから大丈夫ですって!三号機に入れてみましょう!」

――たまごやきさんへ。

[ムラムラ…します…///]

ヤドカリより――。

「ほら上手くいった。」

「ヤドカリさんはそんな事言わねぇ!!こんなポンコツ機械ぶっ壊してやる…!!」

「待った待った、待って下さい!!まだ私の妹が残ってます!このメンツで一番頼りになるんですから!」

「え、私?あ…。じゃあ…一応…。」

――ヤドカリさんへ。

[顔も声も分からない。会ったこともない。名前は偽名で、綴られている事も噓かもしれない。本当は存在しない人なのかもしれない。そんな相手をどうして信じられますか?相手はお遊びかもしれないのに。本当は想ってないかもしれないのに。もう死んでるかもしれないのに。そんな相手をどうして探しに行こうなんて思ったんですか。本当は現実から目を背けたかっただけなんじゃないんですか。妹たちは私の帰りを待っています。妹たちは未来で救われることより、今唯一頼れるお姉ちゃんを求めていたかもしれない。家族に会いたい。]

たまごやきより――。

「おーよしよし。お姉ちゃんが付いてますからね~。寂しくても大丈夫ですよ~。」

「ネマ姉…。」

「…一応フィヴのも入れてみます?三号機に。」

「…いや、もう充分です。」

結果、私達は報酬を貰えました。大して参考になった感じは無いと思うんですが…依頼人が満足したなら良いんですかね?とりあえず収入は得ましたけど、まだまだ足りないので頑張ってクエストをこなしましょう!

――ヤドカリさんへ。

[今日不思議な人たちに出会いました。エルフ族に、獣人族に、人族、楽しそうなパーティでした。手紙のアドバイスを聞いたのですが、あんまり参考にはならなかったです。でも一つ思ったことがあって。でも僕は文章にするのが苦手で。だから直接会って伝えたいなと思うのです。折角貰ったアドバイスを無駄にしたくないから。お返事待ってます。P.S.その人達に描いて貰った僕の似顔絵を送付します。そっくりなのですが、もっとカッコ良く描いて欲しかったな。]

たまごやきより――。

返事返って来るかな…?いやいや、考えても仕方ないだろ僕!座して待てだ!…やっぱりカッコ良く描いて貰えば良かったかな!?いやいや――あ、来た!…早速開けるぞ…緊張するな…。よし…読むぞ…!

――たまごやきさんへ。

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