表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/∞の世界で  作者: スマイロハ
3652回くらい星を眺めたら十年。の章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

32/47

根も葉もないことを根掘り葉掘り聞くな。

エルフと竜人なので、やっぱり二人とも他国の情勢には疎いんですよ。でも今日遂にドワーフの町に辿り着いたので、これで情報が得られます。気になることは多いですが、一番は魔族の動向に関してでしょうか。

今更なのでどうでも良いんですが、ビセルでもっと粘った方が情報を得られたかもしれませんね。そっちの方が良かったかも。だって…。

「ネマ姉、死んで。」

時は遡り、私たち三人が町に着いた少し後。シンリさんとキャルさんの冒険者登録を済ませた後、手分けして情報収集をすることになりました。私は酒場に向かい、そこでフードを深く被った人物に話しかけられます。

「門から入って来るところを見かけましたよ…。ドゴルから旅人が来るなんて珍しい…。それもエルフと竜人と…人族のパーティ…。情報が欲しいのなら、私が教えてあげますよ…?『ネムアム・ロードレイグ』さん。」

「…何で私の名前を…?」

「分かるよ。覚えてるから。変わってないね。十年前から。…ネマ姉は覚えてる?私のこと。」

フードを取ったその顔は良く知っている顔でした。

「…『フィヴィナ・ロードレイグ』…です…。」

十年経って今は14歳の、私の妹。

「覚えてくれてるんだ。忘れちゃったんだと思ってた。忘れてなかったなら、事情があるのかな。」

「私、聞きたいことが――。」

「ネマ姉、死んで。家族のために。」

そう言って妹は私に剣を向けた。

「待って下さい!私が死んで何で家族のためになるんですか!?」

何で妹と戦わなきゃいけないんですか。私も家族ですよね?

「ネマ姉も大切な家族だよ。でも、知ってる?新しく双子の妹が増えたんだ。レファは10歳。双子の方は8歳。三人ともネマ姉の記憶なんてない。」

「妹たちのためですか…?」

「違う。家族のためだよ。」

「私は違いますか…?」

中身がこの世界の魂じゃないからですか…?

「違わないよ。さっき言った通り、ネマ姉は大切な家族。でも死んで欲しい。死んで?」

剣にヴァンパイア特攻のエンチャント。本気で私を殺す気みたいですね…。こっちも全力じゃないと…!!

「何の騒ぎだ?」

「あそこで冒険者同士が殺し合ってる。」

「…なぁ、気のせいかな…?あいつら顔似てねぇか…?」

騒ぎを聞いて人が集まって来ました。シンリさんとキャルさんも。

「せめて――!!説明を――!!」

全然話聞いてくれません…!!

「十年で何が起きたか知ってる?」

それを今から調べようと――。

「勇者パーティは魔族の国へ辿り着いた。それ以降、ずっと戦争は続いてる。終わる気配はない。」

「お姉ちゃんは――!?」

「ジル姉は四天王に負けて行方不明。ティア姉は後衛としてずっと戦ってる。ほんとはティア姉が一番ジル姉を探しに行きたいのに。」

………行方…不明…?

「勇者も四天王に負け、呪いを受けて戦闘不能で治療中。魔王にすら出会えてないのに負けちゃうんだよ?勇者は。」

レビィが負けた…?四天王に…?

「何か話してるぞ。聞こえるか?シンリ。」

「…あの人…先生の妹っす…。姉が行方不明とか…勇者が負けたとか…。」

「…何で姉妹で殺し合ってんだよ…!?」

「分かんないっすよ…!!でも…ヤバいっす…。負けそうっす…!!」

先生の不思議な格闘術があってある程度拮抗してる…。でも押され気味…!!あの人めっちゃ強い…!!私がまともに魔法を使えたら援護出来るのに…。

「…トカゲに使った魔法は!?あの距離なら使えないか!?剣だけでも壊せれば…。」

「ダメっす。使用回数に制限がある技だったんす。トカゲに使った一発が最後だったんすよ…。」

「…!!クソッ!!アタシのせいで…!!」

「それは違うっす。あの状況なら誰が襲われていても、先生が魔法を使うしかなかったっすから。むしろ私の魔法が周りを巻き込むから使えないせいで、先生に負担が…。」

「それこそ違うだろ。…すまねぇ。卑屈になっちまった。お前にもうつしちまったな…。」

「…いや…こちらこそっす。」

…私の責任です。

「…すみません。私が十年も遊んでたから…。」

仙境でコメディとか言ってふざけてたから。

「そんなことないよ。十年で強くなってるじゃん…。私に追い越されるくらいに…!!」

「フィヴ…!?泣いて――。」

妹は立ち尽くします。

「…何で助けに来てくれなかったの?私信じてたのに…。ずっと信じてたのに!!ティア姉が言ってたんだよ…?あなた達にはもう一人お姉ちゃんが居るからって…。何かあったら絶対助けてくれるって…!!何で…。何で!!」

「それは――仙境から出るのに時間が――。」

「火を!!…付けられた。モンスターの家なんだって。私の家が。家族が。ヴァンパイアは悪魔の手先だって。」

…は?それはヒュメル王が――。

「ネマ姉にはビセルで革命に手を貸した疑いがある。そしてその革命でビセルは魔族と協定を結んだ。分かる?ネマ姉は、魔王勢力と結託して王族を殺し…!!ビセルを魔族に乗っ取らせたって言われてるんだよ…!?ジル姉だって命を賭けて戦ったのに…!!人族を裏切って魔王軍に入ったって…!!」

「……まだ間に合います…!!私が今から助けに行きます…!!」

「もう父親も母親も居ないよ?今世も、前世も。人族に殺されたか、魔族に殺されたかの違いくらい。」

……………嘘。

「ジル姉は行方不明ったって流石に生きてないだろうし、ティア姉もとっくに限界だと思う。勇者だって、呪いが治る見込みは無いらしいよ?」

「…待って下さい。じゃあ私を殺そうとしてるのは。」

「…ネマ姉。十年は大きいよ。あっと言う間に過ぎ去るのに、大き過ぎる。この十年でネマ姉は、根も葉もない噂だけで人族の敵になった。私は家族を守りたい。妹たちは何の罪も犯してない。だから死んで?相討ちしよ?裏切者の家族じゃなく、裏切者を殺した英雄の家族として、妹たちを守る為に。お願い。ネマ姉。」

…私は私の大切な人を守りたいんです。家族、恋人、友人、恩師、沢山幸せにしたい人が居ます。そしてフィヴもその中に。

「十年も遅れてすみません。お姉ちゃんがみんな助けます。」

「え――。」

「邪神様。どうせ見てるんですよね?あなたの眷属『ジルミ・ロードレイグ』は生きてるんですか?レビィに呪いをかけたのは誰ですか?解けるんですか?十年間音沙汰なしで、いい加減出て来て下さい。私にかけた呪いでずっと見てたんでしょう?」

「…誰に話しかけて――!?」

『なんだよ。気付いてんの?やっぱ察し良いよね。君。』

そう言うことするから邪神って呼ばれるんですよ。

「誰…!?神様…!?」

『めんどいから説明ナシね。で、【血鬼剣聖】はもう死んでる。死体は魔王のとこ。』

何そのカッコいい二つ名…!!

「ジル姉のこと。この十年の活躍でそう呼ばれるようになった。【剣士】のまま変わってはないよ。」

『【勇者】の呪いは解けるけど、まぁ間に合わないね。』

じゃあどうするんですか…?

『転生させれば?本人にその気があれば新しい体に転生させれば良い。その助けぐらいするよ?』

「…どう言うことですか?そんなこと出来るんですか…?」

『妹ちゃんは知らないよね。ネムアムちゃんは十年前に経験してるよ。』

あぁ第二王女の…。

『じゃあ助言をしよう。神の国へ行け。そこで何するかはその時教える。…一応言っとくけど、戦える仲間を増やした方が良いよ?じゃあね!』

…もうちょっと譲歩してくれても良いんですけどね…。まぁ目指す場所は決まったので良いです。それとフィヴが限界なので色々説明しつつ休ませましょう。

「――と、言う感じです。…どうです?お姉ちゃんと一緒に神の国に行きますか?」

「二つ聞かせて。まず妹たちは王都のギルドで匿われてる。ジル姉は慕われてたから私が居なくてもそっちは大丈夫。それと私は一人で探しに来たわけじゃない。これは後で話す。ネマ姉に聞きたいのは呪いの方。ジル姉が死んで勇者も呪いで死ぬなら、ネマ姉が神様にかけられた呪いはネマ姉を殺すの…?」

「…気になります?」

「気になる。」

「神様が私を転生させた理由は『顔が良いから。』らしいので、私は多分神様好みの顔になったら…大体15歳くらいで成長や老いが止まる呪いをかけられてるっぽいんですよね。」

確証は無いんですけど、仙境でししょーが「変なものにかかっているのじゃ。」って言ってたので。

「じゃあ死なない?」

「死なないです。」

「…分かった。信じる。」

私も結構しぶとい方だと言う自負はありますから。

「…聞いて良いですか?誰と来たのか…。」

「誰にも言わないで。」

フィヴは鞄から何かを取り出します。これは…。

「…スライムですか?」

「この子はティア姉が私に残してくれたもの。生物の錬成は禁じられてるから秘密にして。」

スライムはだんだん大きくなり、人そっくりに変形します。

「新しい主様ですね。わたしのことは『スラリン』とお呼びください。どんなことでもご命令を。」

フィヴの話によると…。

「スライムボディは何でも作れて、色も自由自在。擬態したり小さくなったり大きくなったり、特殊効果付きは無理だけど道具の再現も出来る。複雑な構造の物はその分時間がかかるけど作れはする。自身の身体を変質させるスライムの特性を利用したものだから、身体から切り離されるとただのスライムになるのは注意。」

…凄いことしてますね。ティアお姉ちゃんは…。

「じゃあ最後の質問。転生するなら親が必要だけど、どうするつもりなの?転生させたとして、その親が可哀そうだとは思わない?」

…そうですね。神様の話によれば「もともと子供になる筈だった魂」は存在しないので、転生者がいることで寧ろ子供が増える。らしいですが…私も思うところはあります。自分の子供が知らない他人の転生先だったらやっぱり嫌ですもん。

「…私と子供作りま――。」

「作らない。」

冗談じゃないですか…。

「その辺は神の国に行ってから神様に聞くしかないと思います。」

ビセルの事を考えても私の事を考えても、どこの子供に転生させるかは選べるみたいですし。

「…分かった。じゃあ一緒に行こうネマ姉。神の国へ。…どこにあるのか知らないけど。」

…私も知らないんですよね…。神の国こと神界…魔界の位置は分かるんですけど…。

「とりあえずデボルを目指してみましょう。」

魔族の国なら神族の国の事も分かるかもしれませんし、ティアお姉ちゃんと合流出来るかもしれません。

「ティア姉のことは私も心配だから、賛成。」

となれば、次に行くべき国は…巨人族の国「ギガル」ですね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ