コレはソレがアレでドレ。
エブルを出てから二ヶ月ほど経ってドゴルを抜けました。ドワーフ族の国「ドワル」なら絶対に他国の情報が得られます。町までは遠いですが、仙境を出てから半年もかからずに来れてますね。情報を得られるまで長かったですが許容範囲でしょう。大体まぁ…そうですね…半月ほど進めば町に出会えるでしょうか。
「ジョン、シンリ、アレを見てみろ!!」
「えええええええええええ!?」
二人が目にしたものとは!?
…こう言うイレギュラーが無ければもっと早いと思うんですけどね。
「アレ…アレ何?アレ何っすか?」
「何だろ…石像的な…?」
神様の像か何かでしょうか。行ってみます?
「………何コレ。」
何でしょうか…下手…下手だから?下手だからこんな良く分からなくなってるんですか?この…良く分からない何かを作るのが下手だから、何か良く分からないって言う…私は何を言ってるんですか?こんなの文字だけじゃ伝わりませんって…。
「この…コレ…アレ。アレ、あの…ドーナツじゃね?ほら新作の…。」
ドゴルのドーナツ屋の新作が何でここで石になってるんですか。
「コレ多分アレっすよ!樹海に良く落ちてる…。」
……………ドレ?
「コレよく見たらアレじゃないですか?包帯ぐるぐる巻きにしたヤツ。」
「あー…言われてみれば。ココとかまんまソレだ。」
「それ言ったらココなんかドーナツっすよ完全に。」
「確かにそうですね。ココ樹海に良く落ちてます。」
………………何だ?
「芸術…じゃないっすよね。」
ぽくはないですね。
「ドワーフの儀式に使うとかは?」
…無くはないですけど、ぽくもないんですよね…。
「先ずコレは石像ってことで良いですか?」
「良いっす。」
「良い。」
じゃあ何の石像かを考えてみましょう。この歪な造形が意図的に行われているものだとしたら、それはやはりモチーフにした「何か」を侮辱している可能性が高いです。神を侮辱するようなものか、はたまた権力者を批判するものか…。
「分かった。分かってしまった…!!」
「マジっすかキャルさん!教えて下さいっす!」
マジで教えて欲しいです!
「コレ…『恋』…じゃないか…!?多分…!!」
「「――!!」」
…なるほど言われてみれば…「恋」ですよコレ!
「盲点だったっす…。まさか『恋』とは…!」
恋は盲目って言いますからね…気付けないのも無理はありません…。
「凄いですねキャルさん!よく『恋』の発想が出ましたね!」
「いや…アタシ結構乙女だから…///」
恥ずかしがることないですよ!コレに気付けるなんて乙女だったからです!
「エルフの私じゃ気付けなかったっす!お手柄っすよ!」
「そうですよ!私だって乙女とは程遠いんですから!」
私達じゃ気付けなかったことに気付けた。これが仲間の良さです!
「二人とも…。ありがとう…!二人が旅に連れて行ってくれたからだ…!」
「お互い様っすよ!」
「三人寄ればなんとやらです!」
仲間の大切さを説く。それが、コレがここにある理由なのかもしれませ――。
「ギャアアアアアアアアアア!!!!」
「キャルさんが食われたっす!!」
ドラゴン!?いや巨大トカゲ!!コレに夢中で気付けなかった!!
「マズいです!!ここで暴れられるとアレが!!」
「吹き飛ばすっす!!」
よし!!シンリさんの風魔法でアレから遠ざけられました!!眠っちゃいましたけど、後は私が倒します!!
「キャルさん生きてますか!?直ぐに開放します!!」
ブレイク!!――!!魔力が…!!キャルさんの回復が出来ない…!!
「回復は大丈夫だ…!!助けてくれてありがとう…!!これぐらいならアタシのユニークスキルで回復出来る…!!」
キャルさんの身体が、て言うか身体から…抜け殻…?
「アタシのユニークスキルは、簡単に言えば脱皮だ。脱皮すると能力が底上げされ、傷は治る。ただ体力は消耗するし、インターバルも長い。何より使うと一回り身体が大きくなるから、あんまり使いたくないんだよな。…とにかく何とかアレは守れた!全員無事だし良かった!」
そうですね!アレが守れて良かったです!
「おーい!あんたら無事かー?」
ドワーフじゃないですか。何とか無事ですよ…そうだ!アレの事聞いてみましょう!
「アレか?魔物避けだ。そろそろ効力が弱くなってきてる頃だからな。メンテナンスに来たのよ。そしたら案の定襲われて…。」
「魔物避け…?デザインに意味は…?」
「無いな。ウチの子供が小さい時に遊びで掘ったモンだからな。」
「じゃあ…『恋』は…。」
「鯉?何の話だ?腹減ってんのか?」
何してたんでしょうか私たちは。アレだコレだってはしゃいじゃって…行こ。
シンリさんを抱えて私たち三人は町を目指します。




