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1/∞の世界で  作者: スマイロハ
王冠は常に冠ってる訳じゃない。の章

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ハンカチもティッシュも、忘れても大丈夫。

「あらら、ドラゴンまで殺られちゃったか。コレは予想外だな。」

気を取られた隙に勇者が斬り掛かる。

「…。速いですね。」

「ボクのはズルなんだ。単純なスピードなら、キミの方がずっと速いだろ。」

日は完全に昇り切った。

「ダーク」と名の付く魔物は、夜の闇で活発に動く一方、光を苦手とする傾向にある。ダークドラゴンも朝まで粘れれば実質的な勝利と言える。老体とは言え、同じプラチナムランクの冒険者である父と母が居る以上、目の前の魔族さえ抑えていれば勝ったも同然だと考えた。

しかし、現実では予想と違う事が起きた。唐突に現れた吸血鬼族が魔物を次々と倒して行ったのだ。更に、その吸血鬼族は知り合いの「人族の剣士」によく似ている。騙していたのか?今ヴァンパイアに襲われたのか?何か特別な力を持っているのか?家族も同じ吸血鬼族なのか?そんな考えで頭が埋まる。だがそれよりも、魔族をどうにかしなくてはならない。この敵は、他の事に頭を割いて戦える様な甘い相手では無い。

「気になるよな?ボクは大体の察しが付いてるんだ。教えてやろうか?ん?」

一晩中殺し合って知っている。この敵はお喋りが好きだ。重要な事は教えてくれないが、ほんの少しでも情報は欲しい。

勇者は「では教えて下さい。」と聞いた。

「彼女は元から吸血鬼族だ。人族とのハーフでね。何かの理由で血を吸って、眠っていた力が呼び起こされたんだろう。詳しい事は本人に聞いてくれ。聞けば答えると思うよ?最悪、家族諸共死刑だもんね。」

吸血鬼族と人族が子を成したと言う話は聞いた事が無い。だが有り得ない話でも無い。どちらにせよ、彼女の為にも、彼女の家族の為にも、弁明の機会を与えなくてはならないだろう。

「さて、ボクは尻尾巻いて逃げるとするよ。」

「…留める手段は無い様ですね。」

「言ったろ?負けるのは面白くないんだ。また会おうね、勇者サマ。次は…デボルかな?」

【勇者】対【翼】此度の一戦、勝者無し。

「とは言っても、普通にボクの負けだけどね。」

なんでこの人がここに居るんですか。逃げたんじゃなかったんですか。私を人質にする気ですか。汚いですね魔族は。

「人質を取ろうって訳じゃないよ。聞きたい事があってさ?」

私はないですけど。

「キミ、ザルメアを虜にした娘だろ?それっぽい娘がいるなって思って道を聞いたんだけど…。当たるとは思わなかったよ。今日のボク、運良いね。」

私は悪いですね。

「ボクは【翼】だからね、吸血鬼族とか淫魔族とかが部下に居るんだ。彼らも元は魔族、正確には悪魔族から分岐した種族だからね。魔王軍に入ってるんだよ。ザルメアは『人族』って言ってたけど、キミ『吸血鬼族』だろ?調べたんだよね〜『ロードレイグ』って名前。」

物知りですねぇ。

「それでさ?追い込まれたら吸血鬼に戻るかな〜っとは考えたけど…いや〜、まさかあそこまで強くなるとは思わなかったよ。キミのお姉さん天才だね。」

「結局何の用なんですか…。」

「ゴメンゴメン…コホン!」

「キミ、魔王軍に来ないか?お姉さんも、家族も皆んな連れて来ると良い。魔族は人族と違って差別なんかしないよ?吸血鬼族だからって、『ヴァンパイアだ!』って仲良しの上司や友達に殺される事は絶対に無い。まあ吸血鬼族は、キミらみたいなのを『血が混じってる。』とか言って嫌うだろうけど、ボクが居れば問題無いさ。と言うか欲しいんだ。キミ達の才能が。」

魔物ですからね。普通は死刑でしょうね。と言うより、普通に討伐されるだけですね。

そう考えれば魔王軍に行くのも良い選択です。お姉ちゃん達は前向きに検討するでしょう私はしませんが。

ただ、しようと思えば私のチャームでどうとでもなるんですよね。何なら、レビィに言って誤魔化して貰う事も出来るでしょうし、割とどうにでもなる様な?

でもどの道私は断ります。その私が介入するのも、変と言えば変ですし…何で私に聞いたんですか…。

「ま、断るよね。多分勇者サマが助けてくれるからメリット無いし。そもそも怪し過ぎるしね。キミに言ったのは、単に話したかっただけなんだ。勇者サマと特別な関係みたいだし、『勇者を本気にしてくれてありがとう。』ってね。お礼を言っとこうと思って。ってのは建前だけど。」

「またね!キミとはその内再会する気がするよ。」

私を殺そうとして来たのも、レビィを本気にさせる為ですか。「魔王軍四天王は、半分がバトルジャンキー。」と覚えておきましょう。

しかしどうしますか。

ジルミお姉ちゃんは暫く起きないでしょうし、それまでは王都に幽閉されますよね。監獄行きは勘弁して下さいよ?

「ティアちゃん!」

ジルミお姉ちゃんの目が覚めました。丁度1日眠ってましたね。

レビィのお陰で監獄行きは免れましたよ。ご褒美でもきゅもきゅされましたが…。

「お姉ちゃん。私は無事だよ。寝てた間の事、色々話すね。」

レビィだけでなく、冒険者の皆さんの声もあって、裁判などは行われずに済みました。

ただし、その代わりに国王自ら見極めると言う事らしいです。他の妹達や両親は呼ばれていませんが、私とティアお姉ちゃんは呼ばれているので行かなければなりません。因みにですが、神殿には入れさせて貰えませんでした。サデス様が証神(しょうしん)になってくれれば一発なのに。

と言う訳でお城です。

「ジルミ・ロードレイグ。率直に聞こう。お前は我々の敵か?味方か?」

味方ですよね。お姉ちゃん。

「どちらでもありません。私は妹達の味方です。敵にも、味方にも成り得るでしょう。」

シスコーン120%増量中ですね。お姉ちゃん。

「そうか…。では質問を変えよう。お前は吸血鬼族か?それとも人族か?」

人族の方が遺伝子多いですからね。人族ですね。

「私はお姉ちゃんです。」

お姉ちゃんでしたか。まともな事喋れないんですか?そんなに狂ってましたっけ?吸血鬼に成ったからですか?

「つまり、『妹達に手を出すな。』と、言いたいのだな?」

「その通りです。…陛下、どうか妹達だけは助けて下さい。」

「…。『助けなければ殺す。』とでも言いたげだな。」

お姉ちゃんの感性は普通の人族です。そして、それは吸血鬼に成っても変わっていない。周りが思っている以上に、お姉ちゃんは重いものを背負っているんです。

…私の方が犯罪者っぽい感性でしょうし、大目に見て欲しいですね。

「良い。元々何の罪も無いのだ。罰するつもりで呼んだのでは無い。ジルミ、お前に頼みたい事が有って呼んだのだ。」

頼みですか。

「【剣士】のジルミ・ロードレイグ。お前をプラチナムランクに昇格させた。【勇者】と共に魔王を討ち、この世界を救って欲しい。」

「家族の事は国王として、責任を持って保護しよう。吸血鬼族の血を引く事実も、単独でのドラゴン討伐も、仔細を民に伝える必要はあるまい。お前は『神に選ばれた。』とする。」

「どうだ?魔王討伐、頼めるか?」

勇者パーティ結成の瞬間ですよ。レアですね〜、酒場で決めないんですか。

「その依頼、受けさせて頂きます。必ずや魔王を討伐し、妹達の世界に平和をもたらしてみせましょう。」

ブレませんね。

まあと言う事でして、初代勇者の魔王討伐を目指す旅「勇者レビィの救世譚」が始まった訳です。仲間を増やして次の国へ〜と、魔族の国デボルに向かう訳ですが、当然私は付いて行きませんし、当然シスコン達はゴネますし、細かい事が色々あった訳です。

なので、ここからの話は少し掻い摘んでお話ししますね。

先ずは吸血鬼の弱点に関してです。

弱点を克服する方法として、ウェレイア様が祝福を授けて下さいました。

「素晴らしい姉妹愛です。私の力で、誰かを愛す為に振るわれる力の制約を無くしましょう。」

弱点は力の代償、つまり制約です。これで実質的に弱点を無くせた訳ですね。

そしてサデス様からは加護を改めて頂きました。

「唯一の眷族やし、ちゃんとしたるわ。ルートスキルになった前の加護はそのままとして、力を切り替えられる様にする。吸血鬼の力を使っている間だけ、人族から吸血鬼族に変化するっちゅう訳やな。」

異世界後の関西弁は翻訳が面倒ですね…。

祝福はジルミお姉ちゃんだけですが、加護は私にも効果があるので、私も飛べるかもしれません。その為には大量の血を飲む必要がありますが…飛行の魔法を鍛えた方が良いですねこれは。

と、私は血を飲むつもりは無かったのですが…。

「吸血鬼族である姉さんは、血を飲むのが最も賢い強化方法です。勇者の血なのですよ?魔法で回復すれば飲み放題なのですよ?さあ飲んで下さい!姉さんは弱いのですから、勇者である私からは逃げられませんよ??」

私が守れないからと、レビィに大量の血を飲まされてしまいました。吹っ切れ過ぎでしょう。

多くの人がロードレイグは吸血鬼だと知っています。同時に、ロードレイグ家は人族の味方とも思っています。勇者の仲間ですからね。結果、地位は向上したと言えるでしょう。私の肩書きも増えましたが…。

暫くの準備期間を経て勇者パーティは王都を出立します。その前に故郷の家族が王都へ来てくれました。本当に私の知らない妹が居ましたよ。魔王を討伐する頃には何人姉妹になるんですか?

もう一つ重要な事がありますね。

私とレビィの関係は明かしました。この事を知っているのは家族と前世の両親、そしてルルちゃんです。ルルちゃんにはレビィが直接伝えた様ですね。

「レビィ様はネムアちゃんの妹…と言う事は私の妹でもあると!?レビィちゃん!!お姉ちゃんと呼んで!!」

ブレないですねぇ…。

…レビィがルルちゃんに伝えた理由、分かりはするんです。ですが、私はあまり良い人間とは言えませんから、ルルちゃんみたいな純粋な子を唆すのは心が痛みます。…痛まないから良い人間では無いんですけどね。

勇者パーティは先ず鬼族の国オグルへ向かうそうです。今居るかは分かりませんが、【流星】を仲間にする為です。居なくとも、他の強者を勧誘すれば良いですからね。それに、オグルとヒュメルは近いですが、ヒュメルから他の国に行くのはかなり時間が掛かるんです。私は次の国に行こうと考えていますし、勇者パーティとはここでお別れします。また一人旅に戻りましたよ。

一人旅の間は、面白そうなこと以外無視します。なので書くことが無いんですね。旅に出る前なら、ティアお姉ちゃんにアイテムボックス的な錬金術で作った鞄を貰った話があるんですが、中身はお金とか食べ物とか錬金術のアイテムとかで、まあ普通なんですよ。アイテムは普通の値段じゃ無いですが。

あと何が入ってましたっけ…服も入ってますね。大きめのサイズです。成長を見越してのことでしょう。このぐらいの年の子供はすぐ大きくなりますからね。

…。

「すん…。」

なんか甘い匂いが…。魔法で浄化しときますか…。

そして。

船に乗り、私は人族の国ヒュメルを出て、獣人族の国ビセルへと向かいます。3日程航海し、海のど真ん中水しかない場所で、私の乗って居た船は沈みました。

海賊では無く、人魚族に襲われたのです。

Q.第一印象は?

「めちゃ美人。」これですね。人魚族って美形なんですけど、服着ないんですよ。裸なんですね。良いですよね。

Q.襲われた時の状況を詳しくお願いします。

「ヤバい!」って思いましたよね。船底に穴を作って船を沈めるんです。人が水に近付いたところで引き摺り下ろすんですよ。私も腕を掴まれて噛み付かれまして、その人魚にチャームを掛けて何とか一言「助けて。」って。死ぬかと思いました。

Q.その後はどのように?

結局海の中に引き摺り込まれまして、

「ぼぼっ、ごぼ。ごぼごぼぼうぼほっふぉ!!」ちょっ、息。息出来ないですって!!

あぁヤバい。意識が…。

気が付くと、そこは一面が水で覆われた透き通るような青の世界。人魚族の国。

ではなく、周りを海に囲まれた小さな無人島の砂浜でした。

なんか変な夢を見ていたような。

Q.ここはどこ?私はネムアム?お前はトリコ?

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