異世界転生初回転生限定版限定特別初回転生特典付き特別異世界転生。
ルルちゃんの調子も戻ったので、そろそろ勇者様に会いに行きましょう。
勇者様の家はこの辺りですが…。
「ネムアムさん。来て下さりありがとうございます。」
「いえいえ、こちらこそ。」
向こうは私がそうだと思っていない訳ですから、慎重にやらないと…。先ずは小粋なトークで場を和ませましょう。
「凄い豪邸ですね…やっぱり、プラチナムランクは報酬も桁違いなんですか?」
俗過ぎるだろ!!
うぅ…気不味いんですよ…。妹は私の事をとても慕ってくれましたから、妹を置いて死んだのがどうしても…。
「それもありますが、この家はヒュメル王に頂いた物です。このランクだと、受けるクエストは国からの依頼が殆どになりますから、貴族の様なものと考えて頂ければ。」
【勇者】はヒュメル王が付けたものらしいので、まあ平民では無いんでしょうね。
「勇者様の他にも2人、プラチナムランクの方が居るとか。」
「ネムアムさんにはお伝えしましょう。その2人は、私の前世の両親なのです。」
私の前世の両親でもありますねぇ…。私だけプラチナムじゃ無いんですか…。
「父が【黒魔導師】のグラン・ピオール。母が【白魔導師】のメルルダ・ワーズレット。そして私が【勇者】のレビィ・ダズバンです。冒険者パーティを組んではいますが、父と母は学校で教師をしているので、基本的に私が一人で行動しますね。両親はもう歳ですし…。」
死んだ時期と転生する時期にブレがあるんですかね?
「両親と私の死には30年程の差があるのですが、転生した時期は倍近く異なるのです。差が一定なら、姉は既に100歳を超えている筈。もうこの世には居ないのかも知れません。ですがせめて、その痕跡だけでも追いたいのです!どうかお力を貸して下さい…!お願いします…。」
その後、勇者様から前世の話を聞きましたが、やはり私の妹で間違い無い様です。名前や住んでいる場所、思い出まで一致していれば他人とは言えないでしょう。
ただし…。
「お二人の仲を証明するモノが記憶しか無い以上、仮に出会えたとして、本当の姉では無く、並行世界の、別の勇者様の姉なのかも知れませんよ。それを証明するモノも記憶だけですが。それでも会いたいと願うのですか?あなたと同じ想いを持つ別の世界のあなたから、最愛の姉を奪う事になるかも知れません。」
「…分かっています。本物でも、違っていても、それでも会いたいのです。…もし、誰かを不幸にするとしても。」
私の知っている妹は、こんなに我を出す子では無かったんですけどね。100年生きて、しかも一回死んでる訳ですから、少しは変わりますか…。嬉しいですが、姉としてはもっと素直になって欲しいです。
妹は私に無いものを持っています。それが無ければ、妹は私が死んだ時点で後を追っていたでしょう。そしてそれは私が与えたものです。
「一週目はロールプレイ。二週目はフリープレイ。これがRPGの基本です。一度目の人生で頑張ったんですから、二度目の人生は自由に生きて良いんですよ?」
おや、驚いてますね。そんなに私の名言が良かったですよね。最高ですね。
「ネムアムさんも…転生者だったのですか…?」
そっちですかーバレちゃいましたかー。
「何の神様に!?転生特典は!?日本人ですよね!?」
餅付いて下さい。
私は日本人ですが、神様には会ってませんし、転生特典も持ってません。
「そんな筈は…。転生は神が行うものです。ネムアムさんにも必ず神様が居る筈なのですが…。そうですね…では、神殿にお連れします。ネムアムさんはこの国に生まれたので、この国の神であるウェレイアルミネヴァータ神様なら、この国の神様の事は知っている筈です。」
愛の神様ですね。王都で使われる、お金の単位「ウェル」にもなっています。
と言うか「そんな筈は」て。私の神様はそんなテキトーな神なんですか…。
私は勇者様に連れられて、神殿に来ました。
「ウェレイア様。かくかくしかじかでして…。」
「…。連れ来てくれてありがとう、レビィ。心当たりがあるわ。貴女は下がっていてくれる?」
神様と二人きりですか…。緊張して変な事やりそうなんですけど。
誰がずっと変ですか!!
「私の母がご迷惑をお掛けした様で、誠に申し訳御座いません。以下様な罰も受けさせますので、少しお待ち頂けますか?母を呼んで来ます。」
「母…はい?はい…。」
母って、全知全能の神とかですか?それは父のイメージですが。
「何をしているのですか!!その様に曖昧な事をしているから『邪神』と呼ばれるのでしょう!?」
「悪い!悪かった!」
「謝罪は彼女にして下さい!!」
いや…あの…私は大丈夫ですから…。全然気にしてませんから…。
「誠にごめんなさい。」
「それは謝罪とは呼びません!!軽蔑です!!」
「待て!冗談だから!ちゃんとやるから!」
「ほう…未だ冗談を言える立場だと誤認してらっしゃるのですね??では…。」
「誠に申し訳御座いません!!」
「最初からそう言えば良いのです。」
神様の土下座なんて初めて見ましたよ…。二度と見たく無いです。
「私も同席します。良いですね?」
「はい。勿論です。」
やっぱりこの方が私の神様なんですね。
え〜…そうですね。よろしくお願い致しますね。三者面談。
「私は呪いの神セデスです。ロードレイグ家に加護を与えて、ネムアム様を転生させました。」
「あの…普通に喋って頂いた方が楽なのですが…?」
どうか普通に接して下さい…!
「いえいえ、そう言う訳には行きませんよ。」
ウェレイア様…これは流石にキツいです…。一平民ですよ私。
「ネムアムさんがそう言って下さるのなら…。」
「マジか!!サンキューネムアム!ウチが転生させただけあるで!流石の懐やな!」
おうマジですか。
良いですけど。
「ええか?ウチは確かに転生させた。そして確かに話し掛けんかった。それはすまん。」
「はぁ…。」
「でもな?コレには深い訳があるんや…。」
「何ですか?」
「いやな?死んだのに冷静で、なんか気持ち悪かったんや。サイコパスって言うんか?知らんけど。ウチ、そう言う人とは関わらんようにしてんねん。自己防衛やな!知らんけど!」
私の悪口は自覚してるので良いですけど、そう言う愛の無い発言は控えた方が良いのでは?隣の方が愛を忘れそうな目で見つめてますよ…。
「気持ち悪いなら、何で私を転生させたんです?」
「顔が気に入ったからやで?転生後の、15歳くらいの顔がドンピシャやねん!性格なんかどうでもええわ!!」
「邪神って呼ばれてる理由分かりました。」
何でこの方から愛の神が生まれるんですかね。神様ってマジで親子似ないですよね。
「何や、察しええな。ユニークスキルのお陰やろか。」
「私にもユニークスキルあったんですか!?」
「そりゃあるやろ。転生特典もちゃんと付けたったで?ユニークスキルはアンタの自前やけどな。」
何で教えてくれないんですか!?
「いや〜すまんすまん。関わらんようにしとる内に、転生させたの忘れとったんや。そう言うことってあるやろ?神だって人間と同じやねん。」
…じゃあもう良いです。スキルと特典教えて下さい。
愛の神が呪いを掛ける前に。
「おっしゃええか?ややこしいから、よく聞くんやで。ユニークスキルやけど、【魅了】やな。転生特典も【魅了】や。ややこしいやろ?」
ややこしいです。
おんなじ効果では無いんですよね?淫魔族の【魅了】と魔法の【魅了の魔法】とでは、似てますけど微妙に違うんですよ。
「一個ずつ解説してこか。先ず淫魔族の【魅了】やけど、自身に対する性的欲求を増幅させるのが効果や。で、魔法は…そうやな、催眠術って言うのが近いやろ。強力な思い込み効果やな。そんで、アンタのユニークスキル【魅了】。ユニークやから、名前はウチが今テキトーに付けたヤツやけど、これは【魅惑】の方がええな。『自身を魅力的にする』効果では無いで?『相手の欲求や心の中で感じている気持ちが分かる』効果や。使い方と本人の容姿、演技力、センス次第やけど、異常な魅了効果が発揮出来るかもな。要練習やね。」
人に好かれやすいのはそのせいですかね?
私が美少女なのは知っていますが、やけにモテるなぁとは思ってました。あぁでも、ユニークスキルの効果が発揮されても、相手は本当に私を好きなんですもんね。無理矢理好きにさせる【魅了】とは違いますか。
「ほんでメインディッシュの転生特典や!コレは凄いで…。何てったって神にも効く効果やからな!!」
「お母様!?神にも効く魅了なんて、そんなものを与えてはなりません!!何をやっているのですか!!」
え、私神様の天敵だったんですか?
違いますよ私は神様の味方ですよ殺さないで下さい殺さないで欲しいです。
「まぁ待て。落ち着け。ええか?転生特典っちゅうシステムはな、『転生させるお詫びで与えるもの』なんや。ウチの場合、無理矢理転生させたからな。しかもその後全く関わらないと来たもんや。『お詫び』も増さなあかんねん。」
「これで神が人間に支配される事になれば、全ての責任はお母様にあるのですよ!?それを理解して行ったのですか!?」
私はそんな事しませんが。
「理解しとるわ。ナメんなよ?ウチがどれだけ高位の神や思ってんねん。邪神で眷族はロードレイグ家だけやけどな、そのぐらいの見通す力はある。ウチはネムアムを信じて託したんや。」
邪神が何言っても響きませんよ。
「…コホン。まあ、そう言う訳で、ウチは信じてるで?ネムアム。」
「ウチの責任になるから頼むで…。ウェレイアには内緒やけど、ホンマは『相性の良い特典を選んだらお詫びブーストされてエグくなっちゃった件』なんや…。すまんな…。」
「聴こえていますよぉ??」
そりゃそうでしょう。神殿の中ですよ?
「まあ、こうなった以上、私もネムアムを信じなければなりません。それで詳細は?どう言う力なのですか?制御は出来るのですか?」
制御出来るかは気になります。制御出来なかったら、殺された時に思う殺される心当たりが二つになるので。
「一言で言えば『書き足し』やな。対象の優先順位がノートで表されるとするやろ?普通は一行目に優先順位一位が来て終わりやんな。それが、この力を使うと『優先順位一位の上に一位が出来る』んや。本来は書けない『マスが無い場所』に、無理矢理『ネムアム・ロードレイグ』を追加する。っちゅう訳。一位はそのままで、一位に対する思いもそのまま何やけど、一位より上に優先するものが出来る。つまり、『一位を超える順位を創造し、そこに自分を当て嵌める効果。』やな。洗脳とはちゃうんや、あらゆる状態異常耐性を無視し、種族の違いを無視し、神の力を無視し、全てを支配する最強の魅了!!名付けて【魅惑の完全支配者】や!!」
「ネムアムさん。母が大変な無礼を…。」
「いえいえ、チャームは使いませんので、安心して頭を上げて下さい。」
「なんと愛のあるお方なのでしょう…。どうですか?私の眷族になりませんか?」
「良いですねぇ…。」
「良くない!!ウチの話はまだ終わってへんで!それにな?神に効くっちゅうても、弱点はあるんや!」
弱点!それは聞きたいです!
「ズバリ、発動条件や!」
強い能力には厳しい発動条件が有るものです。デメリットの無い力はマンネリを生みますからね。
「発動条件は2種類あってな、『五感のそれぞれで今までに一度でもネムアムを感じている事』が1つ。」
視覚聴覚は簡単に達成出来ますけど、味覚とかどうするんですか?
「キスすればええやん。近付けば匂いもするし、唇が触れ合えば条件達成や。」
「しませんよ!?」
「ええやん別に。減るモンでも無いやろ?」
「知り合いからの好感度が減ります。」
キス…はしたくないので、飲み物に混ぜるとかが良いんですかね?それはそれで嫌ですが。
「で、『その瞬間に第六感でネムアムを感じる事』がもう一つのやり方や。五感の方はほんの少しでもええんやし、まあ、緩い条件やな。」
第六感て、どうやって判断すれば良いんですか。神様しか分からないんじゃないですか?
「お…。」
「いやな?条件さえ達成すれば、相手を『好き過ぎて死ぬ』状態に出来るんやで?」
「か…。」
「そりゃあ、戦闘中に使っても勢い余って殺されるやろけど、国王相手に使えば一国を乗っ取れるんやぞ?最強やろ。」
「あ…。」
「ウチが考えた最強のプワゥワー(パワー)や!ドヤ!」
「さ…。」
「転生特典はスキル枠やけど、普通のアクティブスキルとは違って消費するモンも無いしな。」
「ま…。」
「パッシブスキルとは言えんし…強いて言うならギフトスキルやろか。…で、ウェレイア、さっきから何やねん。言いたい事があるならハッキリ言わんと、考えるだけやったら伝わらへんで?」
「お母様!!」
「何や…そんな怒らんでもええやん…。ネムアムとキスとかせんかったら発動出来んし、それに一度魅了しても、その魅了を解く事だってちゃんと出来るんや。ネムアムの精神性やったら問題無いやろ?」
「お母様?神がどう言う存在か分かっているのですか?神に嘘は吐けないのですよ?」
魔法の神様のそんな事言ってましたね。
「それは、神にとって目の前の事象を理解する能力は、常に存在するものだからです。言い換えれば、第六感で感じ取っているも同義。」
「…嘘やん。気を付ければええ思っとったんやけど…ダメなん?」
「…確かめて見ましょう。ネムアムさん。私に一瞬だけ使って頂けませんか?」
えぇ…。
「じゃあ、一瞬だけ…。制御出来るか分からないですからね?」
「お願いします。」
チャーム使う…チャーム解く。こんな感じですか?
「…。お母様。」
「…どうや?」
「一瞬ですが…ネムアムさんにこの身を捧げようと考えてしまいました。優先順位とはつまり、生存本能や自身が持つ欲望を無視して、ネムアムさんに尽くしたいと考える。と言う事でしょう。それは危険な思想です。全てを見通す神の視点でも、この力を持つネムアムさんの視点でも、何が起こるか予測出来ません。」
「マジでか…ウチやったらどうなるやろ…?」
「…そうですね。結局のところ、ネムアムさんを大好きになるだけで、ネムアムさんを理解した『ネムアムさんが喜ぶ行動』を取ると言う訳ではありません。どう言う行動を取りたいか決めるのは、ネムアムさんでは無く魅了された方なのです。愛の神である私の場合、愛を注ぎ続けようと考えました。勿論、ネムアムさんに断られれば辞めます。ですが間違い無く間に合いません。ネムアムさんが止めるよりも先に、ネムアムさんが愛に耐え切れず崩壊する事でしょう。その後、私がどうなるかは分かりませんが、きっと良い結末とは言えないのでしょうね。この様に、ネムアムさん自身に危害を加える可能性がある以上、下手な使用は控えるべきかと。愛の神でこうなるのですから、呪いの神であるお母様等ではどうなるか…想像したくありませんね…。」
使う必要がある時は気を付けます…。
ですがまあ、奥の手としては良いじゃないですか。切り札的な。ジョーカー的な。
「使うんやったら、事前に何をして欲しいか言うておく必要があるんやな…OKや!」
何もOKじゃ無いですよ?
「ネムアム!!」
「何ですか!」
「ウチには使わんとってな!!」
「…あ、はい。」
それはまあ本当に大丈夫なんですけど。
勇者様、と言うか妹と言うか転生者について聞きたいんですよ。
「そうですね。では、簡単に概要をお話し致します。」
よろしくお願いします。
「私は愛の神です。転生させる対象も愛の強さで決めるのですが、グランとメルルダは夫婦愛。レビィは姉妹愛に惹かれました。『姉の魂が、転生している可能性がある。』事を知り、レビィはこの世界で貴女を探す事に決め、転生したのです。お母様が原因だとは知りませんでしたが…。」
「悪かったって…。」
「ネムアムさんが知りたいのは、レビィが自分が妹なのかどうかですね。結論から言いますと、紛れも無く貴女の妹です。」
私より後に死んだのに、私より早く転生したと言う事ですか。異常に文明が進んだ国があってもおかしく無い設定ですね。転生タイミングのズレはコメディ用の設定でしたか。メタい!
ついでにですが、私は適当に喋ってるだけで第三の壁を認識しては無いですからね?
「転生ではありますが、厳密に言うと異世界ではありません。この世界は、ネムアムさん達が居た前世の世界、その遥か未来の世界なのです。前世に当たる時間軸で死んだのなら、この世界でいつ転生するかのタイミングに全く関わら無いと言う事です。並行する時間軸の異世界から、この世界に転生させている訳ではありませんから。」
ややこしいですね…。でも妹が本人と言う事が分かったのは大きいです。久々の姉さんムーブと行きましょうか。
「…ところでなんですが、セデス様は何故関西弁なんですか?」
「可愛ええやん。勉強したんやで?エセにしてはようやっとる方やろ?知らんけど。」
「異世界言語ですよ!?日本語じゃ無いんですよ!?言語が違う時点でエセですら無いんですよ!!」




