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1/∞の世界で  作者: スマイロハ
王冠は常に冠ってる訳じゃない。の章

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16/47

足ダンダンダンダンダンダンダンダンダン。

「ネマちゃん。ランクアップおめでとう。」

「ありがとルルちゃん。」

新しい冒険者カードも手に入れまして、やっとブロンズランクです。

オグル国で頑張った結果ですね。嬉しいです。

前にも言った気がしますが、アイアンランクのクエストは内容も報酬も薄味ですからね。「初心者育成キット」に入ってる付属のクエストみたいなものなので。

「…だからさ…そのね?ルルとクエスト受けて欲しいな〜って…ダメかな?」

良いですよ。私も受けたかったので。

そんなに可愛い瞳で見つめられたら断れないですしね。

「ありがとう…!クエスト、一緒に選ぼ!」

「うん。良いよ。」

さて、ルルちゃんは【魔法使い】でしたね。私も手札の大半は魔法なので、正直バランスが悪いのですが…どれにしましょうか。

ブロンズランクのクエストからは魔物討伐も増えてくるので、後衛二人でもクリア出来る討伐クエストは一応あります。ただ私達は未成年ですからね。無理をすれば色々な場所に迷惑が掛かる事を忘れてはいけません。

「これどうかな?ミストラビットの討伐クエスト…。」

ミストラビットは霧に紛れて生きる魔物です。全身の体毛から霧を発生させ姿を隠し、常に数十羽の群れで行動するため、数が揃った際の霧は小さな集落なら完全に覆える程に巨大化します。草食で気性が荒く、畑の作物を喰い漁る害獣の為、討伐クエストは度々発生しています。一体一体は然程強くありませんが、発生させる霧は特殊な霧なので足元すら見えない事もあるとか。感知の魔法が使えれば比較的簡単に戦えるので、私とルルちゃんなら問題無くクリア出来そうですね。

「良いね、それ受けよ。受けて来てくれる?」

「うん!少し待ってて。直ぐ受けて来るから。」

ルルちゃんよりは近接戦闘も出来る筈なので気合いを入れましょう!

流石に伸びるナイフにも慣れてきましたからね。

「受けて来たよ。」

「じゃあ行こっか。」

今回の群れは確認出来ただけで27羽です。更に増えているかもしれないので当てにはなりませんが、全体の数が40を超えた辺りで二つの群れに分かれる為、多くても10〜15羽増える程度でしょう。そのくらいであれば魔力は足りる筈です。

因みにですが、ミストラビットのピザは冒険者の間でド定番の一品です。帰ったら作りましょう!

そして場所は小さな農村です。と言っても王都に近いですし、街道も通っているため都会寄りなのですが、結局栄えているのは王都ですからね。少し離れれば魔物も出ますし、盗賊も居ます。やっぱり田舎は田舎です。

その田舎に着いたのですが、随分と人気がありません。

「凄い霧だね…。」

感知の魔法には引っ掛からないので、近くに魔物は居ないようです。この霧にミストラビットは関係無いようですね。向こうの家に人の気配を感知したので話を聞いてみましょう。

「すみません。依頼を受けて冒険者ギルドから来ました。」

少しすると扉が開き、中から小さな女の子が出て来ました。

「しー…!静かにして…!」

「え?すみません…?」

女の子に招き入れられ私達は家に入ります。

「今お父さんもお母さんも寝込んでるから私が聞く。何の用?」

「ミストラビットの群れの討伐依頼を受けて冒険者ギルドから来ました【魔法使い】と【旅人】です。今の状況を教えて頂けますか?」

私が暇で付いて来た人みたいになってますね…。職業変えた方が良かったですか?王都以外では、こんなに丁寧な対応は無かったので困らなかったのですが…やっぱり学校に通ってるだけあってちゃんとしてますね。

「えっと、霧が出たのは一昨日で、そしたら大人の人たち皆んな寝込んじゃって、昨日お父さんもお母さんも倒れて…とにかく大変なの!」

クエストが持ち込まれたのは三日前なので、その後霧が発生してこの状態になったと言う事ですかね。それならミストラビットとは全く別の問題が発生している事になりますが…。

「最初に倒れたのが誰だったか分かりますか?」

「最初は村長のお爺ちゃんだよ。次が…そうだ!お年寄りから順番に寝込んでってたよ!関係あるの?」

倒れたのは霧の影響として、歳を取っている程霧の影響を受けやすいのでしょうか。

「倒れた中で一番歳が近い方は何歳ですか?」

「隣のお兄ちゃんかな。15歳だよ。昨日の夜は元気だったのに今日の朝寝込んでた。」

私達は11歳ですが、影響は受けると考えた方が良さそうですね。

「霧の濃さは一昨日と今日で変わりましたか?」

「今日の方がずっっっと濃いよ。昨日まではもっと薄かったのに、外出たら何にも見えなくなってたもん。」

霧の濃さが影響するなら、私達でも1日持たないかもしれませんね…。この女の子は元気そうですが、「隣のお兄ちゃん」が直ぐに倒れたのなら今目の前でそうなるかもしれません。

「ありがとうございます。」

「ルル達はミストラビットの討伐に向かいます。霧の事も調べておくので、あなたは家でご両親の看病をしてあげて下さい。良い子に出来ますか?」

ルルちゃんは女の子の頭を撫でて微笑みます。尊いです。

「任せて!行ってらっしゃい!気を付けてね!」

さて、恐らくミストラビットの上位種が居ます。この霧は上位種のリーダー一人のものでしょう。本来なら二人で行うクエストではありませんが、霧を上手く扱えていない所を見ると突然変異的に進化したのだと思います。その場合は群れの統率や連携が弱く、二人でも充分対処出来るので、感知の魔法が使える私達なら問題無い筈です。

ミストラビットは進化するとツインテールミストラビットになり、尻尾が二つになります。霧の規模が増え毒性を持つ様になり、群れの仲間と同調して更に多くの霧を発生させるのですが、上位種同士で群れをなす事は無いのでリーダーの一羽しか居ないでしょう。

「リーダーはルルが倒すよ。ネマちゃんには普通のミストラビットをお願い。」

「良いよ。私は火力出せないからね。」

ルルちゃんは典型的な魔法使いです。手札特化の私と違って火力特化なので、一発を大切にしたいですね。

魔物が居るとすれば畑でしょうか。行ってみましょう。

「居たよ。リーダーが来るまではルルも手伝うから、怪我しないでね?」

「体力には自信あるから大丈夫!」

「怪我する前提は辞めて!?」

VSミストラビットです。伸びるナイフは魔力を使うので、斬る時だけ伸ばす事を意識します。一応言っておくと、私の魔力出力はカスなので魔法には期待しないで下さいよ?日常的に使わないと増えないんですよ…。

「射抜け風の矢、ウィンドアロー!」

ほぇ…良く当てられますね。私低出力で弾速遅いので、動かれると当たらないんですよ何故か。偏差撃ちってめっちゃ難いんですよね。

でもナイフで斬るだけなら関係無いですから。斬る時だけ伸ばす…1羽、避けて斬る時だけ伸ばす…2羽、突いたら両手で持って反動耐えて伸ばす…3羽。何とかなりそうですね。

「来た!リーダー来たよネマちゃん!魔法で倒すから詠唱終わるまでお願い!」

「了解!」

ルルちゃんは風属性の中級攻撃魔法を使います。まだまだひよっ子なので難易度を下げる詠唱は必要ですが、そんなに長く無いので少し護るだけです。

お願いします!

「風より速く、風より鋭く、風より大きく、風より強く。穿ち煌めく春の花。通り過ぎ去る夏の木々。放ち放たれ秋の落葉。轟き溶け行く冬の寒草。流れて一つに旋風(つむじかぜ)。」

「ウィンドバースト!!」

しっかり命中!倒せました!

後は残りを倒すだけです。15羽くらいですかね。直ぐに終わります。

「これで最後っと。」

「…!ネマちゃん、まだ居るみたいだよ…!」

最後の1羽を倒したのに霧が晴れません。

可能性としては、生き残りが居るか別の魔物が居るかですが…。

「感知の魔法に反応がある…戦ってる内に新しく来たみたい。」

「倒せる魔物?」

倒せないなら帰りましょう。

「…倒せると思うよ。1羽で行動してるし特殊な個体だけど、上位種では無い普通のミストラビットだよ。…普通でも無いけど。」

ユニークスキルでしょうか。人族等とは違って、魔物がユニークスキルを持つ事は滅多にありません。どんな感じか気になりますね。気になりますよね。

「私が倒してくるよ。何かあったらこっちに来て。」

「分かった…。気を付けてね?」

「了解。」

魔物の位置ですが…村からは離れますね。林の中です。サクッと行って、サクッと倒しましょう!何、所詮はウサちゃんですよ。私はブロンズランクですからね!余裕です!ユニークスキルを持っていても関係無い無い。何故なら私は【流星】の弟子なのだから!!

「ヤー!あっさり倒せましたね。」

あれだけフラグを立てたのに何も無いとは!!読めなかった。この私の目をもってしても!!

結局霧が濃いだけのユニークスキルだったんですかね?これだけ濃いと晴れるまで大分掛かりそうです。まあ、ルルちゃんに報告しましょうか。

「ネマちゃん…。」

「ルルちゃん?何かあった?」

こっちに来ると言う事は生き残りでも出ましたか?

…雰囲気が変です。毒霧のせいでしょうか。毒抜きの魔法使いましょうか?

「いや…何も無い…よ?魔法で…分かったから…倒したの…。」

それで来たんですか。何も無いなら良かったです。毒抜きの魔法使いますね。

「どう?楽になった?」

「変わらない…かも?」

霧の毒は確かに抜けたのですが、表情が変わりません。顔も赤いですし、熱があるみたいです。

「風邪かな?村人さんには私が報告するから、ルルちゃんは休んでて良いよ。」

風邪に効く魔法は使えないんですよね。風邪の原因が分からないとどうしようも無いので、異世界でも医者に行きましょう。

「待って…!」

風邪の時は不安になるものです。

ふーむ、そうですね。ルルちゃんくらいなら全然背負えますよ。

「おんぶしようか?」

「いや…。ここに居て…一緒に居て…。」

抱き着いて来ました。

本当に大丈夫ですか?息も荒いし、熱はあるし、脈も速いです。

「痛い所はある?」

「分かんない…。」

怪我は無さそうですね。

「他に何か無い?『ここが苦しい』とか。『こうすると楽』とか。」

「分かんない…。でも…お腹の奥がキュッてする…。ネマちゃん…にくっ付いてると…楽になる気がする…。」

やっぱり風邪ですかね…?医学の知識なんて無いので、早く王都に帰りましょう。そして医者に見せましょう。

「私がおぶって行くから、しっかり捕まって?細かい事は後で良いから、村の人に馬車借りよ。」

「うん…。」

すみませんね村の人、毛布まで貸して貰って。

「馬車は明日返しに来ます。霧が晴れるまでは慎重に行動して下さい。霧が晴れなければギルドに来て下さい。」

兎に角、今はルルちゃんの健康が第一です。荷台に毛布を積みまして…ルルちゃんをステイさせましょう。前に竜車には乗ってたので、動かせそうで良かったです。

「何かして欲しい事はある?」

「暑い…汗拭いて欲しい…。」

「良いよ。じゃあ…えっと、服、一人で脱げる?」

「脱がして欲しい…。」

…前世で妹が小さい時は、私が看病する事も多かったんですよね。妹は真面目で頑張り過ぎるので、風邪でよくダウンしてましたし。懐かしいですね…。妹にとっては100年前ですか。帰ったら勇者様に会わないといけませんね。

「取り敢えず私の服着て。ルルちゃんのは私が着るから。」

「良いの…?」

「良いの。風邪の時は甘えるものだよ。」

「…分かった。甘える…。」

距離は離れてないので直ぐ王都に着きました。そもそも周辺地域から出てないですからね。

馬車はギルドに預けまして…病院分かりませんね。ルルちゃん分かりますか?

「…。向こう…。」

向こうですね。ありがとうございます。

「…ルルちゃん。ここって病院じゃ無いよね?」

「ごめん…嘘なんだ…。ここ…ルルの部屋…。」

学校の寮ですね。一人部屋で防音もバッチリ。家はジルミお姉ちゃんが一軒家を持っているのでそこに住んでますが、ゴールドランクになる前は寮に居たらしいです。

病院嫌いなんですかね。

「お金なら気にしなくて良いよ?お金よりルルちゃんの方が大事だから。」

「違うの…。病院じゃ治らないの…。」

「教会の方が良かった?」

「違う…違うの…本当に…。兎に角違うの…!……入って…。」

分かりました。

ユニークスキルの効果でしょうか…。村人さんには効果が無かったので、十中八九後から来たあの魔物が原因の筈です。まあ、私には効果が無いみたいなので何とも言えませんが。

死んでも切れない系の能力はルールで禁止じゃ無いんですか!?敵を倒せば能力は切れて下さいよ!

いや、原因は一旦置いておきましょう。取り敢えずルルちゃんを寝かせて…要望を聞いておきましょうか。

「服脱ごっか。楽なのに着替えよ?」

「良い…暑いから…。」

「裸で居るのは良く無いよ?体が冷えると悪化するかも。」

「じゃあ…ネマちゃんが暖めて…?」

「私が?」

良いですけど…私も脱ぐんですか?

「脱いだよ?」

「ギュッてして…。」

ギュッてしますけど、しますけど!

あの…いや、流石に私もそこまでイカれては無いですが…。これは何と言いますか、刺激的ですね…。

「どう?」

「あったかい…。…ネマちゃん。」

「何?」

「目…瞑って…?」

はい…瞑りましたよ…?何ですか…?一体何が始まるんです?

「ごめんね…。」

「!?」

「ちょ、えぇ!?」

キスされました。

何ですか?何でですか?何なんですか?何でなんですか!?

「お腹の奥が苦しいの…。こうしたら楽になる気がしたの…。ごめんなさい…。」

「いや…良い、けど…。」

うぅ…選択肢から外してたんですけど…。やっぱコレってそう言う事ですか?興奮作用のある霧だったって事ですか?…ですが、魔物が死んでから出て来た村人さんには効かないとして、私に効かないのは何故ですか?効果人数は一人までだったんですかね?

いやいやいや、それよりもこの状況を何とかしないと。

「好き…。」

「ぅぇ…?」

「肌も…匂いも…唇も…心も体も全部好き!」

「ありがとう…?」

「だからごめん…。もう我慢出来ない…!」

何で健康体の私がベットに寝て、病人のルルちゃんが私の上に居るんです?私は何をされるんですか。

「ルルちゃん?どう言う事か…分かってる…?」

「学校で習った…。」

冒険者を育てる学校でも、ちゃんと座学はやるんですねぇ…。

「女の子同士は習って無いでしょ…?」

「習ったよ…。そう言う人も居るって…。でもネマちゃんがどうかは関係無い。もう、ルルが我慢出来ないから。ごめん。」

あはははは…はは…マジですか。進み過ぎでしょう。

「頭がくらくらするんだ…。心臓もうるさいし…何よりネマちゃんから目が離せない。」

「好き…。」

舌…。

嘘でしょ…それは習って無いですよね!?

下…!?

流石にマズいですって!!流石にマズいですって!!

…こうなったら仕方ありません。魔法で眠らせましょう。朦朧としている今なら魔法使い相手でも簡単に効く筈です。

(ルルちゃんごめん!何で襲われてる方が謝ってるのか分かんないけどごめん!何で私に効果無かったのか分かんないけどごめん!兎に角ごめん!!スリープ!!)

詠唱無しで魔法が使えるのって便利ですね!!口が塞がってても使えますもん!!こんな形で実感したくは無かったですけどね!!

「寝た…?」

服を着せて、寝かせておきましょう。

私はどうしましょうか…。起きるまで待っても良いですが、それで治りますかね?リエルさんのユニークスキルは時間経過で治るらしいですけど、これも同じとは限らないですからね…。

まあ放置するしか無いですか。勉強したとは言え、私の知識なんてたかが知れてますから。起きたら治っている事を祈りましょう。

「ん…ぅ……っん…。」

…待ちましょう。

「…。」

「起きた?ルルちゃん、気分はどう?」

「ネマちゃん…?ルル…何をやって……。」

「!?」

「あぁ、思い出しちゃった?」

今度は別の意味で顔が赤くなってますね。

「ごめんなさい…。」

「大丈夫だよ。治って良かった。」

風邪じゃ無かったので良かったですね。本人は風邪の方がマシかもしれませんが。

結局一日中寝てましたからね。出力だけじゃなく制御もカスです。クエストの残りの用事を全部終わらせられましたよ。ついでにパンも買って来ました。

「お腹空いてるでしょ。パン食べる?」

「…食べる。」

こっちはこっちで、時間が解決してくれます。自分では引き摺っているつもりでも、意外と心の中には残っていないものですから。

問題は残っていますが。取り敢えず一件落着です。暫くはルルちゃんの側に居ましょう。

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