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1/∞の世界で  作者: スマイロハ
鬼ごっこの追う方は鬼。逃げる方は何?の章

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事の始まりは八日前。

私たちがモモの里を出ようとした日、鬼族の国を嵐が襲いました。

七日前には豆腐が腐り、五日前には酒が腐り、今では山すら腐ってしまいました。

「嵐に何か混じっていたんでしょうね…。ここに来て食料が全て駄目になりました…。」

鬼族の国全体が嵐の被害に遭い、大飢饉が始まったのです。

近隣諸国からの食糧支援で何とか食い繋いでいる現状、食糧を巡っての混乱を避けるため将軍様は港への立ち入りを禁じました。

引き留められたお陰で嵐が来る日に野宿していなかったのは良かったですが、実質の出国禁止ですか…。

傍迷惑な嵐ですね…。結局モモの里から出られないじゃないですか。

「ネムアム殿!!大変でござる!!」

サヨさん…。大変なのは分かってますよ。私のことを冷酷無比で他種族の生活に全く興味が無い外道だと思ってるんですか?

「将軍様でござる!!将軍様から『シロの里へ来て欲しい』とネムアム殿宛に!!」

何で私ですか…。

将軍様は私のことを冷酷無比で…。

「いや、恩人殿。此度の招集は我々各里の長にもかかっている。そして、恩人殿の様な外国の者にも同様に。」

尚更何でですか。私達の中の誰かが原因だと思ってるんですか?

と言うか普通に喋れるんですね。

「それは分からぬ。だが、将軍様は理由無く人を疑ったりはせん。呼ばれたと言うことは理由があると言うこと。まあ、そう固くなるな。文面から察するに、いつもの会談に知識人として招待されただけだろう。何より!!!恩人殿のことは我らがお守りします!!!!!!たとえ将軍様が相手であろうと!!!!!!」

まあ良く考えたら、お婆ちゃんぐらいの魔法使いでもない限り一国を相手にするのは無理ですからね。

里長が来るならお婆ちゃんも来る訳ですし、私は話を聞いているだけで終わりそうです。

「いざ!!!シロの里!!!!!!」

「にござる!!」

「おー。」

ふむ。と言うわけで着きました。将軍様の御膝元こと、シロの里です。

私が訪れた町では一番の都会になりますね。

シロの里にも里長が居て、将軍様は別の仕事をしているそうです。国の運営ですね。

「ネムアム!久々じゃの。元気にしておったか?」

「元気ですよ。」

お婆ちゃんも元気そうで何よりです。

ワンチャン来てないかもと思いましたが要らない心配でしたね。すみません。

「来る気は無かったんじゃがな。周りの目が痛くて…。」

…。リエルさんは居ないみたいですね。

お酒が無くなる前に国を出るとは…あの人には特殊なセンサーが付いてるんですか?

「皆息災の様で安心した。外国の方々も、遠路遥々来て頂いたのに申し訳無い。」

「私はこの鬼族の国 オグル国 将軍 サダツネ・スイカクリョウだ。皆も座ってくれ。」

オーラが!!

眩し過ぎます!!今まで会った事の無いまともさですぅ…。

何で会った事無いんですか私はぁ!!

「此度の一件だが、原因はやはり嵐に間違い無い。それに関して、チトセから話がある。」

やっぱあの嵐変なモノが混ざってたんですね。

「【里長】と言うより、【流星の魔法使い】としての見解じゃ。あれは自然発生した嵐。じゃが、それが途中で地獄にでも入ったか、強力な腐食属性を帯びた。本来なら、民も魔物も腐った筈じゃ。」

「じゃがわしらは腐っとらん。つまり、特定のものだけを狙って腐らせた事になる。」

自然の嵐を利用して、誰かが意図的に鬼族の国を襲ったと。

それってお婆ちゃん程の魔法使いが居ることになりますよ。大変じゃないですか。

「一国を相手に。わしなら出来る。じゃが、この世にわし程の魔法使いは居らん。推測じゃが、腐食属性自体も自然発生したものと考えた方が良い。」

じゃあ何で私たちは無事なんですか?

「となれば、我々に腐食から守る魔法をかけた者が存在する事になりますね。将軍様はそれが外国の者であるとお考えなのですか?」

なるほど!

腐食属性付与嵐から私たちを守るだけなら、普通の魔法使いでも出来ると言う事ですか!

…私は出来ませんよ!?

「国を出た後かも知れぬがな。鬼族は元々魔法に疎い。外国からの観光客は近年増えている事と、国全体の民に魔法を掛けられる人数を考え、鬼族より外国の者の方が可能性は高いと判断した。外国の者には申し訳無いが、黙って魔力の測定もさせて貰った。ここに居る外国の者は一定以上の魔力を有する者だ。」

私は本当に出来ないです。

「その可能性も無くなった。ここに居る全員を調べたが、嵐の腐食に耐性のある魔法は誰一人として使えん。一応言えば、わしは使えるがな。」

じゃあ…解散ですか?

「そうか…。チトセ、そして外国の方々、手間を取らせて済まなかった。外国行きの船を用意してある。今この国に幽閉するのは忍びないのでな。」

ありがとうございます!

「翼のある種族に密入国でもされればどうしようもないな…。チトセ殿。同じ轍を踏まぬ為、国を覆う結界を張りたい。御助力願えるか。」

「良いじゃろう。ならわしらは少し開けさて貰うぞ。失礼する。」

赤と青行っちゃいました。

と言うか翼で、食糧無しに民が無事ってなんか嫌なんですけど。

私の会った二人は別件の筈ですし…でも時間は経ってますからね。

「確か、クロの里で吸血鬼騒動があったな。まさかそれか?」

…いや無いですね。

吸血鬼だって吸うなら健康体ですもん。食糧を奪って精神的に追い詰める必要無いですから。

「いや、あれは結局死人が出ていない。それに全員『気持ち良かった。』と言っている。恐らく別の…淫魔族か何かだろう。見た目も似ているしな。」

「淫魔族…。集団で行動するとは思えないですね。どちらにしろ関係は無いでしょう。」

何が目的なんでしょう。

資源も腐っちゃてますし。

「食糧を奪うのは有効な戦術だ。だが、民は兎も角兵すら殺さぬとは…戦が目的では無いのか?」

「奴隷が欲しいのであれば分かりはしますが…兵が居ても相手にならないと言う事でしょうか?いや、兵糧攻めが望みなら、何故直ぐに攻めて来ないのか…。」

攻められない理由があるとかですか。

「想定外の事態が起きた…若しくは…。」

作戦が失敗したとか?

「…兵が死んで居ないのは誤算だった。と言う事か…!」

「民を残して兵も将軍も死ぬ筈だったのに、何故か敵の兵が生きている。その為攻めるに攻められなくなった。と。確かに、それならこの奇妙な状況にも説明がつく。」

「では、皆その可能性で調べ直してくれ。今日は一旦解散する。」

ポンコツな敵ですね。

どうせお婆ちゃんには効かないんですから、そんな方法でも落とせないと思いますけど。

…効くんですか?

「効かんぞ。じゃが、わしが戻った事を知らん訳でもあるまいし、わし一人になら勝てる自信があるのかも知れんな。」

本気を知らないので分かりませんが、相手が魔法以外の最強だったら勝ち目があるんですかね。

「アカの里に滞在するんじゃ。ネムアム。わしに何かあったとしても、ぬしなら神様が守ってくださる。他の者には言えぬがな…。」

そんなヤバいんですか?

「…勝てますか?」

「勝つ。」

じゃあアカの里に居ます。平和になったら今度こそ出て行きますよ?

「それで良い。…もし、敵がわしに勝つ気で居るのなら、国の大半は捨てねばならなくなる。悪いがわしは【魔法使い】じゃ。【勇者(ヒーロー)】にはなれん。」

なんかカッコいいですね。

頑張ってください!いざと言うときはお婆ちゃんの方を応援しますよ!

「なんで敵を応援する択があるんじゃ!寝返ろうとするな!」

だからお婆ちゃんの方を応援するって言ってるじゃないですか。

「…。国を覆う結界は復興してからになる。結局、一年経っても出られそうに無いのじゃ…。最悪じゃ。」

腐食嵐は自然発生で間違い無いようです。

腐食属性付与も、とある種族なら住む場所の関係で可能だそうですし、その種族なら、お婆ちゃん一人が相手だったら勝てる気でいるのも納得です。

「この短期間で敵の情報が分かったのは、皆の尽力あっての事。私一人では到底成し得無かった。改めて感謝する。」

「敵は魔族と判明した!!鬼族の誇りに懸けて!!我々はこれを討ち破り、故郷の平穏を取り戻す!!」

そんな魔族の襲来ですが、一ヶ月も経たずに来ました。

腐食嵐と一緒に。

「警戒していればたわいも無い。」

これはお婆ちゃんがあっさり無効化しました。

ただ今度は攻めて来ました。

各地で火蓋が切られたようですね。

「拙者が守るでござる!!」

サヨさんには、故郷の里を守った方が良いのではと言ったんですけどね。そんなものより恩人の方が大切だと言われました。

嬉しいですねー。

「ダーッハッハッハッハッハ!!我、参上。」

我って、誰ですか。

「ここに最強の魔法使いが居ると聞いて来た!!どこだ!!きっと筋骨隆々の巨漢であるのだろう?はて…誰の事だ?」

「わしじゃが?」

この方です。

「ふーむ…我を誘っているなぁ?そんな変身魔法で油断を誘っても意味無いぞ!!さあ変身を解け!!そのままでは全力が出せまい!!」

「解いてこれじゃが?」

これですね。

「っすぅーーーーーーー…。」

耳塞ぎましょうか。

「オォゥッ!!!!ノォゥッ!!!!」

「斧使いじゃなくて魔法使いじゃが。」

魔法使いですから見た目はあてになりませんよ。

「確かにそうだ!!思えばドリューがそう言っていた気がする!!」

ドリューさんはもう少し思いやりを持って欲しいですね。

「我は魔王軍四天王が一人!!【力】のヴァイス!!いざ勝負!!」

「と行きたいところだが…。」

ずこっ。ですよ。何ですか急に。

「我では勝てぬらしくてな。勝ち目の無い戦いをするほどバカでもない。」

(いで)よ我が(しもべ)!!シャキーン!!」

効果音無いなら付けなくていいんじゃ無いですか?

「あった方が盛り上がるだろ?」

イマイチ盛り上がって無いですけどね。

「何じゃ?それは。キメラの類か?」

「御名答!!これは獅子、鳥、魚、虫、花、5種の生物の特徴を混ぜ合わせた特注品で、あらゆる魔法に強力な耐性を持ち、魔法使いに対して無類の強さを持つ魔王軍の秘密兵器税抜999,999,980,000デュラとなっております。しかも、今直ぐお電話頂いた方に限り、特製アタッチメント(着せ替えセット3点)をお付けした上で送料無料となっております。お早めにお電話ください。『まー安い!これは買うしか無いですね!』(これは他の人に読ませる。)」

全然高いですよ。

もっと何か付けてください。

「え?じゃあ…えっと…あった。あなただけ特別に!特製アタッチメント色違い3点もお付けします!」

「要らないですね。帰ってください。警察呼びますよ。」

「そうですか…ああ直ぐ帰ります。すみませんでした…。」

帰りましたね。

「帰ってなーい!!フッフッフ…貴様やるな!!」

どうも。

それで何なんですか?キメラは。

「このキメラは魔法が効かない!!魔法では倒されないのだ!!つまり!!我は観ているだけで最大の障壁を破ることが出来る!!と、言う事だ!!」

マジで効かないんですかお婆ちゃん。

「…本当に効かんとはな。流石に、こんなものに逢ったのは初めてじゃ。」

「そうだろうとも!!ダーッハッハッハッハッハ!!」

「じゃが、全く効かんと言う訳でも無いようじゃな。耐性が高いだけか…なら手の打ちようはある。」

「甘いぞ!!精神系の魔法など、コイツに効果は無い!!心が無いからな!!フーッハッハッハッハッハ!!」

もしかしてピンチですか?

「甘いのはそっちじゃ。この程度でわしの相手が務まるなど、魔王軍に情報機関は無いのか?」

「…何だと?」

「耐性が高いだけなら、もっと強い魔法を撃てば良い。幸い、わしの出力でもダメージになりそうじゃ。」

それって、私たちも危なくないですか?

「ネムアム。皆に伝えてくれ。神様にもじゃ。『全員この場から離れろ。2時間後に最強の魔法を撃つ。耐えれる奴は居らん。』とな。」

「我でも耐えられんのか?」

「試してみるか?最後の言葉くらい聞いてやるぞ。」

「ダーッハッハッハッハッハ!!バカではないと言ったろう!!退却させてもらう!!さらば!!」

ホントに帰りましたよ。

迷惑な方ですね。

それで2時間ですか。

「魔力は無限ではない。増援があるか分からんが、用心はしておきたいんじゃ。」

任せてください!逃げるのは得意ですから!

「…行ったか。」

「我は帰って来たぞ!!」

「何で帰って来たんじゃ。やはりバカなのか?」

「いや何、我のスピードなら見物しても大丈夫と思ってな!!良く考えれば詠唱時間で充分逃げられるではないか!!」

「ぬしは魔法を使わんのか?」

「ああそうだ!!それがどうした!!」

「…2時間と言ったら2時間じゃ。詠唱時間は含めておらんからな。」

「良いとも!!」

…。

そろそろ2時間じゃな。

「知っておるか?魔法の詠唱は、使う魔法が強ければ強いほど長くなる。その理由は、長い詠唱で魔法の難易度を下げられるからじゃ。詠唱によって精度を高め、少し難しい魔法でも問題なく使える。」

「ほう!!勉強になるな!!」

「初級、中級、上級、最上級ともなれば、一流の魔法使いでも長い詠唱時間を要する。最上級まではな。」

「まだ詠唱をしなくて良いのか?」

「最上級まではと言ったじゃろう。」

「最上級の上、超級魔法に詠唱は無い。」

「ほ〜う…。やはりそろそろ逃げる事にしよう!!では!!また会う日まで!!ダーッハッハッハッハッハ!!」

何じゃったんじゃ結局。

まあ良い。無益な殺生は好まん。

…あと10秒、9、

8、7、6、5、4、

3、

2、

1、

「メテオ!!」

お?魔法を撃ったみたいです。

「何じゃ見物しとったのか。物好きな奴が多いのぉ。」

瞬間移動があれば、竜車とか要らないんじゃ…。

「そっちの方が旅っぽくて良いじゃろ。」

まあ、新幹線とか飛行機に乗らず、車で遠出する人も居ますからね…仕事じゃないですもんね。

「おっ、落ちてくるぞ。」

結局何の魔法ですか?

「本物の隕石を落とす魔法じゃ。隕石自体は魔力で作った訳では無いからな。これならあのキメラにも通る。…少々過剰じゃが。」

倒しきれなくても面倒ですし良いですよ。

私の里じゃないんで。

「薄情もんじゃの。」

おお!隕石ですね!

すごーい、初めて観ましたよ隕石。

理科の先生は、普通の石を隕石って言い張って置いてましたし。授業の前日に河原で拾ってたの見てるんですからね?先生。

…あれまだあるんですかね?ちょっと思い出しちゃいましたよ。

…。

…?

あの…お婆ちゃん?

ちょっとデカ過ぎませんか?

「目測を誤ったか…!不覚!」

不覚過ぎるでしょう!!

大体見て決めてないですよね!?

「もうちょっと小さい筈だったんじゃ?…倍ぐらいあるけど。」

倍は盛り過ぎですって!!

どんだけ節穴何ですか!!

「ネムアムよ。」

「何です?」

「瞬間移動の魔法は使いやすいな。」

「そうですね!!使ってください!!」

…あー、里が完全に壊滅してますよ。

復興はこれ、一年とか二年とか、そう言うレベルの話じゃないですね。

まあ、お婆ちゃんは最強の魔法使いなので大丈夫でしょう!神様の家を直したのと同じ要領ですよ!頑張ってください!私は次の国に行きます!

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