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1/∞の世界で  作者: スマイロハ
鬼ごっこの追う方は鬼。逃げる方は何?の章

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人間とふりかけは似た奴がいくつもある。

さて、サヨさんの荷物を盗んだ魔物ですが心当たりはありませんね。

他の生き物から食べ物を盗むと言うのは、魔物の生態としてさほど珍しい事でもありません。この鬼族の国でも何種類かはそう言う生態を持っているはずです。

しかし今回は人間の持ち物です。サヨさんはちゃんと街道を歩いていますから、わざわざ街道に近付いたことになりますね。そうなると、強さに自信のある魔物か、警戒心が薄いのか、それとも余程桃角が舐めれているか、と言うことになります。

「拙者が見た魔物は、強そうに見えなかったでござるよ?小さくてもふもふしていたでござる。もふもふしたかったでござるな〜…。」

色はどうですか?

と言うか絵描けませんか?黒インクしかありませんが。

「絵は好きでござるよ!暫し待たれよでござる!」

それから5分ほどで絵を描きあげ、私に見せてくれました。

下手ですが…何となく分かります。

「色は狐色でござる!四つ脚で走って、あっちに逃げて行ったでござる。」

四足歩行で、尻尾に鼻。毛の色は狐色…。

「狐ですね。」

「狐でござるか。」

色の名前は知っているのに、その元となった生き物は知らない。よくある事ですが…狐ですよ?

「話には聞いていたでござる…。本に載っていた絵よりもふもふなのでござるな。勉強になったでござる。」

大抵の哺乳類はもふもふしてますよ。

そんな事より逃げたのは向こうの方ですね?山に登るのは気が進みませんが、昼間のうちに行きましょう。

「はいでござる!」

山の麓に着いた私たちは、野宿出来る場所を探して明日捜索することにしました。

「ネムアム殿!開けた場所を見つけたでござる!」

でかしましたよサヨさん。やればできるじゃないですか。

からあげが居れば楽だったんですけどね…。お婆ちゃんの持ってる竜車とか、どこ産か分からないですからね。

…でも移動手段は欲しいですね。何か探すことにしましょう。

それでサヨさんが見つけた場所ですが。

「足跡ですよこれ。」

それも一匹や二匹ではなさそうです。百匹ぐらい居るんじゃないですか?

大きさ的に、件の狐の仲間でしょうか。

「ではこの足跡を追えば拙者の荷物が!」

取り返せるかもしれませんね。

「今直ぐ行ってくるでござる!」

いや今日は寝ましょうよ。

「寝るでござる!」

夜が明けて、私たちは足跡を辿ります。

大移動ですね…。何かに追われて逃げているのかと思いましたが、足跡は一種類だけなので違うようです。

「見つけたござる!」

大きい声出さないでくださいよ?

…確かに見つけたようですね。一、二、三…。

二百匹居るかもしれません。流石に魔物の種類までは分かりませんが、百匹以上で群れる魔物には社会性があるらしいですね。

「あの黄色い袋は…!拙者の荷物でござる!遂に見つけたでござるよ!」

あれですか。

お弁当は食べられてるでしょうけど、中身は無事のようですね。どうやって取り返しましょうか。

「侍たるもの!正々堂々、一対一で勝負でござる!いざ参る!」

相手は侍じゃないし二百匹居るんですよ?一対一なんてしてくれますかね。

「してくれなかったでござる…。」

ですよね。

回復魔法は練度が低いので、ボロボロのまま我慢していてください。

しかしどうしましょうか。

こっそり近付いて盗み返すのも無理でしょうし…。

「仕方ないですね。乗り掛かった船です。ここまで来たら付き合いますよ。」

チャージ式の魔力爆弾20個全部使います。

海賊さんに貰ったアイテム、こんなことに使って申し訳ないです。

出来るだけ回収しましょう…!

「半分の10個渡すので、荷物から離れるように追い立ててください。後は頑張って取り戻してください。」

取り敢えず一個投げてみますか。

ぽいっ。

「ギャー!」

あなたがビビってどうするんですか!?

「大丈夫でござる。驚いてないでござる。ちゃんとやるでござる。」

おお凄い。適当にぽんぽんぽんぽん投げまくって…。

驚いてますよね?

「驚いてないでござるー!!」

別に隠さなくても…今チャンスですよ!

狐が離れた内に取ってください!

「やったでござる!取り返したでござる!間違いないでござる!拙者の冒険者カードも入ってるでござる!」

何とかうまく行きましたね…。

喜んでもらえてよかったですよ。

「ん?」

どうしましたか?

「逃げるでござる!早く逃げるでござる!」

え?何が…。

狐の群れに見つかっちゃいましたね。

二百匹相手に逃げるのは難しいですよ?まあ爆弾投げれば何とかなりますか…。

「イヤーーーー!!!!」

はぁ…。酷い目に遭いました。

何とか逃げ切れたのは良いですが、残った私のアイテムは伸びるナイフと魔石のネックレスだけですよ。折角何回も使える便利アイテムなのに…。これじゃ普通の爆弾で良いじゃないですか…。はぁ…。

「拙者の責任でござる!かくなる上はこの身を…!!」

良いですよもう…。

「本当にごめんでござる…。拙者、見通しが甘かったでござる。自分を過大に評価していたでござる…。」

やっと分かりましたか。

「自分の弱さを知るあなたはもっと強くなれますよ。」と。

「…。拙者、里に帰るでござる!これ以上恩人に迷惑をかける訳にはいかない故!」

…。

…。

…。

はぁ…。

…。

……はぁ…。

分かりましたよ!

「サヨさん。私への恩はゆっくり返してくれれば良いですから、今まで通り一緒に旅をしませんか?」

「ネムアム殿ぉ…!!一生着いて行くでござる!!」

「一生来るならもう少し頼り甲斐のある女性になってください。」

こうして、一瞬で一人旅は終わりました。

まあ私成人してませんし。仕方ないですよ。うん。

さて!幾つかアイテムは常備しておきたいですからね!サヨさんも居ますし、ギルドにでも行ってみましょうか。

「ハイの里には冒険者ギルドが無いみたいですね。」

「キの里もですか…。」

「ここも?」「この里も?」「ここにも無いんですか!?」

「無いでござるよ。」

何でですか!?

と言うか何でサヨさんは冒険者になれたんですか!モモの里にはあるんですよね!?

「トウカクの者はそう言う事に積極的でござるからな。」

それ以外は?

「消極的でござる。と言うか興味が無いようでござるな。」

鬼族の冒険者が少ないのは知っていますが、ただ少ないだけだと思っていました…。

言われてみれば、鬼族の方は自営業が多いですからね…。家を継がずに事業を興す事もなく冒険者になる人が少ないのでしょう。

盲点でした…。お婆ちゃん教えてくれれば良かったのに!

「大丈夫でござる!次に行く里はモモの里でござるよ!」

いやまあ、そうなんですが…。そうなんですよ。

モモの里行きたくない…。

コレが沢山居る里ですよ?

コレですよ?サヨさんですよ?なんならサヨさんちょっと改心してますからね。コレより上ですよ?…いや下ですか。ややこしいですね…。

「モモの里へようこそ!!!旅の冒険者殿!!!我ら一同大歓迎ぞ!!!!!!」

ああ…どうも…。

「サヨ!!!良くぞ観光客を連れて来てくれたな!!!里長の名において褒美を取るが良いぞ!!!」

「ありがとうでござる!!父上!!」

ああ…サヨさんその桃美味しそうですね…。

「冒険者殿!!!サヨから手紙を受け取っている!!!娘を助けて頂いた事!!!感謝しても仕切れん!!!!!!どうぞゆっくりと!!!!!!旅の疲れを癒してくだされ!!!!!!」

ああ…良いお湯ですね…。しっかりのぞき対策の警備も付けて頂いて…。

「今夜は宴ぞ!!!!!!!!!皆の者!!!!!!!!!精一杯楽しめ!!!!!!!!!」

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

うおー…。

次の日。

「おかしいですね…。あんなにぐっすり寝れたのに疲れが…。」

「長旅故、仕方ないでござるよ。今日はギルドに行く予定でござるが…辞めてゆっくり観光でもするでござるよ!」

「いや行きます。」

出来るだけ早く出たいので。

…悪い方達では無いんですよ?モモの里がこの国有数の経済力を誇るのも、里長の人徳あっての事と聞いていますし。

まあサヨさんの父上だとは聞いていませんが。

それに冒険者ギルドだって、この里と御膝元、後は港にしか無いですからね。お人好しなのは分かってるんです。

分かってはいるんです。

「パーティ登録お願いするでござる。これ冒険者カードでござる。」

リーダーは…私ですか。まあサヨさんが良いなら良いですよ。

ここまでの旅で分かった事ですが、サヨさんはまあまあ強いです。少なくとも私では相手にすらなれません。

ただ同時にまあまあ馬鹿です。私では相手にすらならない阿呆です。

登録はしてくれるらしいので、サヨさんを信じてクエストを見ておきましょう。信じて。

「何ですかこのクエストボードは…?」

小学生のお使いかと思えば…ブラックヘルタイガーの討伐?危険度いくつですかこれ。

桃角の実力は、「滅茶苦茶高く色眼鏡で見積もってシルバーランクにギリ届かないくらいじゃ。」ですよ?絶対無理ですよ。ヘルですよ?地獄ですよ?地獄行きですよ?

良い人ですから仲間に恵まれてるんでしょうけど、良く今まで無事でしたね桃角は。

…残りの所持金は10万デュラですか…。港に行くことは出来ますね…。

「娘はきちんとやっているだろうか…チラッ。」

「あの人族、子供に見えますね…。確か、アカの里にその様な魔法使いが居るとか。」

「見た目では判断出来ないわ。きっと凄い実力を…。」

「終わったでござるよネムアム殿!」

私港に行く事にします。

「え!?何ででござるか!?」「何故!?」

居心地悪いので。

「迷惑はかけられませんから。」

「そんな事ないでござる!」「そうだぞ!恩人殿!」

正直言ってめっちゃ恥ずいです。

「だったらせめて、一つくらいクエストを受けたいでござる!!」「見たいです!」

成長したところを見て欲しいとか言わないでくださいよ?対して変わってないんですから。

「そんな事ないでござる!」「そうだぞ!恩人殿!」

成長したの伝わってるじゃないですか!!

「お願いするでござる!!この通り!!」「この通〜り!!!」

…ふぅ。

鬱陶しいので早く受けて出ましょう。

どれが良いですか?

「このブラックヘ」

「やっぱり私が決めて良いですか?」

「勿論でござる!!」

そうですね…。

それなりに強くなったとは言え、結局私は子供ですから…安全なものを…これはどうですか?

「運搬クエストでござるか!良いでござるな!」

ではこれを受けましょう。

終わったら里を出ます。

「御意でござる!!」「もうちょっとゆっくりして行っても…。」

里長様は黙っていてください。

…こほん。クエスト内容は、「桃園の庭にて30個の品物を回収する。」ですか。

「あの…この生き物は何ですか?」

「小っちゃいおじさんでござる。」

運搬ってそう言う事ですか?この小っちゃいおじさんに運搬させるって事ですか?段取り良く?

て言うか何ですか小っちゃいおじさんて。

「おばさんも居るでござるよ。」

ああそうですか!…このおばさん美魔女ですね。

そうじゃないんですよ!何で小っちゃいおじさんが労働力として受け入れられているのか聞いてるんですよ!

「人族の国には居ないでござるか?結構可愛いでござるよ?」

いや可愛いって…可愛い?

「お嬢さん。指示をくれれば、後は俺達でやっておくぜ。」

渋いですねぇ…。

て言うか話せるんだ…。

やっぱ可愛くはないです。

「先ずは目標の品物を見つけるところからでござる!二手に別れるでござるよ。」

まあ…まあ異世界ですから!!よし!!

この笛を吹けば良いんですねー吹けないんですけどぉ??

ホイッスルじゃなくて尺八なんですけど。素人が吹ける訳無いじゃないですか…!!

ああサヨさん先に行かないで…。綺麗な音色ですねその尺八…。

「大丈夫よ。指示は口頭でも伝わるわ。決して焦らず、周りを良く見るのよ。」

「安心しな。俺達が付いてる…!」

皆さん…。

皆さんのせいで私は焦ってるんですが?

「みぃ、ミーンミーン…。」

誤魔化せてませんよ。何ですかそれ。蝉ですか。

セミファイナルの研究でもしましょうか。

「…冗談よね?」

「冗談です。」

冗談じゃないのはその服ですよ。

何で全身タイツなんですか。

「これか?これは制服だ。」

変えた方が良いですよ。それ。

「いや…これにはちゃんと意味が…。」

そうですか。とにかく!早く終わらせましょう。

先ずは…あのオルゴールから行きましょう。あれを運んで来てください。

「それは無理だぜ。お嬢さん。」

何でですか?

「良く見ろ。あのオルゴールは30人分の重さがある。俺達は20人しか居ないんだぜ?」

見えませんよ重さなんて!!

じゃあどれなら運べるんですか!!

「あの置き物なんか良いでヤンス。丁度20人分でやんす!」

誰ですかあなたは…!?

いや、あなたも小っちゃいおじさんですよね。分かってます。

よし、あれを運んでください。あの高台の置き物です。

「アレは無理じゃね?届かないっしょ。」

届かないって何ですか。

「あー確かに、アレは黄ばんだ制服じゃないと無理か…。」

黄ば…は?

「あっちのはどうでヤンス?池の中の。」

「無理よ。私達泳げないのよ?それよりあれはどう?」

「一番無理だろ…焚き火に突っ込むとか意味分からんわ。消防隊政府おじさんじゃないと無理。」

「アレは?」

「あっちは?」

「それとか…。」「向こうに行くでヤンス。」「馬鹿!あっちはダメでしょ!」「段取りが悪いって!ここは僕の指示に従って…。」「絶対アレ!」「疲れた…。」「まずショートカットをだな…。」「お腹すいた。」「いや敢えてのこっちから…。」「そっちには魔物が!」

…。

「黙って私の指示を聞け!!!!」

「イエッサー!!」

2番はあっち。

1番は私と来る。

3番と4番はショートカット。5番は魔物を誘き寄せて。

それと…。

「終わった…。」

無駄に疲れた気がします…。二度とやらない事にしましょう。

「おお!初めてなのにもう終わったでござるか!流石はネムアム殿でござる!」

何でどいつもこいつもロリにリーダーをやらせるんですか。

まだ小学校も卒業出来ない年なんですよ私はぁ!

「早速報告に行くでござる!」

結局日が暮れてしまいました。

…報酬は美味しかったですけど。明日は何が何でも里を出ましょう。

鬼族の国は、四方を海に囲まれた島国なんですよね…。故郷の雰囲気に近いので好きなんですが…背に腹は変えられません!

…。

嫌な予感がするのは分かってるんです。

でも夢を見るのは自由です。今夜だけは夢を見させてください。

おやすみなさい。

「豆腐が腐ったから港に行けない?私はまだ夢を見てるんですか?」

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