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元婚約者消しゴム

「ポルタミーナ・エクリール!貴様にバトルを申し込むっ!!」


食堂のテラスで昼食中のポルタミーナを指差し決めポーズをとる元婚約者のダカンチェッラーレ・フェルメは周りに白い目で見られている事に気が付かない。


もう近くで見る事も無いだろうと思っていた赤茶の髪と赤い瞳にポルタミーナは手を止める。


「昼食中です。静かにして下さい。」


「あ、ああ、すまなかった…じゃないっ!俺は、バトルを申し込んでるんだっ!!早く受けろっ!!!」


「ですから、私は昼食中なのです。大体何故貴方からのバトルを受けなくてはいけないのですか。」


「ふん。俺が言っているんだから従うのが筋だろ。お前のせいで謹慎になりマルティータとも会えん。愛するマルティータの為に貴様からスキルを奪い金も取り返すのだ!」


「はぁ……。」


せっかく謹慎が解けたのだから大人しくしていれば良いものを謹慎が解かれた初日にこの騒ぎを起こしたのだ。

監視していたフェルメ家の影が消えたのを確認し、ポルタミーナは昼食を切り上げ立ち上がった。


「バトルをするには条件があります。」


「条件?」


「私が勝利した場合、スキルを奪うのは勿論ですがその瞬間から卒業後も私に関わらないで下さい。マルティータもです。

マルティータは私の侍従ですが役目を果たしていません。貴方もマルティータも侍従として要らないので。」


「なんだと!!まあいい。分かった。」


「もう一つ、二人には離婚が出来ない制約付きで婚姻してもらいます。」


「それは願ってもないっ!」


二つ返事で了承したダカンチェッラーレにポルタミーナの優秀な侍女が書類を渡しサインをさせる。

帰宅後、ポルタミーナは父親に本日の出来事と書類を渡すと直ぐに手紙を二通書き書類と共に両家に送った。

書類はその日中にサインされ戻ってきた為、次の日ポルタミーナはダカンチェッラーレとバトルする事となった。



「ポルタミーナ・エクリール!貴様にバトルを申し込むっ!!」


「私、ポルタミーナ・エクリールはダカンチェッラーレ・フェルメとのバトルを特殊条件でお受けします。」


「「フィールドオープン!」」


二人を起点に広がったのは熱気と果てしない火山地帯。

ポンッと音を立てて現れたのはシルクハットを被った赤いトカゲだった。


「このバトルは俺、ワームの火山フィールドで勝負だっ!

特殊条件だからって戦い方は変わらないぜっ!だけど暑さで本人が倒れたら敗北だから気をつけなっ!

それじゃあバトル開始だっ!」


「「ウィクショナリー!」」


互いの頭上にポンッという音と共にスキルが具現化される。

ポルタミーナのずには〈シャープペンシル〉〈鉛筆〉の二つが、ダカンチェッラーレの頭上には〈消しゴム〉が浮かんだ。

文房具達は背筋をのばし腕を組んで命令を待っている。


「二対一だと?!卑怯なっ!」


「全てを持ってバトルするのは当然ですわ。まずは様子見です。ロケット鉛筆!」


「くっ。まあいい、所詮は雑魚だ!そんな技効かん。」


黒い跡は残ったものの衝撃を吸収した消しゴムはノーダメージだった。続けて放ったミーナランスも消しゴムに芯が刺さりはしたもののポキッと折られ芯という武器を与えてしまった。


「ふん。わざわざ武器をくれるなんてなっ。今度は俺の番だ!〈モード兵隊〉」


長方形だった消しゴムは兵隊の形に変わり、右手には先程まで刺さっていた芯を剣のように持ち臨戦態勢をとっている。


「ふはははっ!たかが鉛筆やシャープペンなど俺の敵ではないっ!!」


「ハードボディ!」


襲いかかる兵隊消しゴムの攻撃シャープペンシルで受ける。剣代わりにしていた芯をポキッと折るとポルタミーナはそのまま反撃に出る。


「ロケット鉛筆五弾突き!」


兵隊消しゴムの腹に次々に撃ち込まれた芯は貫通し風穴を開ける。


「ミーナランス!」


風穴めがけて突っ込んだシャープペンシルはその身の太さで穴を広げ兵隊消しゴムを分裂させた。

勝利の笑みを浮かべたポルタミーナだったがダカンチェッラーレの表情は敗者のそれでは無い。


「練り消し。」


分裂した兵隊消しゴムは混ざり合い綺麗な四角い消しゴムに戻る。

ダカンチェッラーレは得意げな表情でポルタミーナを見て鼻で笑った。


「貴様の攻撃なんか効かん!」


「…確かに厄介ですね。」


暑さで額に汗を滲ませる両者は一歩も引かない。長期化する可能性もあるがその場合体力の無いポルタミーナの方が不利なのは明らかだ。


「仕方ないですね。アレを試してみましょう。バトル鉛筆!展開!」


ポルタミーナがそう叫ぶと鉛筆は光り出す。

シャープペンシルには●、消しゴムには★のマークが現れる。

光がおさまった鉛筆は二本になり、全面に文字が書かれ片方には▲のマークがある。


「な、なんだ?!」


「神の御加護かありますように。運命(ソール)!」


二本の鉛筆はひとりでに転がる。

動きを止めると上にある面には【★と▲が対象】【ダメージ七十】と書かれていた。


「は?」


次の瞬間、雷が消しゴムとシャープペンシルを撃ち抜く。

プスプスと煙を上げながらフラフラしている消しゴムとシャープペンシルにダカンチェッラーレは驚きを隠せない。


「な、何だそれは?!」


「ふふふ。奥の手というやつですわ。こないならもう一回、運命(ソール)!」


再び転がった鉛筆にダカンチェッラーレは慌てた。


「ね、ねり消し!これでダメージは通るまい!!」


「あまいですわ。」


鉛筆の上の面には【★が対象】【五十のダメージ】と書かれていた。

再び雷が消しゴムを撃ち抜くと消しゴムは倒れ戦闘不能となった。


「な、何故だああああ!ねり消しなら攻撃が通らないはずなのに!!」


「運命は変えられませんの。」


ダカンチェッラーレはその場に両手と膝をつき、ポルタミーナはそれを見下しながら滲んだ汗をハンカチで拭った。


「勝負あったぜっ!勝者はポルタミーナ・エクリールだっ!」



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