表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

ホラー『肉の宴』

『ずっと、性欲だと思ってた……』

作者: ぎぎ

 そうだなぁ……、自分が……明らかに、人の群れにいて……。…………、自分だけが『異端』であるって感じたことはあるかい?


 そう……。白羊の群れの中にいる黒羊。そんな、そんなぬるい話では無かった。皆とはちょっとちがう、なんだか馴染めない個体。それが自分だと思ってた。ずーっと勘違いしていた、していたかった。

 気付いてみれば、自分は……そう、俺は黒羊の皮を被った狼であったって、それだけの話でね。なんにも面白い話ではないんだよ。

 むかしむかしの童話が、救い様の無いお伽噺のまま終るように、現代、夜の闇すら暴かれた、こんなこんな時代にも……令和の時代の中に、少なくとも……日本、一億二千万人の中に、最低で一人。……いや、一匹。

 そう……最低、一匹混ざっているのだ。


 なんてことはない、幼少期から親や家族から愛情を受けて()()に育った。……はずだった。

 彼は一身に受ける愛情に違和感を感じていた。何か足りない。何か違う。家族に愛されているのは理解出来るのだが、()()()()()()()()()()。そう感じていた。

 そんな彼はきちんと愛情を受けていると、そう、周りの白羊の真似をすることにした。せいぜい、ちょっとちがう、あいつは黒羊じゃないか……程度の評価で済むように……。

 自分が、羊で無いことに気付かないように……。自分を隠して誤魔化して。


 足りないと感じていた家族からの愛情の代替を求めてしまうのは、人間ならば仕方無いことなのか……。彼は異性に愛情を求めた。

 足りない足りない足りない不足している。もっともっともっとと求めた。幸い、彼に寄り添う異性も現れた。

 ただ、数ヶ月も付き合うと、()()()()()()()()()()()泣いて別れを乞うのである。そんな恋愛が何度かあり、男は……諦めた。


 欲しがる事を止めた男は、しばらくの間、日常に仕事に黒く腐った。ただ、腐りきる前に救ってくれた人に出会った。どこの誰かも知らない、性別年齢、何にも分からない電子を通じた友達。

 そんな友達が絶望におちた時、救って貰っていた男は全部を差し出した。なんなら罪人に堕ちても良いと。


 そんな2人はすぐに家族になって、2人は4人になった。男は全部の意味で満たされた。満たされたはずだった……。


 男は自分が愛情に餓えていたからこそ、日常に妙な飢餓感を覚えているのだと思っていた。実際、家族が出来、自分の妻、娘、息子に対してはまったくもって暗い感情や、飢えはなく愛情を注いだ。


 ある暑い夏、その真昼。


 昼食は、きちんと食べ腹一杯。配達のため車を出し、赤信号で止まった時だった。ちらりとみればバス停に並ぶ3人。

 あぁ、こんな中年になっても女子高生に()()を感じるとか……どれだけ性欲が強いのか……。

 ……その、女子高生の隣に立つ、いかにもラグビーとかをやっていた20代男性。彼の張りつめた筋肉にどうしようもない感情が溢れて……あぁぁ。


 なんてことはない。いままで目を瞑っていたことに目を向ければ。すぐにわかった。肉体が衰えて、性欲が衰えた。……残ったのは……食欲だった。


 なんのことはない、私は()()で羊の群れに一生懸命紛れようとしていた()()だった!

 私は、理性で餓えを!渇きを!抑え込んでいるだけ! 肉を!血を! 味わいたいのだ!!





 ふふっ、こんな、空腹を薄紙にも満たない理性で抑えている人狼が、この日本に最低で、一匹いるんだよ? 別段、君の太ももを見ているのは、イヤらしい意味は無いんだ。ただただ、ね。


 ()()()()()()

誰も……。フィクションだなんて言って無い。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 20代の男性の筋肉 美味しそう。
[一言] ……チッ! 同類かよ wwwwwwwwwwwwwwwwww
[一言] 2×9(肉)=(は)18(JKの方) それが、羊の回答であろう。 だが、しかし、真の肉好きたる狼は、 脂肪分の多い「霜降り肉」よりも、 筋肉質な「赤身」を好むという・・・
2022/03/19 22:55 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ