第92話 鳥魔族編⑧ 鳥魔族のボス
「あっ!?
・・・ボ、ボス!!」
何!!
鳥魔族のボス・・・だと!?
「・・・貴様らか、貴様らだな!?
俺の可愛い子分達を殺したのは!!
このクソガキどもがぁ!!!!」
ひっ・・・な、なんだ!?
あの鳥魔族、デカすぎる!!
いつぞやのヤクザみたいな王が乗っていた鳥よりもさらにデカい。
そして、めちゃくちゃ凶悪そうな面構えをしてやがる。
例えるなら、怒れる巨大グリフォンってところか。
・・・って、ちょま。
待って、待って。
「ご、誤解だ!!
そりゃあ俺達、たくさんの鳥魔族を返り討ちにしたけどさ。
一人も殺しちゃいないってば。」
あんなヤバそうなグリフォンに睨まれるなんて嫌だ。
が、それ以上に殺ってもいないのに殺人の罪を背負わされるのはゴメンだ!!
「ふざけるなぁ!!!!
俺は見たんだ・・・。
子分達が剣や槍で串刺しになって、くたばってんのをよぉ!!」
な、何それ!?
剣は俺、槍はレイドが使うが、今回の俺達は敵を直接斬ったり、刺したりはしていない。
・・・だってあいつら、空飛んでるしなぁ。届かん。
第一、向かってくる奴らをどうにかするのに手一杯だったし。
倒れた連中にトドメを刺す余裕なんか無いっつーの!!
「あの、ボス・・・。
俺の見た限り、あのガキ達は俺達を誰一人殺さなかった。
・・・ボコボコにはされたが。」
「ちっ・・・。
あいつらの他に手練れでも潜んでやがるのか?
うっとうしい!!」
もしかしてこの町のどこかに俺達に匹敵する実力者でもいるのか!?
・・・そのわりに俺達が来るまでこの町、サンドバック状態だったが。
「とりあえずお前は早く城へ逃げろ・・・。
こいつらは俺が皆殺しにするから!!」
「ボ、ボスぅ。」
「他にやばい奴が潜んでいるかもしれねぇ。
油断だけはすんなよ。
・・・さあ、行け!!」
ボスの指示を受け、1人の鳥魔族が逃げ去ってしまう。
・・・のは別に良いが、その代わりがこの巨大グリフォンかよ。
くっ、誰だ・・・。
鳥魔族を殺しやがったのは!!
殺すのは勝手だが、俺達を巻き込むのだけは止めてくれ。
「さて、と。
殺ったかまでは知らんが、お前らが子分達をいたぶってくれたのは確かだ。
・・・覚悟は出来てんだろうなぁ!!」
グリフォンが殺意を剥き出しに俺達を睨み付けてくる。
くっ・・・。
かなり手強そうだが、だからって黙ってやられるつもりは無い。
「覚悟なんて誰がするか!!
ホーリー・ナイフ!!」
俺は光のナイフを振りかざし、グリフォンに向かって衝撃波を放った!!
これで倒せるとは思わないが、まずは小手調べだ。
「舐めるな!!」
しかし鳥魔族は翼を叩きつけ、光の衝撃波を軽々と霧散させる!!
う、嘘ぉ?
「ほう。お子様にしては悪くねぇ攻撃だ。
が、この程度の魔法が俺に通用するか!!」
お前の子分はこの魔法で倒せたのに・・・。
やっぱりボスだけあって、これまで戦った鳥魔族とは実力が段違いだ!!
「ウインド・ダーツ!!」
「ぐっ!?」
今度はユラが風のダーツを放り投げる。
さすがに高速の風魔法は打ち払えず、ダーツは鳥魔族の頭へと突き刺さった!!
・・・けれど。
「痛ぇじゃねえか!?
このチビガキ!!」
「え、嘘!!
私の魔法が効いてない、の・・・?」
「効いてるぞ。
・・・ガキんちょに殴られた程度には、な。
だがそんな攻撃をいくら繰り返したところで、この俺は絶対に倒せん!!」
まさかユラの風魔法が直撃しても、ほとんどダメージを受けないとは!!
こ・・・これはガチでヤバいかも。
「う・・・う、嘘だろ!?
あいつらの攻撃が効かない??」
「もうダメだ。
お終いだぁ。」
俺達が勝てそうに無いと判断した途端、あっさりと絶望するザックの仲間達。
こうなる可能性くらい、考えとけっての!!
「・・・まったく、もう。
だから俺達は戦いたくなかったんだ。
なのにお前らが強引に戦いに巻き込むから!!」
「だって・・・。
だって!!」
「はっ、仲間割れか!?
くだらねぇ奴ら。
ま、いっか。全員、死ね!!」
な、何をするつもりだ!?
「くたばりやがれっ!!!!
メガ・バード・カッター!!」
なんとグリフォンの翼から、巨大なブーメラン状の衝撃波が解き放たれた!!
こ、これは中級魔法か!?
他の鳥魔族が使うバード・カッターとは、速度も威力も格が違う。
こんな魔法を食らったら、本当に死んでしまう!!
「メガ・ファイア・キック!!」
だが間一髪、エルムが炎の中級魔法でグリフォンの攻撃を迎え撃つ。
彼の蹴りから放たれた強大な炎と、巨大なブーメラン状の衝撃波が火花を散らす!!
が、パワーは互角だったようで、炎と衝撃波は互いに相殺された。
「なんだと!?」
「食らいやがれ!!
メガ・ファイア・キック!!」
エルムはグリフォンに向かって、再度強大な炎を放つ。
これほどの炎魔法を受ければ、さすがのグリフォンも一撃で倒せるはず!!
しかし。
「うぉお!??
あ、危ねぇ!!」
マジか!?
あのグリフォン、エルムの炎魔法を素で避けやがった!!
・・・あれほどの巨体なのに、なんて素早い動きだ。
「し、死ぬかと思った・・・。
あいつ、ガキの癖になんて危険な魔法を使いやがる?」
ああグリフォンは言うが、どれだけ強い魔法が使えても、当たらなければどうしようもない。
けれど唯一、真っ向から攻撃を当てられるユラはまだ中級魔法を修得していない。
「ぐっ!?」
エルム!?
何があった?
そんな息絶え絶えで苦しそうに・・・。
知らぬ間に敵の攻撃を食らっちまったのか!?
「・・・や、やべえ。
疲れた。」
疲れた。
って、お前なぁ。
おどかすな!!
「なるほど・・・。
どうやら力を使いすぎたようだな。
まだまだペース配分が甘いぞ、エルム。」
「・・・う、うるせぇ。
レイド。」
あっ、そうか。
俺達はまだ中級魔法を覚えてから、それほど経っていない。
一度に使える回数は多くても二回が限界だろう。
となると、あと俺達が使える中級魔法は二回×三人で計六回。
たった六回の攻撃であいつをぶっ倒す事なんて出来るのだろうか?
「んー・・・なんだ、あの赤髪のガキ。
もうガス欠か?
ったく、脅かしやがって!!」
「エルム。もうこれ以上、あなたが戦うのは無理よ。
物陰にでも隠れてなさい。」
「そ、そうする・・・。」
このままこの場にいても、足手纏いなだけだと判断したのだろう。
素直にアカリの指示に従うエルム。
「おい、待て。
お前みたいな危険なお子様を誰が逃がすか!!
今の内に始末してやる・・・。」
ところがエルムを見逃すのは危険だと判断し、グリフォンが追撃姿勢に入る。
「ふん、魔族のボスの癖に弱り切った奴を狙う事しか出来ぬのか。
・・・みみっちい奴め。」
「なんだと!?」
「かかってこい、グリフォン!!
お前のようなせこい男など、この俺が倒してみせよう。」
さっきの鳥魔族の時と同じく、敵を煽って自分に注意を向けさせるレイド。
表面上はうざったらしい態度だが、何気に仲間想いな奴。
「ざっけんなよ。
このいけ好かないガキが!!
・・・そんなに死にたいなら、望み通りぶっ殺してやる!!!!」
怒り狂うグリフォンを前にしても、レイドは不敵な笑みを崩さない。
もしかして、またカウンターを狙ってるのか?
実際問題、あのグリフォンを倒そうと思ったら、カウンターを狙う他無いのかもしれない。
正面からだと、いくら頑張っても攻撃を避けられちゃうだろうし・・・。
レイドはもう一度、カウンターを成功させる事が出来るのだろうか!?




