第65話 第7の子供編⑨ ソーマのありか
俺達は、勇者の子供ダイチと魔族のフラウが出会った経緯を聞いた。
分解岩とソーマがあれば、フラウ達魔族を助けられるかもしれないってのもわかった。
王様や奇妙な悪魔の謎ムーブも気になるが、それ以上に気になる・・・もとい。
気に食わない事がある!!
「気に入らねぇなぁ、ダイチ。
実に気に入らねぇ!!」
エルムがヤンキーみたいな面構えでダイチを睨みつける。
なんか不良が優等生に絡んでいるみたい。
とは言え、俺もエルムと同じ気持ちだ。
ダイチの事がどうしても気に食わない!!
「えっ、何が気に食わないの・・・?
もしかして、魔族と仲良くしたり、助けようとする事が気に食わないの!?」
魔族であるフラウを差別していると勘違いしたダイチが、エルムを睨み返す。
はぁ、こいつは何にもわかっちゃいねえ!!
「違うわ、バカ!!!!
魔族と仲良くしようが、助けようが、んなこたー別に構わねえんだよ。
俺はな。お前が可愛い女の子といちゃいちゃいちゃいちゃしてんのが、気に入らねえんだ!!」
「そうだ、エルムの言う通りだ!!
このリア充め、盛大に爆発しろ!!!!」
「ええええええええっ!!??
そっちぃ!?」
何故かやたらと驚いているダイチだが、他に何があると言うのだろう?
「ふむむ?
つまりダイチとフラウは付き合ってるってだけであろう??
それの何が腹立たしいのだ???」
「「つ、付き合っ・・・!!」」
声を揃え顔を赤らめるバカップル・・・もとい、ダイチとフラウ。
ってかレイドこそ、なんで腹を立てないのか理解出来ない。
・・・まさか!!
「お、お前・・・まままさか、彼女でもいやがんのか!?」
レイドは外見だけならクールなイケメンなので、女の子にモテる可能性もなくはない。
さっきの台詞もひょっとしたら、勝ち組だからこそ気にしてないだけかもしれない。
「・・・いや、別に彼女なぞおらぬが。」
「「ならば、良し!!」」
「そ、そうか・・・。」
だよなぁ。
いくらレイドの見た目が良かろうが、中身はただのアホ脳筋なのだ。
性格がバレたらきっと珍獣扱いされて、女の子の恋愛対象外になる事間違い無しである。
「・・・ライトやエルムって、彼女いないの?
結構カッコいいと思うけど。」
「ええっと。私達って、旅をするまではずっと4人で暮らしてたから。
付き合ってるんだろうって、勘違いされちゃって。
それにあの2人はお子様だから、誰かに惚れられても気付かないのよ。」
「そう言えば太陽城でもあの2人、意外と女性人気が高かった。
口は悪いけど、困っている人達のために必死になって戦ってたから。
必死すぎて、女の子の視線に気付かなかったみたいだけど・・・。」
ユラとアカリが何かひそひそと話しているが、小声故によく聞こえない。
どうせモテない俺達に呆れているのだろう。
まあ、それはともかく。
「でっ、ソーマの手掛かりは見つかったのか?
バカップル。」
「元気になっていちゃいちゃ出来そうか?
バカップル。」
「バカップル、バカップル言わないでくれる?
腹立つから・・・。」
「・・・な、なんか反応に困るわね。」
ダイチが不満そうな表情をするが、誰がどう見たってバカップルなのだが。
俺達が苦労して旅を続けている時も、こいつはフラウと楽しい日々を過ごしてたと思うと・・・くっ。
いや、そりゃアカリやユラも可愛いし良い子だけど、あの二人は血を分けた兄弟。
だから恋愛感情なんぞ沸くはずもなく・・・無念。
「一体、ライトとエルムはどうしたんだ?
ダイチとフラウが付き合っている事の、何がそんなに気に食わないのだ??
・・・俺には理解出来ん。」
「レイド、別に理解しなくても良い。
レイドは強くてカッコいい男の子。
だから、誰かに嫉妬なんてする必要は無い。」
「そ、そうか・・・。」
・・・まあレイドって、恋愛感情とかよく理解してなさそうだしなぁ
仮に誰かに惚れられたとしても、?マークでも浮かべてスルーしそうである。
それはそれで腹立つけど。
「あのー・・・ダイチ。
アホ2人は放っておいて、話を先に進めましょ。
で、結局ソーマは手に入ったの?」
あっ、今はフラウは助かりそうかどうかを話してたんだ。
ダイチの惚気話のせいで忘れてた。
「いや、まだなんだ。
さすがはソーマ、一筋縄では手に入りそうにない。
・・・参ったな、はは。」
口には出さないが、奇妙な悪魔曰く、ソーマって空想上の酒なんだよなぁ。
本当に存在するのだろうか?
とは言え、普通の医療薬じゃ合体岩から受けた負担を消せそうに無いし。
難儀な話だ。
「さて、じゃあ僕はもう出掛けるから。
君達、疲れてるんだろ。気が済むまで休んでって構わないよ。
もし良ければ、フラウの話し相手になってくれると嬉しいな。」
「えっ、良いのか?
さっきはあんなに嫌がってたのに・・・。」
「嫌がってたのは、フラウの事が心配だったからさ。
君達はフラウが魔族だからって、襲ったりなんてしないだろ?」
「そりゃ、襲う気なんかないけど・・・。」
さっきも言ったが、フラウは別に俺達の敵ではない。
敵でなければ例え魔族であろうと、争う理由なんてどこにもない。
「・・・でも、ライトやエルムを置いて行くのはちょっと不安だなぁ。
バカップルとか言って、フラウをいじめそうで。」
「いじめたりしねぇって。
その辺の不満はダイチにこそぶつけるべきだしな!!」
「それはそれで納得いかないけど。」
エルムの言う通り、リア充への不満は同性相手にぶつけるのが普通だ。
異性にぶつけたら、違う意味になりそうだし。
「まっ、いっか。
じゃ、フラウ・・・出かけてくるよ。」
「・・・ダイチ。」
「大丈夫だよ。
ライト達はフラウに危害を加えたりしないから。」
「それはわかってるわ。
そうじゃなくて・・・。」
「それも大丈夫。
僕は勇者の子供だから・・・そう簡単にへこたれないって。」
うん、やっぱりいちゃいちゃしているダイチがちょっとムカつく。
しかし結構シリアスな感じだったため、茶化す事は出来なかった。
********
それからしばし。
俺達は一休みしながら、フラウとおしゃべりをしていた。
にしても、魔族なのにフラウはびっくりするほど普通の女の子だ。
今まで会った魔族は皆、やたらと狂暴でおっかなかったからなぁ。
・・・魔族が皆、フラウのように温厚だったら、俺達も無駄に争わずに済むのだが。
「けどダイチの奴、どこに出掛けたんだろうなぁ。
薬草探しか?」
「違うわ、エルム。
きっとソーマを取りに行ったのよ。」
「むむ、心当たりでもあるのか?」
・・・もしかしてダイチの奴、ソーマの手掛かり自体は既に発見してたのか?
「ダイチの話によると、ソーマは竜の山の頂上にあるんだって。
でも、ソーマを守るドラゴンに邪魔されてね。
ダイチはいつもボロボロになって帰って来るの。」
「「「「「ド、ドラゴン!!??」」」」」
噂には聞いてたけどこの山、本当にドラゴンがいたんだ・・・。
なんて物騒な。
「私、ダイチにもう止めてって何度も言ったんだけど、聞いてくれなくって。
・・・助けようとしてくれるのは嬉しいけど、それ以上に悲しい。
今はまだ怪我で済んでるけど、こんな事を続けてたら、いつ命を落とすかわからない。」
いやいや、ダイチの奴。
ドラゴンに喧嘩売って、よく生きて帰れたな。
「それにダイチも勇者の子供、ブレイブチルドレン。
魔王の呪いで寿命はあとわずかしか残っていない・・・。
私はまだ死にたくない。
けど、それ以上にダイチに死んで欲しくない。
だって私にとってダイチは、誰よりも大切な人だから!!」
くっ・・・。
ダイチがフラウの事を話してた時は、このバカップルが!! って気分だったのに。
なんでフラウから話を聞くと切なく感じるのだろう!?
「まっ、ダイチの寿命の事は気にしなくてもへーき、へーき。
俺達が魔王を倒せば、ダイチだって助かるんだしな。」
俺達が魔王を倒せば、ダイチの呪いも解けるはず。
同じ呪いが掛かっているわけだしさ。
「ありがとう。
私、皆と話せて・・・友達になれて良かった。」
・・・友達、ね。
フラウったら、俺達と普通のノリで話すだけでも嬉しかったんだ・・・。
俺達以外でフラウを人間扱いしたのは、ダイチと俺のそっくりさんだけらしいし。
ちなみに俺のそっくりさんは、フラウと似たような年齢の息子を失ったが故に、暴れるフラウを殺せなかったらしい。
息子と年の近い少女を殺すのが嫌だったんだとか。
俺のそっくりさんも、フラウの事が普通の少女に見えたのだろうか?
休憩が終わった俺達は、フラウと別れの挨拶をし、小屋から出発した。
しかし俺は心のどこかで何かがずっと引っ掛かっていた・・・。




