第58話 第7の子供編④ 7人目
ドラゴンが住むと言われる竜の山。
そこでさっそく、トレントや大勢のオーク達とエンカウントした!!
もちろん勝利したけど。
が。
「あ~、疲れた~。」
中級魔法を使った時よりははるかにマシだが、あれだけ数が多いと五人がかりでも疲れる。
「でも、オークの肉がたくさん手に入ったのは収穫だよな。」
「そうね、エルム。
オークの肉って凄く美味しいらしいし、楽しみだわ。」
俺達はオークを倒すついでに、解体して肉も大量Getした。
戦闘+解体は中々骨が折れたが、新たな高級食材に出会えたのは嬉しい。
その後も山道を歩き続け、何度も魔物とエンカウントした。
先ほど出会ったオークやトレント、他にはゴブリン、コボルト、ワームなどなど。
ちょっと強いのだと、オーガと遭遇したりもした。
もっとも、光大陸で出会ったオーガの魔族達よりはるかに弱かったが。
中級魔法を使わないと勝てないような魔物は今の所いない。
けど、こうも連戦続きだと中々堪える・・・。
「うう・・・、もうそろそろ一息つきたい。
どっか休める所無いかなぁ?」
「やれやれ。
この程度で疲れたとは情けない。」
レイドめ、やかましいわ。
情けなくっても、しんどいものはしんどいんだよ。
「ん?
あれ!!」
突然、ユラが声を上げて指を指す。
彼女が指を指した方を見て見ると、そこには一軒の小屋が立っていた。
「おっ?
あれって山小屋か??
こんな魔物だらけの山にもあるんだな。」
今までよく魔物に壊されなかったものだ。
しかしこれは運が良い。
「ラッキー!!
せっかくだから休んで行こうぜ。」
「「「賛成!!」」」
「お、おい!?
やれやれ、軟弱者が・・・。」
こうして俺達は山小屋へと入っていった。
********
「それにしても、ずいぶん綺麗に掃除されてるわね。」
アカリの言う通り、それほど広い小屋ではないが、しっかりと手入れされてるように感じる。
「それのどこがおかしいんだ?」
「だって、エルム。
こんな危ない山の小屋の手入れなんて誰がするの?」
なるほど。
まず利用する人間がいない上、手入れしに行くだけでも相当危険だもんな。
「って事は、この小屋で誰かが暮らしてるとか?
・・・まさかなぁ。」
自分で言って何だが、ちょっと考えにくい。
そりゃ魔物は多いし、自然豊かなので、その気になれば自給自足も無理ではないだろう。
だが、相当の実力者でなければそんな事、まず不可能だと思う。
「まっ、細かい事はいいじゃん。
早く休めそうな部屋、探そうぜ。」
「ちょっと、エルム。
・・・相変わらず、適当ねぇ。」
こうして俺達は、適当に休めそうな部屋を探す。
それほど広い小屋じゃないので、すぐに見つかるだろう。
「ここかなぁ、休憩部屋は。
・・・えっ?」
どうしたんだ、エルム?
って、えっ??
「・・・あんた達、誰?」
人?
俺達は無人だと思っていた山小屋で、茶髪の少年と出会った。
その少年はぱっと見、インドア派ですって感じの優男だが、目付きがややするどく、顔のあちこちに細かい傷を作っている。
・・・なんかこう、隠れた実力者って感じだ。
そして彼の周りには植物やら、本やらがたくさん散らばっていた。
なにか研究でもしてるのだろうか?
「あの顔の傷跡・・・。
歴戦の戦士みたいで、カッコいいな!!
・・・くっ、羨ましい。」
レイド、お前な。
言いたい事はわかるが、好きで傷跡を作ってるわけじゃないと思うぞ?
まあ、それはともかく。
「ええっと。
俺達、通りすがりの旅人でこの小屋には休憩したくて立ち寄ったんだ。
・・・でも、こんな危険な山の無人小屋に先客がいたとは思わなくて。」
「ここは無人小屋じゃないよ。
僕た・・・いや、僕の家みたいなものさ。
勝手な事されても迷惑だから、さっさと出て行ってくれない?」
え~、なんて冷たい奴。
だけど・・・。
「ちぇっ。
なんだよ、ケチ!!」
「しょうがないわよ、エルム。
誰だって、自分の家に赤の他人を入れたくないわ。」
そうなんだよなぁ。
自分の家を他人に好き勝手されたら、誰だって嫌だ。
場合によっては怒られたり、攻撃される可能性もある。
すぐに出て行けばお咎めなしってだけ、マシだと思おう。
・・・人が来ないのを良いことに、あいつが無人小屋を占拠してる可能性もあるが。
とは言え、そうだって言い切るだけの証拠も無いしなぁ。
休憩出来ないのは凄く残念だが、諦めるしかないだろう。
「しょうがない。
さっさと出て・・・。」
「待って!!」
ん、どうしたんだ。
ユラ?
「その手に光る星の輝き・・・。
あなたまさか、ブレイブチルドレン!?」
!!!!????
え・・・ま、まさかこいつ!!
勇者の子供、ブレイブチルドレン!?
よくよく見ると確かに、手の甲に星マークがある。
って事はやっぱり!!
「えーーーー、こいつ。
勇者の子供だったのかよ!?
マジでぇ!!」
「こ、こんな所で、7人目の勇者の子供と出会うなんて!!」
「中々の強者だとは思ったが、まさか俺達と同じ、勇者の子供だったとは・・・。」
エルムやアカリ、レイドも突然の出会いに驚きを隠せずにいる。
「・・・えっ、あっ?
君達にも僕と同じ、手の甲に星マークが!?
そんな、まさか・・・。」
あいつの方も俺達との出会いに戸惑いを隠せずにいる。
「そう言えば、研究所のあのノートには・・・。」
--------
『未だに生き残っている勇者の×××××××子供は、ライト、ハジメ、××イ、エルム、アカリ、ユラ、レイド、ダイチの8人のみ。』
--------
「って、書いてあったから・・・。
こいつの名前って、『なんとかイ』か『ダイチ』のどっちか・・・って事?」
「そうなるよなぁ、う~ん。
こいつって茶髪だから、土っぽい名前の『ダイチ』の方じゃね?」
エルム・・・んな、適当な。
「そんなでたらめな推理で、僕の名前を当てられた!?」
って、当たってるのかよ!?
・・・まあ、二択なら当てずっぽうでも当たる事はあるか。
「しかし、こんな所で勇者の子供と出会うなんてなぁ。
あ、そうだ。せっかくだしさ、俺達の仲間になってくれよ。
勇者の子供同士、協力し合おうぜ!!」
こらこら、エルム。
急に仲間になってくれ、なんて戸惑うだけだってば。
いくら同じ勇者の子供だったとしても、ダイチとは出会って間も無いのだ。
「な、仲間・・・?」
ほらな。
めちゃくちゃ困ってるじゃん。
「そそっ。俺達、魔王に呪いを掛けられたせいで寿命があとわずかなんだ。
だから、一緒に魔王を倒しに行こうぜ!!
そしたら俺達、呪いが解けて長生き出来るからさ。」
「エルム・・・残念だが、他人にそんな事言っても普通、信じてもらえないぞ?
俺だって、研究所のあのノートを見るまでは、信じられなかったしな。」
「あっ、ヤベっ!?」
エルム、お前なぁ・・・。
うっかりしすぎだろ?
マズいなぁ。
あいつ、理屈っぽい感じだし、魔王の存在なんぞ信じるとは思えない。
それ以前に勇者の子供だ、ブレイブチルドレンだってのも信じるとは思えないが。
俺がダイチの立場だったら『何言ってるの、お前ら?』って、言うだろう。
こりゃバカにされた挙句、胡散臭がって断られるかな。
・・・と、思ったのだが、ダイチは困りきった顔から一転、まるで敵でも見るかのような目で俺達を睨みつけてきた。
えっ?
「魔王に呪いを掛けられたから、倒しに行くだって!?
ふざけるな!!
僕はそんな事、絶対にしない!!!!」




