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第3話 序章③ ブレイズチルドレン

「死ねーーーー!!!!」


叫び声と共にオーガはアース・ハンマーを大きく振りかぶった。



マジでヤバい、おっさんがしがみついているせいで攻撃も回避も出来ない。


ドン!!


しかも突然、背中を押され、思わず俺は倒れ込む。


な、なんだ・・・あのおっさんが押したのか?

あいつ、俺を盾にしやがった!!


邪魔者は離れたが、すぐに態勢を立て直せない。

このままだと死ぬ・・・。


しかし俺の目の前に移るのは、オーガのハンマーではなく、一人の少女だった。

ハジメ!?


「ライト・・・今助けるわ。シールド!!」


ハジメの得意魔法、シールドが発動し、俺達の前に巨大な盾が出現した。


「「なっ!!」」


シールドは盾を作り出し、身を守る防御魔法で、ビックボアーの突進程度ならビクともしない強度を誇る。

俺達4人の中で唯一、攻撃魔法を使えないハジメだが、このシールドには何度も助けられた。


だけどあのオーガのアース・ハンマーを防げるのだろうか?


「こんな盾など、打ち砕いてくれる!!」


ガーン!!


「な、なに!!」


なんと!! 地面をえぐるオーガのハンマーさえ防いでしまうとは。

壊れない盾を叩いた衝撃により、ハンマーがオーガの手から落ちた。


今だ!!


「助かったぜ、ハジメ。後は任せろ。ホーリー・ナイフ!!」


俺の得意魔法、ホーリー・ナイフは光のナイフを作り出す攻撃魔法だ。

リーチこそ短いが、そこいらの魔物など豆腐のように切り刻む事が出来る。


また振りかざせば、光の衝撃波を放ち、遠くの相手も攻撃出来る。

あくまで衝撃なので切り刻む用途には使えないが、全力で放てばビックボアー程度なら一撃だ。


「食らえ!!」


ハジメが盾を引っ込めると同時に、俺はオーガに向かって全力で衝撃波を放った。

虚を突かれたオーガのどてっ腹に衝撃波が突き刺さる!!


「ぐわああああああああ!!!!」


ホーリー・ナイフによる攻撃をまともに食らい、オーガはうなり声を上げながら仰向けに倒れた。


や・・・やったのか?

けど殺っちまったなんて事は無いよな?


「うっ、うう・・・く、くそ。」


全力で攻撃したのにまだ意識があるとは・・・なんてタフなんだ。

しかしかなりダメージを受けているようで、こちらを睨みつつも苦しそうにしている。


「だ、だが・・・あいつだけは・・・絶対に・・・。

 はっ、そうだ・・・あいつはどこに・・・い、いない!?」


あいつって、あのおっさんの事か?

そういやあのおっさん、いつの間にかいなくなってる。

誇りとか世界のために戦えとかって言ってた癖に弱虫すぎるだろ。


「き、貴様ら、何故・・・何故邪魔をする!!」


「邪魔も何も、そっちが先に攻撃してきたんだろうが!!

 俺達、別にあんたの復讐?の邪魔するつもりなんてなかったのに。」


「そ、それは・・・。」


復讐相手?のおっさんがいなくなり、急に弱気になるオーガ。


「まあまあ。ねえライト、オーガさん。

 あのおじさんもいないし、これ以上戦い合うのはやめましょう?

 私達、もう争う理由は無いはずよ。」


「おい、ハジメ。そりゃこんな人間臭い魔物と殺し合うのは嫌だけど。」


結局、俺もハジメも無事だしな。

ってか、人語を語るせいかあんまり魔物と戦ってる気がしないんだよなぁ。

あえて例えるなら、見境のない復讐鬼と戦ってるような感じがする。


「お前ら・・・ち、ちくしょう。

 次も勝てるとは思うなよ!!」


さすがに分が悪いのは理解しているようで、人語を語るオーガはふらつきながらも俺達に背を向けた。

最後に見せた怒りとも戸惑いともつかぬ目が印象的だった。


「はあぁぁぁぁ、マジでヤバかったぁ。

 ハジメ、あの時助けてくれて本当にありがとな。」


「何言ってるの、助け合うのは当たり前じゃない。

 さ、早くエルム達と合流しましょ。」


そうだな。あのオーガ・・・魔族?らしいけど、他に似たようなのがいるかもしれない。

今日はもう引き上げて、ほとぼりが冷めるまでこの森での狩りは止めた方が良さそうだ。


「「おーい。」」


「あ、エルム、アカリ。」


「うわ、なんだこれ。地面がエグれてやがる。」


「凄いうなり声とか、衝撃音とか聞こえたから気になって来てみたのよ。

 ・・・何があったの?」


「えーと・・・。」


俺達はこれまでの経緯をエルム達に話した。


「人語を話すオーガに襲われただってぇ!?

 そんな面白そうな事になってたのかよ、良いなぁ。

 俺も戦いたかったぜ!!」


「アホ抜かせ。もしかしたら死んでたかもしれねぇのによぉ。

 それもこれも全部、あの不審者のせいだ!!」


「それにしても魔族・・・ねぇ。

 この大陸にそんなの、いるはず無いんだけど。」


「まあまあ、それよりあのオーガさんの仲間が他にいるかもしれないわ。

 危険だから、今日は早く帰りましょう。」


そうだな・・・これ以上あんな奴等に襲われるのはゴメンだ。

エルムはゴネそうだが、無理に危ない橋を渡る必要は無い。


「あの髪の色、手の甲の星マーク、それに下級魔族との戦闘で見せた魔法。

 ライト、ハジメ、エルム、アカリ・・・。

 ・・・こいつ等、ま、まさかこいつ等!!」


こ、この声はあの時のおっさん・・・いや、クズじじぃ!!

どこかへ逃げたと思ったのに、こんな所でウロチョロしてたのか。


「おいこのクズじじぃ、よくも俺の前にノコノコと姿を見せやがったな。

 オーガの盾にした事、忘れたとは言わせないぞ!!」


ハジメのおかげで無事だったとは言え、一歩間違えたら死ぬ所だったんだ。

ところがクズじじぃは、そんな俺の言葉など聞こえてもいないかのように、ぶつぶつと何かをつぶやいている。


「これがライトとハジメが出会ったっつー、オヤジ?

 ・・・犯罪者みたいなカッコだけど、関わり合いになって大丈夫なのか?」


「しー、エルム。聞こえるわよ。」


クズじじぃを見て、エルムとアカリがこそこそ話してるけど、やっぱり不審者か犯罪者にしか見えんよな。

だがクズじじぃは怪しむ俺達など気にも掛けず、信じられない事を言い出した。



「何故・・・何故お前達4人はこんな所で呑気に過ごしているのだ?

 使命を忘れたのか。ブレイブチルドレンよ。」





ブレイブ・・・チルドレン?

何それ?

・・・だけどどこかで、どこかで聞いたような気がする。





「ブレイブチルドレン・・・選ばれし勇者の子供達よ。

 お前達は魔王や魔族達を滅ぼすために生まれて来たのだ。

 さあ、今こそ使命を果たせ。我らを・・・世界を救うために戦うのだ!!」


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読んで頂き、ありがとうございました。

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