第273話 最終決戦① ダイチの向かう先
Side ~ダイチ~
「ライト達を救いたければ、伝説大陸へ向かいなさい。
そして小さなお姫様と騎士を探すのよ。
さすれば運命を変えられるかもしれないわ。」
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僕は死の呪いの真実を知ってしまった。
勇者の子供の正体を知ってしまった。
だからこそ一刻も早く、ライト達と再会しなければならない。
僕は武術大陸の占い師、ネアさんの助言を頼りに急ぎ、伝説大陸へと向かった。
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「小さなお姫様!?
ひょっとしてクラリーの事か?」
「クラリー?
その子が僕の探している小さなお姫様かな。」
「・・・今までは姫様ごっこしているだけのお子様程度にしか思わなかったがな。
でもあいつら、すんげぇ事をやらかしちゃってさぁ。
町中が大騒ぎだよ。」
一体、何をやらかしたんだろう。
とりあえず彼女がいるっぽい場所を教えてもらって、そこへ行ってみると・・・。
「なんだかボロボロの人でいっぱいだなぁ。」
すっごく薄汚れた格好の人達がいっぱい集まってたんだ。
でも格好に反して、彼らの表情は晴れやかで、食事を楽しんだり、談笑している。
「ったく、あいつらときたら・・・。
書置き1つ残して、心配させたと思えば!!
無茶苦茶やりやがって。」
「だけど、あいつらのおかげで生き別れの兄貴と再会出来たじゃね~か。
許してやれよ。」
「それとこれとは話が別だ!!
いくらあいつらが本物の姫や騎士だったとしても、関係ねぇ。
たっぷり絞ってやるっ。」
姫? 騎士?
あの船乗りの人、かなり怒ってるけど、何か知ってるのかな!?
「ねえねえ、船乗りさん!!
小さなお姫様と騎士について、何か知ってるの!?」
「あ~ん?
知ってるも何もあいつらの面倒を見てきたのは俺だからな。
・・・なのに留守中に勝手に危険な場所へ向かった挙句、だ!!」
?・・・。
「噂をすれば、戻って来たよ~だな。
上、見てみ?」
へ?
「クエェエエエエエエエエ!!!!!!!!」
って、あの赤くて大きくて、ゴージャスな鷹みたいな鳥は・・・。
「不死鳥!??」
ど~して不死鳥が当たり前のように空を飛び交ってるの!?
驚いてる間に不死鳥は大きな鳴き声を響かせながら、僕達の近くへやって来たんだ。
その背中には大勢の人が乗っていたみたいで、たくさんの人達が降りてくる。
「これで全員ですね!!
姫。」
「うむっ。
皆を救い出せて、良かった。
本当に、良かったっ・・・。」
その中に姫と呼ばれる可愛らしい女の子が混じっていた。
あの子がネアさんの話してた、小さなお姫様かな?
僕は大勢の人達に囲まれている彼女の元へ行き、声を掛ける。
「君が噂の小さなお姫様かい?」
「む・・・?
ぬ、その手の甲の星の輝き!!
もしや、そなた・・・。」
「勇者の子供!?」
「「「「「「「「なんだって~!??」」」」」」」」
この子達・・・。
勇者の子供の存在を知ってたのか。
「そ~だよ。
僕の名前はダイチ。
君の事を探してたんだ。」
「ダイチとな!?
ライト達から聞いた事があるぞ。
確か魔族の友達を助けるために研究を行っておると。」
ってか、ライト達と面識があるみたいだ。
「で、ダイチさんは何故、姫を探していたのですか?」
「あ、そうだ!!
実はね・・・。」
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こうして僕はクラリー達に全てを語った。
どうして彼女を探していたかを。
そして勇者の子供の真実を。
「・・・そんな。
それがライトさん達、勇者の子供の死の呪いの真実だったなんて!!」
「それでは魔王を倒した所で救われぬではないか!?」
「そうなんだ・・・。
だから僕はライト達を助けたいんだ!!
そのためには伝説大陸にいる小さなお姫様に会いなさいって、ネアさんから言われてね。」
このままだと、ライト達は死の運命から逃げられない。
だから僕が彼らを救うんだ!!
彼らへの恩を返すためにも。
「なるほどのぅ。
・・・残念ながら、今の我にライト達を救う力はない。
じゃがフェニスなら。伝説の不死鳥ならば、そなたの力になれよう。」
「そうですよ。
フェニスはライトさん達が不死鳥の宝玉を4つ集めたおかげで、復活出来ました。
フェニスだって、彼らを救いたいはずです!!」
「あ。その不死鳥はライト達が復活させたんだ。
それが旅の目的の1つだとは、聞いていたけどさぁ。
本当に復活させちゃうなんて、凄いや!!」
僕は彼らの偉業を素直に感心する。
「頼む。フェニスよ。
どうかダイチに力を貸して欲しい。
そして大恩あるライト達を救ってくれぬか?」
「私からもお願いします。」
「お願い、フェニス。
僕はどうしてもライト達を助けたいんだ!!
だから力を貸してくれないか?」
そしてクラリーや彼女の騎士、ランスと共に不死鳥フェニスへ懇願した。
ライト達を助けるために力を貸して欲しいと。
フェニスは僕の顔をじ~っと見つめた後、その決意が本物だと理解したのだろう。
「クエェエエエエエエエエ!!!!!!!!」
僕に力を貸してくれたんだ!!
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その結果、僕はフェニスの背に乗って魔大陸を飛んでいる。
クラリー達の話によると、ライト達は死の山へ向かっているらしい。
そこに潜む魔王を倒すためにね。
今、ど~いう状況なのかはわかんないけどさ。
急いでライト達を見つけなければ。
そして勇者の子供の真実を伝えなければ!!
内心焦りまくってると、向こうからガーゴイルが飛んで来た。
でもなんか図鑑に載ってるガーゴイルとは、少し容姿が異なっててね・・・。
そんな事を考えながら、不思議そうにそのガーゴイルを眺めていたらさ。
「メガ・ポイズン・ロッド!!」
なんか急に魔法で杖を生成し、猛毒まで飛ばしてきたんだけど!?
「わぁああああ!!??
メガ・アース・ハンマー!!」
僕は慌てて、中級魔法で大きなハンマーを生成し、猛毒に向かって投げ飛ばす。
そのおかげで毒の大半を相殺成功。
わずかに相殺しきれなかった分は・・・。
「クエェエエエエエエエエ!!!!!!!!」
フェニスが回避してくれた。
「中級魔法が使えるじゃと!?
・・・しかもその手の甲の星の輝き。
まさかお主、勇者の子供かっ!!」
「ななっ。ガーゴイルが喋ったぁ!!
じゃあんた、魔族だったの!?」
まあ、魔大陸は魔族の本拠地だからね。
魔族と出会う事自体はおかしな話じゃないかもしれない。
だけど問答無用で襲ってくるなんて、乱暴すぎるよ!!
「ちっ。世界へ復讐する前に勇者に殺される訳にはいかぬと。
どさくさ紛れに奴から逃げ出すついでに、他の大陸へ攻め込む算段じゃったのにぃ。
まさか勇者の子供と遭遇してしまうとはのぅ。」
「えっ、えっ、えっ!?
なんか情報量が多すぎて、話が整理出来ないよ!!」
「それにその燃えるような赤き鳥・・・。
そ奴が忌々しき不死鳥か!?
傍迷惑な焼き鳥がっ。」
でもガーゴイルの方も色々あったようで、だいぶ興奮している感じだ。
「これ以上、勇者の子供なんぞにわしらの悲願を邪魔されては叶わぬわ!!
・・・悪いがお主にはここで死んでもらうとするかのうっ。」
えーーーーーーーーっ!!!!????
僕があのガーゴイルの魔族に何をしたって言うんだよ!?




