第252話 外伝15② ダイチと剣士達
Side ~ダイチ~
「ダメだ、ダメだ。
ネアさんはとても忙しい。
観光客の相手をする暇などないのだ!!」
「え~!?
そんなぁ・・・。」
ライトの故郷で入手した、ハジメの遺体から発見された小さな黒い塊。
それが死の呪いに関する手掛かりになるかもと、武術大陸の高名な占い師へ相談しに来たんだ。
なのに屋敷の周りにいる屈強なお兄さんから、多忙だから会えないなんて言われちゃってさぁ。
「お金なら払うから、どーにかならないの?
僕、どうしても友達を助ける手掛かりを見つけたいんだ!!」
「・・・そういう事なら、無碍にするのも気が引けるが。
しかし俺達にも事情があってだな。」
実はつい最近、武術大陸は滅茶苦茶強い魔族・・・上級魔族から襲撃を受けてね。
なんとか討伐出来たものの、その被害は小さくなかったみたい。
だから今、色々と慌ただしいのはわかるけど。
「大変だーーーー!!!!
グリスリーが、グリスリーが現れたっ!!
中級魔法の使い手が駆けつけるまで、足止めを手伝ってくれっ。」
「なんだってぇ!?
クソっ!!
この大変な時に魔物め・・・。」
あ、お兄さん。
グリスリーを足止めしに行っちゃった。
・・・そーだ!!
ここであの人達に恩を売れば、お礼に占い師と会わせてくれるかも。
僕も行ってみよう。
********
「グォオオオオオオオオ!!!!!!!!」
「つ・・・強いっ。」
いた。
グリスリーだ。
グリスリーはとっても凶暴な熊のモンスターで、初級魔法だけで倒すのはかなり難しい。
死傷者や重傷者こそいないものの、武術大陸の人達も相当苦戦してるようだ。
「ちっ!!
中級魔法の使い手はまだかっ!?」
でも大丈夫。
「僕に任せて!!」
僕ならグリスリーなんかに負けないから。
「お前はさっきの・・・。
って、待てっ!!
お前のような弱そうな奴がグリスリーに敵う訳・・・。」
「メガ・アース・ハンマー!!」
僕は中級魔法を発動し、大きなハンマーを生成。
「うぉおおおおおおおお!!!!!!!!」
「グォオオオオオオオオ!!!!????」
ハンマーでグリスリーをぶん殴って、一撃で倒したんだ。
「「「なんだとぉ!!??」」」
よっぽどビックリしたのか、屈強なお兄さん達が仲良く驚いてる。
グリスリーを倒したお礼として、占い師に会わせてくれないかなぁ。
「こんなお勉強の虫っぽいガキが、あのグリスリーを一撃だと!?」
「あっ!?
あいつの手の甲の星の輝き!!
まさかお前っ。」
「・・・勇者の子供。
ブレイブチルドレン。」
ん・・・?
えっ!!
「ライト!?
・・・じゃ、ないの?」
グリスリーを倒しに来たのか、ライトと凄くよく似た少年が現れた。
本当にそっくりだけど、でも彼はライトじゃない。
手の甲に星の輝きがないし、それに・・・。
「ライトはもっとグレた目付きだからなぁ。」
目の前の少年はどちらかと言えば、優男風な感じだ。
相当な実力者には違いなさそうだけど。
「・・・そんな風に言ったら、ライトが怒るよ?
けどライトと知り合いで、しかも勇者の子供・・・。
君がライト達が話してたダイチだね。」
「僕の名前、知ってるんだ・・・。」
「他の6人とは知り合いだからね。
まだ会った事ない勇者の子供はダイチ以外、いないよ。」
そりゃそうか。
そういや僕の知らない8人目の勇者の子供って、どんな子なんだろう?
「で、君はこの大陸まで何しに来たの?
確か魔族の友達を助ける研究を続けてるって聞いたけど。」
「あのね。
僕、この大陸の高名な占い師に相談したい事があるんだ。」
「高名な占い師?
ああ、ネアさんの事か。
一体、何を相談したいの?」
********
「・・・と言う訳なんだ。
だからどうしても占い師に会いたくてさ。」
「なるほど・・・。
そういう事だったのか。」
僕はライトそっくりの少年、ヒカルにこれまでの経緯を説明した。
「・・・他でもない、この国を救ったライト達を助けるためだもんね。
わかった。
ネアさんに相談してみるよ。」
「ホントっ!?
やったあっ!!」
これで占い師からライト達を助ける手掛かりを掴めるかもっ。
「ちょっと待ったぁ!!」
「話は聞かせてもらったよ。」
わっ!!
「誰!?
ヤクザの若頭に・・・。
・・・まさか勇者!?」
なんだよ?
このシュールすぎる組み合わせは。
「だーれがヤクザの若頭だ?
失礼なガキだぜ。」
「お前の雰囲気なら、そう思われても仕方ないだろう?
・・・だが私は勇者などではないぞ。
そんな間違われ方をしたのは初めてだ。」
あれ、違うの?
「あ、本当だ。
手の甲に星の輝きがない。
けどライトが大人になったらこんな風になるって感じだったから。」
「ふむふむ。
つまり君は私をライトの父親だと誤解したのか♪」
なんでライトの父親扱いされて喜ぶんだろう?
勇者扱いされた時は不思議そうにしてただけなのに。
「あー・・・。
このヤクザの若頭っぽい人は闇の剣士。
そしてもう1人の方は僕の父さんの光の剣士だよ。」
「闇の剣士に光の剣士だって!?
確か上級魔族の討伐で大活躍したって。」
噂によるとガイアって上級魔族を信じられない強さの子供達と力を合わせて倒したんだって。
・・・でもよく考えると『信じられない強さの子供達』ってさ。
「ま、あの戦いのMVPはライトだがな。
俺らはオマケみたいなもんだ。」
やっぱりライト達の事か。
そーいや彼らって、光大陸でも魔族から国を守ったんだっけ。
もはや3つの大陸を救った英雄じゃん。
凄いなぁ。
ただオマケなんて言っても、闇の剣士と光の剣士もとんでもなく強そう・・・。
はっきり言って、僕じゃ勝てる気がしないよ。
でもさ。
「僕に何の用なの?」
「ああ・・・。
ダイチ。もうすぐお前がこの大陸へやって来る頃だと思ってな。
先輩と探し回ってたんだ。」
「・・・ネアさんから予言を聞いた。
今日辺りに7人目の勇者の子供がやって来ると。
彼はライト達の運命や、世界の行く末に大きな影響を与えるともね。」
「父さん達、いつの間にそんな話を・・・。
僕、知らなかったよ。」
まさか僕が今日、この大陸にやって来る事を予知してたの?
凄い占い師だなぁ。
まあさすがに僕が『世界の行く末に大きな影響を与える』なんて、大袈裟すぎるけど。
とは言え、占い師だからしょーがないか。
占い師って、ハッタリ利かすのが職業病になってそーなイメージだし。
「・・・しっかしダイチ、お前。
才能はともかく、鍛錬や実戦経験が足りてねーよーだな。
修業前のライト達にすら、ギリギリだが負けんじゃね?」
「そういう風に言われると、ちょっと傷付くなぁ・・・。
ま、当たってるとは思うけどね。」
一緒にドラゴンと戦ってた辺りの頃は、僕とライト達の実力はほぼ同じだったと思う。
だけどライト達はあれからも死闘の連続だったようだしね。
戦闘力に差が開くのは仕方ないよ。
「つー訳で1週間。
1週間、ダイチには俺達の修行をみ~っちり受けてもらおうか。
そして見事、修行に耐え抜く事が出来たら、ネアと会わせてやろう。」
Σ(゜Д゜;エーッ!




