第21話 山賊編⑫ ハオガーとの決着
「うおおおおおおおお!!
メガ・ホーリー・ソード!!」
圧倒的なパワーを持つハオガーを前に追い詰められる俺達。
しかし俺を必死になって助けようとする仲間達を助けたい。
そう強く願った時、俺の手には光輝く剣が握られていた。
「バ、バカな。中級魔法だと!?」
中級魔法?
この光の剣が・・・。
確かに、ホーリー・ナイフとは比べ物にならない程のエネルギーを感じる。
この力ならハオガーにだって勝てるかもしれない。
そう感じ、ハオガーに向かって光の剣を向けた。
「く、来るな。来るなー!!!!」
しかしハオガーは俺から距離を取り、光の剣で攻撃されまいと必死だ。
そして・・・。
「くたばれ、ライトーーーー!!!!」
メガ・アース・ハンマーを全力で投げつけた。
さっきエルムに投げつけた時以上の勢いだ。
だが!!
「いっけぇええええええええ!!!!」
俺は怯む事無く、メガ・ホーリー・ソードを振りかざし、光の衝撃波を放った。
ホーリー・ナイフによる攻撃がそよ風に感じるくらい、凄まじい勢いだった。
ジジジ・・・ボンッ!!
「なんだと!!」
少し時間は掛かるも、投げつけられたメガ・アース・ハンマーすら打ち砕き、強大な光のパワーがハオガーに迫る!!
そして・・・。
「ぐわぁああああああああ。
ああああああああーーーーーーーー!!!!」
メガ・ホーリー・ソードによる光の衝撃波に直撃したハオガーが、絶叫を上げながら倒れた。
今まではいくら攻撃してもほとんど効かなかったのに、これが中級魔法の力・・・。
やった、やったぞ。
ついにハオガーを倒し・・・。
「ラ、ライト・・・貴様ぁああああああああ!!!!」
そ、そんな。まさか起き上がってくるなんて!!
だけど、さっきの攻撃で相当大きなダメージを受けたのか、もう一度倒れかねないほどよろよろだ。
これならもう一度攻撃すれば・・・って、あれ?
「メガ・ホーリー・ソードが・・・消えた?
!! ぜぇ、ぜぇ。ち、力が出ない・・・。」
く、くそ。今の俺の力だと、メガ・ホーリー・ソードによる攻撃は一回がやっとなのか?
あと・・・あともう少しなのに!!
「貴様だけは、生かして・・・おけん!!
光大陸で一番強いのは・・・この俺だ!!!!」
べ、別に最強の称号なんていらねぇってば。
敵もかなりグロッキーだが、俺も相当消耗している。
このままでは例え、魔法を使ってこなかったとしても殺されてしまうだろう。
けど・・・だけど、最後まで諦めるわけには!!
「サンダー・スティック!!」
「ウインド・ダーツ!!」
とその時、ハオガーの顔に雷と風のダーツが襲い掛かった。
「あが、がはぁああああ!!」
この攻撃はアカリとユラだ。
しかし当たり所が違うとは言え、前までは比べ物にならないくらい効いている。
ど、どうして急に攻撃が強くなったんだ?
「ファイア・ナックル!!」
そしてエルムが先ほどと同じく、ハオガーの腹めがけて炎の拳を打ちつける!!
「げぶっ? お、おおお・・・・・・。
・・・な、何故だ。たかが初級魔法ごときで。」
・・・な、なんかめっちゃ効いてるなぁ。
ボディ攻撃による苦しみに屈しまいと、かなり辛そうな表情で耐えている。
前に同じ所を攻撃した時はちょっと顔をしかめただけなのに、なんで?
エルム達のパワーは、今までと変わりないはずなのに・・・。
「そうか・・・あいつ、もうフラフラで体に力が入らないんだ。
チャンスだライト。今ならホーリー・ナイフでも倒せる!!」
あ、そうか。
エリトさんの言う通り、もうハオガー、倒れる寸前だからエルム達の攻撃があんなに効いたんだ。
普通の殴り合いだって、元気な時に殴られるのと、フラフラの時に殴られるのじゃあ、ダメージが全然違うもんな。
今の俺の体力では、ホーリー・ナイフを使うのさえ辛い。
だけどこれ以上、あいつに暴れさせるわけにはいかない。
最後まで力を振り絞るんだ!!
「トドメだ、ホーリー・ナイフ!!」
腹を押さえてうずくまるハオガーの顔面に、光の衝撃波が突き刺さった!!
「あ・・・。」
バカみたいに頑丈なハオガーだったが、度重なる攻撃を受け、さすがに心が折れてしまったようだ。
再び倒れたハオガーは気を失い、起き上がってくる事は無かった。
「やった、やったああああ!!!!
ハオガーを倒したぞぉぅ・・・。」
「エルム? どうしたの?? あ、あれ???
わ、私もなんだか急に・・・。」
「もう私・・・限界。ダメ。」
エルム? アカリ? ユラ?
どうした? なんで急に倒れたんだ?
って、あれ? 俺も意識が・・・。
力が・・・力が入らない。
「あれ・・・どうしちゃったんだ、俺?
景色が歪んで・・・。」
「ライト? おいライト、しっかりしろ!!」
「ユラ、エルム、アカリ?
ど、どうしたんだい急に!?」
エリトさんやアネコさんの声を最後に俺達4人は全員、意識を失った。
・・・まあ、気絶しないのが不思議なくらい俺達、追い詰められたもんなぁ。
この国、子供に無茶させ過ぎ・・・。




