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第20話 山賊編⑪ ライトの覚醒

「ホーリー・ナイフ!!」


光の衝撃波が、ハオガーの顔に直撃した。

当たりさえすれば、ハオガーだってただでは済まないはず・・・。





「・・・い、痛ぇじゃねえか。

 てめぇ、ライトっつったか。ただで済むと思うなよ!!」





・・・・・・嘘。ちょっと痛がってるだけ?

そ・・・そんな、俺の一撃がほとんど効いてない!!


・・・こんな化物、一体どうやって倒せば良いんだ!?





ハオガーに鬼のような形相で睨まれ、恐怖のあまり気を失いそうになっている俺。

オガーも十分怖かったし、絶対勝てるなんて自信は無かった。


とは言え、どう足掻いても敵わない相手・・・とまでは思わなかった。

けど、ハオガーは次元が違う。

小さく非力な子供が、大きく強い大人に真剣勝負を挑んでいるような、そんな感覚になってしまう。


「ファイア・ナックル!!」


エルム!?

隙を突いて、ハオガーの腹に炎の拳を打ち込んだのか!?


よしっ。

エルムが炎の拳で直接殴った時のパワーは、俺やアカリでさえ敵わない。

これはさすがのハオガーもかなり堪えるはず・・・。


「うっ!? ・・・このクソガキが。

 調子に乗ってんじゃねぇ!!」


「何!?」


え? ちょっと苦しそうな表情をしただけ!?

一番攻撃力のあるエルムでさえ、その程度のダメージしか与えられないなんて・・・。


呆然としているエルムに対し、ハオガーはその大きな足を使い、全力で蹴り飛ばした!!


「ぐわああああああああ!!」


「「「エ、エルム!!」」」


蹴り飛ばされたエルムは石ころのように何度も転がり、地面に打ち付けられる。

死んではいないようだが、相当大きなダメージを受けたようで、呻き声を上げながら苦しそうにしていた。


「よくも・・・よくもエルムを!!!!

 サンダー・スティック!!」


「ウインド・ダーツ!!」


アカリが雷の棒で、ユラが風のダーツでハオガーに追撃を加える。

しかしハオガーは、そんな彼女達の攻撃を腕一本で受け止めた。


「・・・!! くっ。

 貴様ら、どうやらこの俺を本気で怒らせたようだな!!」


アカリ達の攻撃をまともに食らってなお、わずかなダメージしか受けていない。

それでも痛い思いをした怒りからか、ハオガーはやや大きめの瓦礫を拾う。

そして拾った瓦礫を、アカリとユラに向かって全力で投げつけた!!


「「きゃああああああああ!!」」


物凄いスピードで瓦礫にをぶつけられ、アカリとユラまで倒されてしまう。

メガ・アース・ハンマーには劣るも、普通の人間なら即死してもおかしくない破壊力だった。


「「うっ、うう・・・」」


「アカリ!!」


「ユラ!!」


大きなダメージを負ったアカリとユラに気付き、エリトさんとアネコさんが全力で駆けつける。

せめて、彼女達の上に乗っかっている瓦礫だけでもどかそうと必死になっていた。


案内してくれた兵士と四英雄はいない・・・。

怪我が酷過ぎて、戦線復帰が出来ず隠れているのだろうか?



だから今、この場で戦えるのは俺しかいなかった。



「あとはお前だけだ、ライト・・・!!」


「く、来るな。来るな!!

 うわああああああああ!!!!」


俺は恐怖のあまり、光の衝撃波を連続で放った。

なりふり構わず魔法を使い続けたせいで、少し気分が悪い・・・。


だがハオガーは防御態勢に入り、衝撃波の乱れ撃ちを生身で受け止めた。

そして攻撃を受け止めた後は、何事も無かったかのように動き始める。


「・・・それで終わりか?

 その程度の攻撃でこの俺を倒せると思うなよ!!」


「やめろ・・・ち、近づくなああああああああ!!」


最後の手段として、俺は光のナイフを直接、ハオガーに向かって振り下ろした。

光のナイフによる直接攻撃は殺傷力が高すぎるので、人相手には自重している。

しかし、今の俺にそんな事を考える余裕は無かった。


ズリ!!


だがそれでも、ハオガーの肉体にはかすり傷程度のダメージしか与えられない。


「いつ!! このガキが。

 悪あがきもいい加減にしやがれ!!」


「がぁああああああああ!!」


逆上したハオガーに蹴られ、俺は無様にもぶっ飛ばされる。

・・・蹴りの威力か、地面に打ち付けられたせいか、体中が痛い。

これでは攻撃するどころか、動けるかどうかすら怪しい。


必死にもがく俺だが、その側には冷酷な目をしたハオガーが立っていた。


「・・・お前達の攻撃、ちょっと痛かったよ。

 この俺が怒りを覚えるくらいには、な。だからもう死ね。

 メガ・アース・ハンマー!!」


そしてメガ・アース・ハンマーを俺に向かって振り下ろす。

ダメだ、さっきの攻撃のダメージで動けない!!



「ライト!!」



え?


バンッ!!


「うわぁああああああああ!!」


「エ、エリトさん!?」


「エリト!! ・・・あんた、なんて無茶な真似を。」


「くそが、無駄な足掻きを!!」


エリトさんが動けない俺を庇ってくれたおかげで、なんとか助かった。

が、エリトさんはメガ・アース・ハンマーの直撃こそ受けなかったものの、余波により飛び散る破片をモロに受け、かなりのダメージを受けていた。

このまま敵に追撃でもされたら、二人とも死んでしまう!!



ダメだ・・・あいつには勝てない。

力の差がありすぎる!!

もう、どうしようもないんだ・・・。





「何、そんな泣きそうな面してやがる?

 弱気になってんじゃねぇ!!

 最後まで諦めずに戦うんだ!!」





エ、エリトさん・・・?


「諦めるなって・・・そんな、無理だ。

 あいつは強すぎる。

 俺なんかの力じゃ、絶対に勝てっこないよ。」


「どんなに敵が強くても、全力で立ち向かうんだよ!!

 ・・・ここで諦めたら、お前だけじゃない。

 エルムもアカリもユラも・・・皆、皆死んでしまうんだぞ!!」





!!!!





「はっ、演説はもう終わりか?

 じゃあ二人とも死ね・・・うおっ!!」


俺達二人に追撃しようとするハオガーに炎や雷、風による攻撃が襲い掛かる。


「はーっ、はーっ・・・。

 ライト達には指一本触れさせねぇ。

 掛かって来いよ、この山賊が!!」


「エ、エルムの言う通りよ。

 あんたなんかにライトやエリトさんを傷つけさせない!!」


「ライト達は・・・私達が守る!!」


エルム、アカリ、ユラ!!

三人共、ハオガーの攻撃でかなりダメージを受けてるはずだ。

なのに、俺達を助けようと必死で・・・。


「・・・自信を持て、ライト。

 お前には・・・いや、お前達には凄い力があるんだ。

 本気になれば、どんなに強い敵だって打ち倒せるさ。」


エリトさん・・・。


そうだ。

ここで諦めたら、俺を助けようと必死で頑張っているエルム達に申し訳が無い。


俺はいつも、いつでもあいつ等に助けられてばかりだ。

でもそんなんじゃダメだ。


「クソが!! お前らから先に死にたいってか?

 上等だ。望み通りにしてやる!!」


俺はあいつ等の仲間だ。だから助けられた分だけ、あいつ等の事を助けるんだ!!

心の中に眠る剣を取り出して!!



「助けるんだ。助けるんだーーーー!!」



そう叫んだ俺の体から光があふれ出した。


「な、なんだ・・・その光は?」


「ライト、その光は一体・・・。」





「うおおおおおおおお!!

 メガ・ホーリー・ソード!!」


そして俺の手には光輝く剣が握られていた。


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