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第180話 武闘大会編⑩ 闇の剣士VS光の剣士 前編

「では試合、始めっ!!」



武闘大会1回戦4戦目。

ついに闇の剣士と光の剣士の試合が始まった。


どちらが勝ち上がっても、俺達の大きな壁として立ち塞がる事には変わりないだろう。

一体、どのような勝負を見せてくれるのか・・・。


しかし勝つ可能性が高いのは。


「多分・・・が勝つよなぁ。」


「俺もそう思う。

 だが二人とも武術大陸では最強とも称されるほどの剣士だ。

 どのような結果になっても不思議ではないだろう。」


レイドも俺と同じく『あの人』が勝つと考えてるようだ。

けれどどんな結末を迎えてもおかしくないとも言っている。

まああの人らって、人間かどうかも疑わしいレベルで強いからなぁ。



「メガ・ダーク・ソード!!」


師匠が闇の剣から特大の衝撃波を飛ばす。

師匠の攻撃に対し、光の剣士は・・・。


「メガ・ホーリー・ソード!!」


なんと自分の真下に向かって、全力で衝撃波を放った!?

ええええええええ????


「んなっ!?」


その勢いで空高く舞い上がり、師匠の攻撃を見事に回避。

そして、オマケとばかりに・・・。


「ハアアアアアアアア!!!!」


上空から光の剣を振りかざし、巨大な天使を模した衝撃波を放った!!

光の剣士との修行ではお馴染み、動物等に模した形でエネルギーを放出する技だ。

『修行』としては、魔法のコントロール力を高める有益な手段となる。


が、実戦ではコスパが悪すぎて、見掛け倒しにしかならない。

・・・と、思っていたんだけどなぁ。

光の剣士ときたら、アカリが有効活用しているのを見、戦術として採用したらしい。


「ちっ。」


意表を突かれ、先手の一撃を食らう師匠。


「分かってるぜ・・・。

 さっきの一手は目くらましが目的だろっ!!

 どこにいる!?」


「ここだ!!」


そしていつの間にやら、師匠に後ろに回り込んでいたようだ。

光の剣士が再び、衝撃波を放つ!!


「ぐおっ?」


虚を突かれた師匠に二撃目の攻撃が入った。


そう。


先ほど光の剣士がやって見せたように、派手な攻撃技は相手の気を逸らすという点でかなり優秀だ。

普段よりも攻撃範囲が広くなる事で、衝撃波の影に隠れる事も出来るしな。

やりようによっては、戦局を有利に導く事も可能だ。


だけど。


「メガ・ダーク・ソード!!」


師匠も負けじと衝撃波を放ち、光の剣士に攻撃を命中させる。


「!!??

 ・・・さすがはロング。

 切り返しが早いな。」


「もういっちょう!!」


そして再度、衝撃波を放つも・・・。


「ハアッ!!」


光の剣士は手に持つ剣で易々と衝撃波を斬り裂いた。

他でもない光の剣士から教えてもらった事だが、基本的には衝撃波を放つよりも、直接武器を振るう方がパワーが大きいからなぁ。

衝撃波を斬り裂くと同時に一瞬で距離を詰めた光の剣士が、師匠に胴斬りを決める。


「ぐはっ!?

 ・・・。

 おらぁ!!」


峰打ちとは言え、強烈な一撃だったろうに師匠は即座に剣を振るう。

これを余裕を持って受け止める光の剣士。



こうして剣同士による純粋なチャンバラが始まった。



「うぉりゃああああ!!!!」


「・・・・・・。」


激しく剣を振り回し、勢い良く攻め続ける師匠。

並の相手なら一瞬でねじ伏せかねない剣技を、しかし光の剣士は冷静に受け流す。


「!!」


「!?

 ?・・・。」


そんな最中、唐突に光の剣士が剣を振りかぶり、反撃開始か!?

・・・と、思ったのも一瞬。すぐに剣を引く。

フェイントだと判断したのか一瞬、師匠が剣の構えを緩めた所を・・・。


「ハッ!!」


「ぐあっ!?」


瞬時に攻め掛かり、師匠の頭を剣で叩き付けた!!


「この野郎っ!!」


「・・・。」


かなり強烈な一撃を受けたにも関わらず、攻撃の手を緩めない師匠。

まだまだ勢いの衰えない師匠に対し、光の剣士も迂闊に攻め掛かろうとはせず、再び受けに回る。


ヒートアップしたのか、師匠の剣劇に更なる過激さが増した。

だけどいくら体力お化けの師匠とは言え・・・。


「ハァ・・・。」


ほんの一瞬ながら、攻撃の手が止まる時もあるのだ。

何十分もの間、一時も休まず剣を振るい続けるなんて、どんな達人だろうと無理なのだから。

だがそんなかすかな隙すら見逃さない男もいる。


「ハッ!!」


「なっ!?

 しまっ・・・。」


光の剣士が師匠の闇の剣を弾き飛ばし・・・。


「ハアッ!!」


「!!??」


剣を持たない師匠に対し、2度目の胴斬りを決めた!!


「あの師匠をここまで翻弄するとは・・・。

 やはり光の剣士は凄い男だ。」


「そーだなー。

 なんつーか、堅実で老獪でだけど奇想天外。

 って、感じの厄介すぎるバトルスタイルだよなぁ・・・。」


・・・これで気色の悪い親バカっぷりさえなければ。

本当に残念な若作りオヤジだ。


「メガ・ダーク・ソード!!」


「!!??

 早・・・。」


「ハッ!!」


「ぐっ!??」



けれど立て直しが早いのが師匠の恐ろしい所だ。

即座に闇の剣を生成し、光の剣士に対して胴斬りをやり返す。

攻撃後に生じる一瞬の隙を突かれ、強烈な一撃を受けてしまった光の剣士が急いで距離を取る。


「・・・いつつ。

 さすがだな、ロング。

 そう簡単には白旗を上げてくれぬか。」


「ったり前だ!!

 いいようにバカスカ殴りやがって・・・。

 俺でなきゃとっくにぶっ倒れてるぜ。」


光の剣士が受けた攻撃は二発。

一方、師匠が受けた攻撃は既に五発。


師匠相手に力でねじ伏せられる事なく、それどころか技術・戦術で圧倒する光の剣士は凄い。

が、あれだけ攻撃を食らっても、まだ余裕がありそうな師匠も凄い。


「・・・・・・・・・・・・。

 俺ら、本当にあの人らと戦って、勝てるのかなぁ・・・。

 いっその事、引き分けにでもなってくれりゃいーのに。」


「そんな弱気な事でどうする!?

 ライト。

 ・・・まあ、その気持ちはよーく分かるが。」


弱音を吐く俺を叱咤しつつも、しっかり同意もするレイド。

多分、あの二人ならこれまで出会った魔族のほとんどを余裕で打ち倒せるだろう。

それだけの実力がある。


やっぱり本当に人間なのか疑わしい人らだ。



「しっかし全力で戦ってなお、こんなに苦戦するのは久しぶりだぜ。

 ほんと、先輩は強いな。俺が尊敬する数少ない男なだけはある。

 あんたが立ち直るのを待ったかいがあったよ。」


「・・・そうか。

 期待に応えられて何よりだ。

 じゃないと、私を立ち直らせてくれたお前達に申し訳が立たないからな。」



にしても、手強い相手と戦える事に喜びを見出すって・・・。

師匠ってば、マジでバトルジャンキーだよな。



「この調子じゃ、負けちまうかもしれねえからさぁ。

 悪いがあんたの弱点を突いて、逆転させてもらう。

 ・・・長い長い時間の中で出来上がった、光の剣士の致命的な弱点を突いてなぁ!!」


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