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第172話 武闘大会編② 予想外の参加者達

武術大陸の武闘大会で優勝すれば、景品として不死鳥の宝玉が手に入る事が判明。

意気揚々と応募するも、師匠である闇の剣士が現れ・・・。





「今年は俺も武闘大会に参加するからな♪」





などと言い出した!?

・・・去年までは大会のレベルが低いからと、参加しなかった癖に。


「あのー、師匠?

 それは困るんだけど・・・。」


「つれねーなー、ライトは。

 せっかく師匠として、弟子がどこまで強くなったか、試してやろうっつーのに♪」


そんな楽しそーに言われても。





「ライト?

 それにロング・・・。

 ヒカルだけじゃなくて、お前らも参加するのか。」





こ、この声は!?


「光の剣士!?

 まさかあんたも武闘大会に参加を・・・。」


「ああっ。

 久しぶりに体を存分に動かしたくなってな。」


「そんな理由でか!??

 ・・・勘弁してくれよぉ。


 あんたらのよーな強すぎる人が参加したらさぁ。

 不死鳥の宝玉が手に入らなくなるじゃん・・・。」


「不死鳥の宝玉?

 そーいや、今年の優勝景品だっけな。

 凄く貴重なお宝だとは聞くが・・・旅の資金用に売る気か?」


あー・・・。

光の剣士からしても、その程度の認識なのね。

売って金にしたがってるのか、と。


「違う。

 私達が不死鳥の宝玉を欲しがってる理由は・・・。」


ユラが光の剣士達に不死鳥の宝玉を求めている理由を話す。


「・・・なるほど。

 だからお前達は武闘大会に参加したのだな。」


「だからさあ・・・。

 出場を取り消せとまでは言わないけどさあ。

 もし戦う事になっても勝ちを譲ってくれないかなー、なんて。

 ・・・ダメ?」


「ライトよ。これでも私は武術家だ。

 強さを競い合う場で、わざと勝ちを譲ったりなどするものか。

 大体、そんな情けない事を言うんじゃない!!」


「そんなぁ。

 ぐうっ・・・。」


・・・光の剣士の奴。

普段は意味不明な理由で俺を息子扱いする癖にさぁ。

妙な所でいっぱしの武術家らしい振る舞いを。


そんな大陸最強の一角を恨めし気に睨んでいると、光の剣士はふっと笑い・・・。


「そう睨むな。

 仮に私が優勝したとしても、不死鳥の宝玉はお前達に譲ってやるからさ。」


「ホントっ!?」


「もちろんだ。可愛い息子の命が掛かってるからな♪

 それに元から優勝景品なんてどーでも良かったしさ。」


それに関しては予想通りだな。

今の時点で光の剣士はかなりの金持ちで、そんなに金銭欲は無さそうだし。


「ありがとうございます!!

 光の剣士様!!」


「・・・調子が良いなあ。

 ライトは。」


それなら光の剣士が参戦したとしても、過剰に怖がる必要はないだろう。


「ったく、アンタは相変わらずお人好しだなぁ。

 悪いが俺は優勝しても、お前らに不死鳥の宝玉を譲ったりなんかしねーからな。」


「「「なっ!??」」」


「・・・。」


「でもそれが普通。

 光の剣士が気前良すぎるだけ。」


ま・・・まあ、ユラの言う通りだよなぁ。

と、なると・・・。


「えーっと、じゃあ師匠。

 もし師匠が優勝したとして、いくら払えば不死鳥の宝玉を売ってくれる?」


「いくら金を積まれても売らねーよ。」


「ちょっ!?」


どーして?

師匠にとっちゃあ、不死鳥の宝玉なんて単なる換金アイテムだろ!?


「まさか師匠も不死鳥の宝玉を集めてんのか!?」


「それはないはずよ。

 だって不死鳥の宝玉が欲しいなら、もっと早いタイミングで武闘大会に応募するはずだもの。」


アカリの言う通りだ。

・・・けどだとしたら、酷すぎない?


タダで譲ってくれないのは、さすがにしょーがないにしても。

お金を払うっつってんのに譲ってくれないなんてのはあんまりすぎる。

まさか俺達への嫌がらせか!?


「ロング!!

 ・・・無償で譲れとまでは言わないが、それではあんまりすぎるだろう。

 弟子達の命が掛かってるんだぞ!?」


「そーは言ってもなぁ・・・。

 易々宝玉を譲って、危険な目に合うのはあいつらなんだぞ?」


え?


「!!!!

 ・・・そういう事か。

 しかし1度の負けで全ての希望を断つと言うのは・・・。」


「確かにそれはあんまりかもな。

 じゃ、こうしよう!!

 仮に俺が優勝したとしても、気が済むまで挑んでこい。

 それでお前らの誰か1人でも俺に勝てたら、不死鳥の宝玉はタダで譲ってやろう。」


随分と気前の良い事を言ってるよーに聞こえるが、つまり。


「不死鳥の宝玉が欲しけりゃ、師匠を打ち破れって事か。」


「簡単に言えば、そーいうこった。」


それはそれで厳しすぎやしないだろーか。

大体さぁ。


「俺達、師匠に勝つ自信なんて無いよ・・・。」


「情けねーぞ、ライト。

 お前らは俺よりもずーっとずーっと強いらしい、魔王を倒すために修行を続けてたんだろう?

 なのに俺にも勝てないでーす、なーんて白旗上げてどーする?

 そんな気構えじゃ、不死鳥の宝玉を集めて、魔大陸に行けたとしても、魔王に殺されちまうぞ。」


「あっ!?」


・・・そうだった。

不死鳥の宝玉を入手する事にばかり固執してて、失念してた。


根本的な話、俺達は闇の剣士も光の剣士もぶっ倒せるくらい、強くならなければいけない事を。

じゃなければ、魔王に挑んでも返り討ちに合うだけだと・・・。


「・・・ライトよ。

 あまりにも強い師匠達と相まみえる事に、不安を感じる気持ちは分かる。

 しかし今こそ、師匠達を超え、前に進む時なのだ!!」


「レイドの言う通りだ。

 大体、最後まで負けっ放しなんて悔しいじゃねーか。

 だから今回こそ師匠達を打ち破って、度肝を抜かしてやろーぜ!!」


まったく・・・。

レイドもエルムも簡単に言いやがって。

けれど。


「そーだな、よしっ!!

 ・・・相手が闇の剣士だろうが光の剣士だろうが、負ける訳にはいかない。

 絶対に武闘大会で優勝して、不死鳥の宝玉をGetするんだ!!」


「「おうっ!!」」


「「ええっ!!」」


師匠達を打ち破り、3つ目の不死鳥の宝玉を手に入れた時。

その時こそ、武術大陸での日々にピリオドを打つべきなのだろう。


「その意気だ。

 お前らと全力の勝負を楽しみにしてるからな♪」


「ライト・・・。

 ・・・。

 子供の成長とは早いものだな。」


そうと決まれば、大会の日が来るまで猛特訓だ。

闇の剣士も光の剣士も乗り越え、不死鳥の宝玉を手に入れてみせる!!


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