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第15話 山賊編⑥ 太陽城への道

なんやかんやあって、マイ一家を太陽城まで送り届ける事にした俺達三人。


マイ一家だけなら、俺達三人でもなんとか守れるだろうし、そもそも計六人ならそれほど目立たないはず。

こそこそ進みながら、どうしても邪魔な山賊だけなぎ倒していけば大丈夫だろう。

そう思ったのだが・・・。


********


いつの間にか、保護対象が十数人に増えていた。

・・・いや。マイ一家以外、助けるなんて一言も言ってないけど。


「おい、あんた達。何でこっちに近寄って来るんだよ?

 俺達、兵士でも傭兵でもないんだぞ。服装見りゃわかるだろ?」


俺は光のナイフで山賊達を蹴散らしつつも、文句を言う。


太陽城の兵士や、護衛として雇われた傭兵達は、一目でわかるように服装が整えられている。

なので、いくら俺達が山賊と戦っていようが、兵士や傭兵じゃない事くらいわかるはずだ。


「ライトの言う通りだ!!

 俺達、その場のノリでマイ一家は太陽城まで送る事にしたけどさ。

 他の奴等まで送るなんて、一言も言ってねーぞ。

 送って欲しけりゃ、護衛料を払いやがれ!!」


「ライト、エルム。よしなさい!!

 ・・・けどこんなに人が増えたら、全員は守りきれなくなるかも。

 目立つし、隙も多くなるし。困ったわ・・・。」


山賊達と戦いながらも、愚痴や不安をこぼすエルムとアカリ。

いくら守ると約束してないとは言え、被害者面して寄って来られると余計な気を遣ってしまう。


だってこいつら・・・下手すりゃ、流れ弾に一回当たっただけで死にそうだし。

例え、助ける義務や義理がなくても、目の前で人が殺されたら後味が悪い。

迷惑な連中だよ、全く。


「そ、そんな事言わないで、僕達も助けてくれよ。

 人間、助け合ってなんぼだろ・・・なっ!!」


よく言うよ。同じ町の人間もロクに助けない癖に。


「お前ら、いくら何でも薄情すぎるだろ!!

 そこまで強いんだったら、守ってくれても良いじゃねーか。」


なんで強いってだけで、タダで他人を守る義務が出てくるんだ?

大体さぁ・・・。


「住民を守る義務があるのは、俺達じゃなくてこの国の兵士や傭兵達だぞ。

 なんで素直に兵士や傭兵達に助けを求めないんだ?

 その方が絶対良いだろ? 筋も通ってるし。」


「だってあいつ等、全然頼りにならねぇんだ!!

 1VS1でも負ける奴だっているし、近寄るなとばかりに追っ払う奴だっている。

 だから・・・お前達に頼るしか・・・!!」


「・・・えーと。マジ?」


1VS1で負けるってのはまだしも、守るべき人達を追っ払うってのはさすがに・・・。

あの人達、住民を守るために雇われてるんじゃなかったっけ?



「こら。ライト、エルム。何守るべき人達と言い争ってるんだ!!

 そんな場合じゃないだろう?

 アカリも弱音を吐かずに頑張れ。まだ先は長いんだ。」



ってかなぁ。なんで・・・。


「なんでエリトさんまで、俺達と一緒にいるんだ?

 そもそもエリトさん、護衛として国に正式に雇われてるんだろ?

 この図々しい人達、引き取ってくれよ。」


そう。いつの間にかエリトさんまで俺達の側にいた。

一応、近づいてきた山賊を斬り伏せたり、遠くから狙ってくる敵を教えてくれたりして、助けてはくれるんだけど。


・・・でも保護対象がもっと少なければ、エリトさん無しでも何とかなった訳で。


「おいおい。そんな冷たい事言うなよ、俺達の仲じゃないか。

 それにどうせあの一家を太陽城まで送る所だったんだろ? ついでだ。ついで。

 ・・・大丈夫だって。お前達の力ならこれくらいの人数、余裕で助けられるさ。」


「またそんな勝手な事言って・・・。」


・・・そう言えばこの人、たまに厄介事に巻き込んで、俺達に迷惑掛けてくるんだよな。

世話になってる事も多い以上、突っぱねたくても、そうはいかないのが悩みどころだ。


「それにな。俺やアネコ、ユラだっているんだぞ。

 これだけの戦力があれば、山賊なんか怖くないさ。」


実はエリトさんだけではなく、ユラやアネコさんも何故か一緒だった。

アネコさんもエリトさん同様、魔法こそ使えないが、剣術はかなりの腕前だ。

山賊やゴブリン程度なら簡単に倒す力がある。


そしてユラは・・・。


「ウインド・ダーツ!!」


「ブギャ!?」


どうやらウインド・ダーツと言う風の魔法が使えるようだ。

ダーツを投げるような形で使うので、接近戦では扱いにくいが、見えにくい上に技のスピードは俺達以上だ。

威力も申し分なく、離れた所にいたゴブリンをあっけなく粉砕した。


確かにこの戦力なら、ギリギリなんとかなるかもだけど、やっぱ納得いかねぇ。

何より納得いかないのは・・・。


「大体何で、俺達を山賊扱いした連中までいるんだ?

 俺達の顔、忘れたとは言わせねえぞ!!」


「ひ、ひぇ。あの説は申し訳ありませんでした。

 だから・・・どうか見捨てないで下さい!!」


超しれっと、俺達に濡れ衣着せようとしたヤジ馬の何人かが混ざってやがる。

何も悪い事していない俺達を責めておきながら、ヤバくなったら助けろだって?

ご都合主義すぎるわ!!


「こら、ライト!! 怒っていたお前は気付かなかったかもしれないけどな。

 その人達はデマに流されて誤解していただけなんだ。

 途中からは山賊じゃないかもって、言ってくれてたんだぞ。」


「あ、そう言えば・・・。

 確かにこの人達、途中から私達の事、山賊じゃないかもって言ってくれてたわ。」


え? そうなの??

エリトさんとアカリの話を聞いて、内心、俺は動揺する。


そういや、ヤジ馬の全員が俺達の事、悪人扱いした訳じゃなかったっけな。

最後まで疑ってた訳じゃないなら、もう許しても・・・いやいや、うーん。どうすれば?


黙り込んだ俺に向かって、エリトさんが静かに声を掛けた。



「お前が色々不満に感じるのもわかる。

 でもな。皆、本物の山賊達に襲われて苦しんでいるんだ。

 だから今は太陽城まで連れて行くだけでも良い・・・怒らないで協力してくれないか?」



・・・・・・。


・・・。


「わかったよ・・・。

 どうせマイ一家を送るついでだしな。」


俺の言葉を聞いて、放り出されないかと不安がってた人達も安心したようだ。

何はともあれ、俺達はかなり目立つ形で太陽城まで突き進む事になった。


********


「ぜーっ、ぜーっ。

 た、太陽城まであ、あともう少し・・・。」


大勢の山賊や魔物と遭遇したせいで、魔法を使いすぎて辛い・・・。

攻撃を受ける前に倒せたものの、俺達三人の体力はもう限界に近かった。

同じように魔法で奮闘し続けたユラも、かなり疲れているようだ。


しかしフウさんを助けた時に山賊の親分を呼ばれたはずなんだが、未だに出会っていない。

襲われない理由はよくわからないけど、それだけはラッキーかな。


「う、うわ。また死体か。嫌になるぜ。

 でもこの顔、どこかで見たような・・・。」


「エルム、あんまりじろじろ見るのはやめましょう。

 気が滅入っちゃうわ・・・。」


あと、住民と思われる死体もしばしば見かけるので、地味にメンタルが削られる。

早く避難したい。


「こいつは・・・。

 あの時、最後までライト達を山賊だと言い続けた・・・。


 濡れ衣で人を山賊扱いした奴が、本物の山賊の犠牲になったのか。

 哀れな話だ。」


「ん、エリトさん。何か言った?」


「いいや、何でも無い。

 それよりもう太陽城は目の前だ。

 踏ん張れ、ライト。皆!!」


こ、これで休める・・・と思ったらぁ!!

城門の前で十数もの山賊達が、城に攻め込もうとしていた。

兵士達も必死で応戦しているが、押され気味だ。


マズい。このままでは休憩ポイントが潰されてしまう!!


「エルム、アカリ!!

 あの山賊達に向かって、一斉攻撃しよう!!

 休憩ポイント・・・ゴホン、太陽城を守るんだ。」


「「了解!!」」


「私も手伝う!!」


俺達三人とユラは、味方を巻き添えにしないよう気を付けながら、力を振り絞って魔法をぶっ放す。

かなりヘバってるせいで、いつもよりは威力が落ちているから、死にはしないだろう。

多分・・・。


「「「「「「「「ぎゃあああああああ!!!!」」」」」」」」


俺達の魔法が直撃し、山賊達の大半を倒す事が出来た。

だがまだ数人、山賊が残っている。

けど、もう俺達に魔法を撃つ気力は残っていない・・・。


「よし、よくやったぞ。お前達。

 あとは俺達に任せろ!!」


「アンタら・・・やっぱり凄い奴等だったんだねぇ

 あたしの目に狂いは無かったわけだ。」


しかし残りの山賊達も、エリトさんとアネコさんの剣を受け、一瞬で息絶える。

俺達と違って、容赦なく悪人の命を奪えるのが凄くもあり、怖くもある。


・・・俺達には人を殺す度胸は無いからな。

ちなみにユラも魔法を使う際、人間に対しては殺さない程度の威力に抑えていたようだった。



まあ、何はともあれ・・・。



「やったーーーー!!!! 太陽城だーーーー。」

「助かったんだ。俺達、助かったんだ。」

「ああ、神様。仏様。ありがとうございます。」

「や、やっと休める。僕、もう限界・・・。」



これでようやく太陽城までやって来れた。

あれから更に人数は増え、全員を守り抜くのは大変だったが、なんとか犠牲者を出さずに来れて良かった。



俺達は体力が限界寸前ながら、ぶっ倒れる前に休憩ポイントまで辿り着いた。


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読んで頂き、ありがとうございました。

少しでも「続きが気になる!」「面白い!」と思って頂けたら、評価★★★★★と、ブックマークを頂ければと思います。

どうぞよろしくお願いします。
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