冒険者達、来たる。
「そいつらをどうこうすればジョンは帰れるんだろう?」
「あのな、多分帰り道にニホンジンを使わなきゃいけないからな。
それに事故って俺を呼び出したぐらいだ。成功率は低い。」
「じゃあ・・・。」
肩をすくませてジョンは言った。
「詰みってやつだよ。将来の英雄。こちらがわから出来ることはなにもない。
あとはのんびり世界の端で暮らそうかな。」
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「いや、あんた嘘をついているな。」
目を思わず細めた。うちのパーティーのリーダーのようだ。
人の真意を汲み取り、正しくなくても思うがままの選択をする。
それが冒険者だ。
「此方側ってことはあんたが認めるパーティーは必ず来ると信じているんだろう?」
「ご明察。見事だ。」
「あれだけ強くて、万能の人なのにどうして器用貧乏を自称しているのかがわからなかったんだ。
あんたは前のパーティーの実力を信じている。だから時が来るまで動かない。」
「タロウ!想定されうる最悪の召喚術にうってつけの日は明日だよ!」
「まあそういうことだ。危険だからついて来なくていいぞ。帰るだけだし。」
「・・・。黄金亭のS級冒険者なんだろう。
見送るさ。あんたの話で生き残れたようなものだし。」
「うれしいね。」
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アリュール村にかくして到着した。
村の中央に祭壇があった。以前はなかったが。
どうやらニホンジンはすでに犠牲になってしまったらしい。
そこら辺はかなりジョンはシビアだ。
帰れるためなら手段を選ばないあたりが。
「来たれ我が主、怠惰なる女神に鉄槌を!」
リンの声が響く。どうやら本当にただの村娘ではなかったようだ。
空間が歪曲する。
「ちょっと!成功する前に止めないと・・・!」魔法少女が震えながら警告する。
「あー、半分はうまく行ったみたいだな。半分は。余計なおまけ付きだが。」
空間を割く魔物・・・。魔物というよりどっちかというと魔神よりだが。
こっちがアリュール村が本命で呼ぼうとしていたものだ。
余計な荷物は交易都市のパーティーメンバーだった。
神殺し・竜殺し・その他諸々、あの世界の最高峰でのメンバーが魔神と好戦していた。