冒険者、早々に見切りをつける。
器用貧乏ジョンがいなくなったパーティーは騒然としていた。
ドラゴン退治、竜殺し、めんどくさい税金関係、顔通しその他諸々。
様々な分野で幅広く活躍しているメンバーだ。
一人欠けただけでも大いに損失、大損失だ。
魔術師は世界をカバーするぐらいの感知はできる。大魔術師なので。
精霊術士の幼女は聞き込みをかけた。ありとあらゆる精霊に。
盗賊は情報をかき集めた。それこそ裏の裏まで。
参謀はそれらをもってして結論を出した。
この世界から器用貧乏ジョンはいなくなった、しかし生命感知は微弱にある。
察するに別の次元にジャンプでもしてないか?と。
リーダーは結論を出した。
「んー別世界か・・・。探すか。」
色々人外的な活躍をしている彼らにとっては普通の依頼という暇つぶしより、
別世界という美味しいネタのほうが興味があるようだった。
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ジョンは結論をだした。
まごうことなく、ここは異世界だ。
日銭を稼ぎながら大陸の端から端まで稼業に勤しみ、
商船の護送依頼を受けて一周し、
黄昏亭の面々から化け物や・・・と恐れられながら探した。
神の与え給うた食物、揚げじゃがもない。
見知った景色もない。
別の大陸に行こうとしたら奈落へいざなう大きな滝しかない、
仲間の反応も、絶対に勝てない英雄も化け物もいなかったのである。
つまり、詰んだのである。
外部からの助け、メンバーの助けがないとどうにもならない。
果報は寝て待て。魔術書を読みながら、黄昏亭の二階宿でゴロゴロすることにした。