ダンジョンアタック①
<ランダムダンジョン4階層>
ダンジョンの中は意外に広く3人並んで歩いても余裕がある程の道幅だった。
前衛にキュリアと罠を感知する為に姫。
中衛には魔法で援護する為に黒羽、姫がもし罠の感知や解除に怪しい時にアドバイスをするストレクーガ。
後衛には秋月とシウがいる。
モンスターは前方に現れるだけではなく背後からも現れるために近接も出来る秋月とシウが後ろで控えていた。
まだまだダンジョンに入ったばかりのシウ達なのだが、背後からモンスターに襲われることも度々あった。
「なぁ…こんなにダンジョンって大変なの?!いきなりバックアタックされて驚いたんですけど!」
「普通なら5階層までは前にしか現れないんだけどねぇ…しーくんの悪運の仕業かな?」
「マスターなら有り得るのです…強運なのか悪運なのかわからないのがマスターなのですよ」
「流石しーくんだね!楽しませてくれるよ!」
「止まるのじゃ!罠が…あるのじゃ?」
キュリアと秋月がシウいじりを始めた時に姫が罠を見つけるのだが確信は無かった。
「確かにあるな。浅い階層なのにここまで隠蔽されてるのは珍しいな…姫、どこにあるかわかるか?罠自体の解除は簡単なはずだからゆっくりと探してみるんだ」
ストレクーガが姫にアドバイスを送ると姫は狼姿のまま鼻を使いながら罠を探して回る。
「駄犬から感知犬にレベルアップしてるのです…」
「空港とかに居そうな大型犬だな…シュール過ぎる」
「姫ちゃんが鼻をスンスンしてる姿面白い!そんなので発見出来るなんて…ひー!お腹痛いよぉ〜!」
キュリアとシウは姫が罠を探してる姿に軽く引いていたのだが、秋月だけはお腹を抱えて笑っていた。
「旦那様…罠感知が無くても私の眷属を使えば見つけることが出来るのですが…」
「黒羽さん、貴方の眷属召喚したらGが現れるんだよね?それはやめよーか」
黒羽は眷属を使ってわざと罠に掛かれば罠感知が無くても進めるとシウに提案をするのだが、シウはあの黒い悪魔を見るのが嫌であった。
「眷属のバルバトスにグシオンにキマリスがうずうずして待ってるのに…旦那様!眷属を使いましょう!」
「やめて?!しかもその名前は俺の防具にも使われてたからね?!色も同じだからやめて?!二度と使えなくなるじゃん!」
「旦那様のいけず…」
「お前たちは少し黙っていようか…姫、発見できたか?」
「あったのじゃ!解除も出来たのじゃ!」
姫は見事に罠を見つけ解除も同時に終わらせていた。
先に進むと5階層に続く階段があり、下に降りていく。
5階層に降りると一本道でモンスターも現れずにセーフティゾーンまでやってきた。
「ボスの前はモンスター現れないのか?ここまで一本道だったけど…」
「5階層まではな、ボスもゴブリンキングが一体だけだから楽に終わるさ。でもその先が本番だからな」
「キュリアちゃんと姫ちゃんの2人で終わりそうだよね〜。この際だからしーくん、銃を使ってみる?私のお古だけど実弾の銃を貸してあげるよ?」
「それなら使ってみようかな…どんな感じなのかも気になるしな」
秋月とシウはトレードを行いハンドガンを貸してもらった。
「まずはこのハンドガン一丁を使ってみて感触を確かめてね。防具は今のままでもいいと思うけど一応新しい装備欄に弓をハンドガンにして置いてね。換装って言うか思えば勝手に変わってくれるから、こんな感じでね!」
秋月が新しく増えた換装をシウの前で実践して見せてみる。
一瞬のうちに秋月がの装備は全て変わり、メインウェポンがハンドガンからスナイパーライフルに変わり、防具は皮鎧から動きやすさ重視の服に変わっていた。
「そんな風に変わるんだな。とりあえず装備しておいた、短刀はサブウェポンに残してるけどいいよな?」
「今はハンドガンだけだから気にすることないよ〜そのうちしーくんの使いやすいように変えていけばいいと思うよ!それじゃボス戦いってみよー」
シウは扉に触れると開き、大広間が現れた。
大広間の中央にはゴブリンキングが一体だけ立っており、シウ達が部屋に入り扉が閉まると同時に
「ガァァァァ!!!」
「来るぞ!動きは遅いからシウはとりあえず撃ってみろ!」
ゴブリンキングとの距離はまだ充分ある。
シウは両手でしっかりと握り、狙いを定めトリガーを引く。
通常弾を使っているのでダメージはそんなに期待できないはずなのだが
「グベヒャ…」
「頭半分消えてなくなってるのです…グロいのですぅぅぅ!!」
「しーくん…通常弾でそこまでの火力出しちゃうの?え?チート?」
「・・・ありえねぇ」
「主…ゴブリンキングが可哀想なのじゃ…せっかく腕を回しながらやる気満々でこちらに来てたのに…一撃で終わらせるなんて…」
「旦那様…素敵です」
シウの一撃でゴブリンキングの頭半分が爆散して消えていた。
「なんでこーなるの?ノーマルの弾丸なんだよね?普通に撃っただけよ?!」
「可能性としてはDEXの高さかな?銃は弓と同じDEX依存だからしーくんの異常なまでのDEXの数値でダメ率がおかしいのかな?」
「まぁボスでもチュートリアル的な奴だから…そういう事にしておこう」
ゴブリンキングが光になり消えていくと扉が自動的に開き先に進めるようになっていた。
ボス部屋から先に進むと1つの宝箱が無造作に置かれており、姫が罠感知を使い罠が仕掛けられてないか調べ、特に異常は無くシウに伝える。
「罠は無いのじゃ!早く開けてみるのじゃ!どんなお宝があるのか気になるのじゃ〜」
「最初だからいいのは無いだろうよ」
宝箱を開けると、中に入っていたのは1つのガントレットだった。
武具:ガントレット
吸魔のガントレット レア度5 耐久値420/420
ATK+35 VIT+25 AGI+30
【魔法吸収(弱)】
「おぉ?なかなかスタートから良いのが出たじゃん!しーくんおめでとだよ!」
「武器にも防具にもなるタイプのガントレットだな。人化した時の姫用に丁度いいんじゃないか?」
姫の装備欄は二種類あり、狼姿の時と人化した時の装備欄がある。
換装は人化の時のみとなっていた。
姫はガントレットを抱きしめシウに
「主!これは妾が使いたいのじゃ!たまにはご褒美が欲しいのじゃ…」
姫はいつの間にか人化しており涙目の上目遣いでシウに言いよっていた。
「お…おぅ。姫が罠感知とか覚えてくれたお陰でもあるしな。それは姫が使ってくれよな。他にも姫が装備出来そうなのが手に入ったら優先的に渡すようにするわ」
「嬉しいのじゃ〜!主の役に立てて妾…本当に良かったのじゃ!」
姫がシウにとびきりの笑顔を向けるとシウは照れ視線を逸らした。
逸らした先にはジト目でシウを見るキュリアと黒羽の姿が目に入った。
「マスター、私たちにはくれないのです?感知犬優先なのですね…」
「浮気現場を目撃した気分ですね…眷属を出しましょうか…」
「いやいやいや、君たちはちゃんと装備あるじゃん?姫は装備揃ってませんやん?剣とか槍とか鎧とか出たら2人に渡すようにするから…ね?」
シウは2人に説得をしていると横から秋月が
「それなら私も要求する!私達にも貰う権利はあるのだ!ね!クーちゃん!」
「は?俺は別に要らないけど…でも珍しいアイテムが出たら欲しいな」
「あーもう!わかったよ!とりあえず次回からは皆で相談な!はい、決定!さっさと次の階に行くぞ!」
シウは強引に話しを終わらせ階段を降りていく。
その後ろで姫は装備した吸魔のガントレットを嬉しそうに眺めシウの後をついて行っていた。
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