上を向いて
自分の気持ちに整理がつかずモヤモヤがどんどん大きくなっていく。
するとおでこの上に冷たいものがポツリと落ちて来た。
冷たっ!!
頭上を見上げると、外壁に滴る雨水の雫が輝いていた。そのさらに上空には、昼間の豪雨など想像もつかないほどに透き通った藍色のキャンパスが広がっていた。
雨上がりのアスファルトの匂いが春の生温い風に乗って運ばれてくる。
いい匂い…
そして立ちすくむ私を、眩いほどに輝く月の光が包んでいる。
"上を向いて歩きなさい"なんとなくそんな風に言われている気がした。
そうだ。夜空はいつも見上げる度に教えてくれたんだっけ。
私はこの宇宙で限りなくゼロに近い存在なんだって。
その私が悩む事はもっともっと小さくて、そんな事に囚われて生きる時間は勿体ないんだ。
小さな小さな存在の私が出来ること。
それは、せめてこの世界に生きている限り、ちょっとでも"幸せだ!生きていて楽しい!"…そう思う事なんだって。
私が泣いても笑っても死んでもどうなっても、この宇宙では"何の関係もない当たり前"のこと。
そんな世間からするとどうでもいいようなコトなのに
自分で悲しんだり不幸に思ったりしなきゃいけないなんて…なんか損した気分になる。だから私は前だけ向いて歩きたいって思うんだ。
…なんて他の人からすると"ポジティブな馬鹿"って思われちゃうのかな。笑
それでもいいんだ。
だって…今の事だって、彩ちゃんとの間に"壁"ができてしまったわけじゃない。
だから、自分の気持ちがハッキリするまで待っててね…彩ちゃん。
なんだか急に元気が戻って、"いつもの私"になれていた。いつのまにかモヤモヤが小さくなっていて、鼻歌交じりに帰路についた。
自分でも単純だなぁと呆れる事がよくある。
まぁそれでもいっか♪私はそれで幸せだから。
今日は晩御飯なににしよっかなぁ♪