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本日は性転ナリ。  作者: 如月アル
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ハナニガナの花

私は帰り支度を始めた。


と言っても鞄に携帯をしまい、薄い萌黄色のカーディガンを羽織るだけだけど。

本当にこれで良いのだろうかという想いが

頭の中でモヤモヤしている。

だけどどうしたらいいのかが分からない。


「それじゃっ、私…」

鞄を肩にかけ立ち上がると、背中にふわりと柔らかな感触がある伝わった。


それと同時に香ってくる甘い香り。


彩ちゃん…


私は嬉しい気持ちと、何故か湧き出る"罪悪感"に包まれた。

このままでは罪悪感が膨らんでしまう気がして、平常心を装い笑顔で問いかけた。


「あれっ…どうしたの??」


返事の代わりにカーディガンが微かに握られる。



彩ちゃん…


私、ホントはやっぱり…


『よし…充電完了っっ♪』


そう言うと甘い香りが遠のいていった。


待って…

なんてダメだ。私は…どうしたいんだよ…



「彩ちゃんどうしたの?」


今ならまだ間に合う…?


『何でもないっ♪』


彩ちゃんはそう言って笑うと、玄関まで私の背中を押していった。


『衣瑠っ♪…またねっ♪』


その"またね"がもう2度と訪れない気がしてならなかった。


「それじゃぁ…またねっ♪ホントに…私に出来ること、何でも言ってね♪」


これでいいの…?

トモダチ…

私は彩ちゃんとトモダチでいいんだよね。


『うん。衣瑠に出来ること…また言うねっ。そうだ♪黄色いスイセンの花が欲しい♪時間はかかっても良いからさっ♪それじゃっ…』


玄関が閉まり、私と彩ちゃんを遮った。


黄色いスイセン好きなのかな。とびっきり可愛いやつをプレゼントしよう。


それにしても彩ちゃん…少し寂しそうに見えたのは気のせい…かな。


笑顔の奥に潜んだ寂しさが垣間見えた気がして足を止めた。


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