彩ちゃんの香り
私は湿った服を脱ぎ捨て広い浴室へ入ると、スタイリッシュなデザインのシャワーレバーを動かす。
すると心地よい温水が勢いよく身体へと降り注ぐ。
あったかい…
身体の体温が上がっていくのがわかる。
知らない間に、春先の雨に体温を奪われてしまっていたみたいだ。
地中海をイメージさせるお洒落なボトルには"shampoo"、"conditioner"、"treatment"の文字が彫られている。
勝手に使っていいのかなぁ…
高そうだし…貴重なやつだったらどうしよう。
けどこれしかシャンプーっぽいのないし…
かなり悩んだ挙句、コンディショナーやトリートメントは使わずに、シャンプーだけ使わせてもらう事にした。
緊張しつつポンプを押し切らないように控えめにプッシュする。
それを髪へと馴染ませ泡立たせる。
あっ…彩ちゃんの匂い♪いい香りだ。
なんと表現したらいいものか分からないようないい香りがする。
さすが高級シャンプー…
CMでよく見る髪の毛ふわっってやつできそう…
あぁ…幸せ♪これも女の子の特権ってやつ?
んもぉー!ズルイよぉー、ずるいずるい!!!
…ってなに言ってんだ私…
恥ずかし…
さてと…身体も洗ったし出ようかな。
浴室のドアを開けると出てすぐの所にある棚に
バスタオルと可愛らしい"部屋着"が置かれていた。
その上にはメモが置いてある。"これ着て"
素っ気ない一言であったが、"素直になれない子供の一言"のように感じられて少し嬉しい気持ちになった。
優しいなぁ。彩ちゃんは。
ドライヤーや着替えを済ませて彩ちゃんの部屋に向かった。
道中、それまで誤魔化されていた気持ちが蘇る。
なんて話そう…
無論、結論が出る前に部屋の前へと到着した。
深呼吸をしてドアを開ける。
彩ちゃんの部屋だ。
とても懐かしく、愛おしい気持ちに包まれた。
「ただいま。」




