カンチガイ
外から見る限り人の気配はない。
昼間だというのに、厚い雨雲に光を遮られてしまっていて陽が暮れてしまっているような雰囲気の中彩ちゃんの部屋を見上げる。
6尺程の大きな出窓には少し奥まって薄ピンクのカーテンが幕を閉じており、その出窓とカーテンの間には可愛いクマのぬいぐるみがこちらを見下ろしていた。
電気が付いていないということは誰も家に居ないんだろうか…
インターホンのボタンを押す。
「こんにちわ…彩さんの友人の衣瑠と言いますが、彩さん居ますか??」
…なにも応答が無い。やはり誰も居ないのだろうか…
インターホンの通話が切れようとした時、スピーカーの向こうで物音がした。
彩ちゃん?!
きっと彩ちゃんは居るんだ。やっぱり私と会いたくないって事だよね…
だけどこのままじゃ嫌だ。
私のエゴかもしれないけど何も行動を起こさずに、嫌われた理由も知らずに他人にはなりたくない。
私は再びインターホンのボタンを押した。
「彩ちゃん?居るんだよね?衣瑠だよ。この前はゴメン。彩ちゃんの気持ち何にも考えられてなかった…
だけど…急に居なくなっちゃって、なんか彩ちゃんの態度も変だったし…
それから連絡も取れないし…私…わかんないよ。
謝って済む問題じゃないのかもしれないけど本当にごめんね。
ただ、もう一度会って話がしたい。
出てきて…くれないかな。」
すると、一瞬の沈黙の後、ゴホンと咳払いが聞こえた。
そして門扉のロックが開く。
私は玄関へと歩いていく…
玄関の前へたどり着くとほぼ同時に玄関のドアが開いた…
「彩ちゃ…え??」
『あのぅ…こ、こんにちはぁ♪』
そこに居たのは…"従業員のお姉さん"?!?!




