お酒はハタチになってから
「れ…麗美さん?」
何かおかしい!なんというか、目がとろ〜んってしててニヤニヤと不敵な笑み浮かべて…
しかもこの注射みたいな匂い…
まさか!!
麗美さんの手に握られた紙コップを奪いとり鼻を近づけてみる…
「何飲んでんのっ!!?これお酒じゃん!!」
紙コップに注がれた液体からは、ほのかにアルコール臭が漂っている…
それは、注射打つ前にいつもやる嗅ぎ慣れた"アレ"の匂い。
『えぇー??お酒ぇ??ダメだよぉ…お酒は未成年になってからでしょぉー??』
なにを言っているんだこの人は…
ってかこんなもの何処から…
ふと周りを見渡すと、隣に居た大学生らしき男グループの2人がこちら側のシートに入り込み莉結たちに絡んでいる。
その手には紙コップが握られ、嫌がる莉結の口にそれを当てている。
いつのまに?!
私はかなりぼーっとしていたらしい…
「ちょっと!!何やってんすか!!!やめてください!!」
すると一瞬驚いたようだったが、私を見るとニヤニヤと笑い出しこう言った。
『キミも可愛いじゃん♪マジ今回当たりじゃね!?』
『俺この子がいいわぁ。まぁとりあえずキミも飲みなって!!』
そう言って、私の口に無理矢理紙コップ当ててきた。
私の意思と関係なく傾けられるコップから液体が胸元へ溢れる…
何こいつら…非常識にも程がある。
我慢できない。
『おい!!てめぇらぁ…いい加減にしろやぁっ!!ばっかやろぉー!!』
それは私から発せられたものではなかった…
この透き通った声は…莉結…だよな…えっ?
『わぁーたぁーしぃーわねぇー、てめぇらなんぞ興味ないんだよぉ〜!!私が興味あんのわぁ、ふふ♪瑠衣だけぇ♪』
…コイツもか。
そんな飲まされてはいない筈だけど…ってか今なんて??興味あるのは私だけとか言ってたような…
…っと急に何かが私に覆い被さる。
というか莉結に抱きつかれていた。
アルコールの匂いがする…
ふと顔をあげると顔を真っ赤に染めた莉結の姿が…
横を見ると先ほどの大学生が"変なもの"を見るような目でこちらを眺めながら立ち去ろうとしていた…