パンダはパンダじゃない
私は…バカだ。何を期待していたんだろう。
こんな病気になるのは、私1人だけで十分だ…
そうだよね…
『はいっ♪衣ー瑠っ♪さっきからどぉしたのっ?元気ないぞっ♪これ貰ったから食べよっ♪』
ぼーっとしていたところを莉結の言葉が優しく包み込む。
もういいっ。せっかくの桜がもったいないやっ。
「いただきますっ。あっ!莉結それ私もちょーだいよ!!」
莉結と居ると嫌なことなんかすぐにどこかへ行ってしまう気がする。
『ん?もぉ…はいっ衣瑠。どぉぞ♪あっ!ねぇねぇ!そゆえば2人の名前聞いてなかったよね??』
莉結の主導のお陰で、麗美さんの友達ともスムーズに会話が進んでいく。
話してみるとみんな優しくて、見た目と裏腹にしっかりした子たちだった。
昔、よく母さんがいってたな。
"人を見かけで判断するな。パンダの着ぐるみを着た人をパンダと思うな!"ってさ♪笑
斬新で理解し難い比喩だが、大人になるにつれてその意味がよく分かる。
第1印象最悪な人も、話してみればとてもいい人だったり、始めはいい人でも実際はその逆だったり。
特に私なんて見た目なんかじゃ今までのコトなんか分かるわけないしね。ははは…
要は、"パンダの着ぐるみ"を見て、みんなは"着ぐるみを着た人"と当然に思うだろう。
けど、それは勝手な思い込みで、中にロボットが入っているかもしれない。もしくは芸達者な猿かもしれない。
現実的ではないけど。
つまり常識に囚われるなって事をユーモラスに表現したかったのだろう。
うん。ほんとに分かりづらい…笑
…今思えば"私のコト"だったのかな。
常識に囚われずに自分を持って生きなさいってコト?
なんて美化し過ぎたかっ?笑
…はぁ〜ぁ、それにしてもほんとにいい天気〜っ♪
綺麗な桜の樹の下で、楽しくお喋りして…ぽかぽかしてるし。なんか楽しいなぁー…
"バンっ!!"
何故か急に背中を叩かれた。
「痛っぁ〜!!」
振り向くとそこには顔を真っ赤に染めた麗美さんの姿があった。