春の訪れ
あれから自分の感情がよく分からないまま数日が過ぎようとしている。
心はすっきりせずとも、辺りはすっかり鮮やかな春だ。
路傍には、布団から出ようとする子供かのようなつくし達が群生している。
また春が来たんだなぁ…
そんな事を考えていると後ろから軽快な声を浴びさせられた。
『おっはよぉー♪』
莉結には"あの日の事"をちゃんと説明できていない。
いざ帰ってからまたあの事を振り返ると、妙に恥ずかしくて、わざわざ話題にあげる事もないか…と思ってしまうのだ。
あの事は"もし聞かれたら"答えよう、と自分に言い聞かせつつ、そのチャンスは訪れなかった。
しかし莉結とはいつも通り一緒に登校するし、普通に会話もする。
ただ、何かいつもと違う気がする。その何かが分からなくてモヤモヤしていた。
学校生活はというと期末テストも終わり、終業式を迎えるだけとなった。
(因みにテストの結果はいつも通り"まぁまぁだった。)
悩みのタネの天堂さんも、学校ではクールなキャラで、自分からガツガツ行くような感じではなく、すれ違った時に立ち話をする程度で、私は今まで通りの生活を送ることができている。
ただ…、私に用事があるとき以外は
学校帰りに私の家に寄るのだが…
その時の変貌ぶりが本当にヤバい。
なんというか…
見ないと分からないよね…笑
それでも2人で勉強したりお菓子を食べさせ合っ…いやっ、なんでもない!笑
成り行きで付き合うとか勝手になってしまったけど、
とりあえずはカップルみたいな事はしているんだと思う。
私は別にこの程度なら嫌でも無いけど、
それなら"友達"でいいんじゃないかなって思ったりもする。
そんなこんなで日々は過ぎ、あっという間に春休みが到来した。




