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本日は性転ナリ。  作者: 如月アル
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女's話

宿泊棟に着いた私たちは荷物の整理を終わらせ、就寝の準備を終えた。


周りの女子たちは"ガールズトーク"に勤しんでいる。


今日の出来事について質問攻めにでも合わないか心配していたのだけれど、気を遣ってか遣わずかそのような事は一切なかった。


今日は本当に疲れたなぁ…

重力に負けてしまうほどの力しか残っていない瞼をなんとか持ち上げつつ横を向く。

それは莉結も同じようで眠そうな…いや、寝てる?!なんとも判断のつかない顔をしている。


いつもは元気で活発な莉結もこういう時は人が変わったかのように静かだ。


普段の学校生活では見ることのない莉結。


動物園のライオンが昼夜で活動量が違うように、

莉結もまた眠い時と活発な時とでの差が激しいのだ。


そんな莉結を見ていると幼馴染とはいえ、改めて"可愛い"と感じる。


視線を感じたのか、ふと目があった。


莉結は、ほぼ閉じかかっている目で微笑み、

『今日もお疲れさま。』と言った。


私はその言葉から2つの意味を感じ取った。


色々あっての"お疲れさま"。そして"衣瑠としての1日"に対してのお疲れさま。


本当の私を知っているのが莉結だけである現状で、その言葉だけは私の体内の奥深くまで瞬間的に吸収され、

安心という名のエネルギーへと昇華されていく。


「ありがとう。莉結も今日は…」

気がつくと莉結は眠りについていた。


ホントに可愛いやつだな…


さて…私も寝ようかな。


と思っていた矢先、思春期の女子たちのビッグウェーブに飲み込まれる。


『衣ー瑠ちゃん♪色々お話ししたいなぁ♪』


ゲッ…なんか来たよ…


早く寝れば良かったぁ…泣


これから学校生活を共にする"同性のクラスメイト"である以上邪険にする訳にはいかない。

しかし、まだ"女の子"というモノについて未知な部分が多い私は莉結無しでうまく会話を成立させることができるのか不安だった。

「え…そうだね♪私もみんなと話したいなぁと…あはは…」


やるしかない…


ガールズトークの開始のゴングが鳴り響き、1番に話題に上がったのはやはり"今日の出来事"であった。


私は天堂さんの事には触れず、強盗犯との出来事だけを簡潔に話した。


女子たち…いや、他人はそういう身近に起きた非日常的な話が大好きだ。

それをまた他人に話す事で満足感を得るのだろう。



警察の事情聴取の如く、その時の状況を根掘り葉掘り聞かれた。


必要のない事まで細かく質問してくるから、ある意味警察よりもタチが悪い。


なんとか野次馬を満足させることができたようで、話題がやっと切り替わる。

だが次に出た話題は"瑠衣くん"の事だった。


自分の事を話題にされる恥ずかしさったらありゃしない!笑


まぁ今は"双子の妹"な訳だし…

その話題なら"女初心者"の私でも墓穴は掘らない。


『ところで瑠衣くん大丈夫なの?』


「うん。だけど入院長引きそうでさぁ、いつ帰ってこれるか分からないんだって。もしかしたら戻ってこれないかも…」


虚しさに心を潰されそうになる。


『そっかぁ…あのね、瑠衣くんって凄いモテモテなんだよ♪だからみんないつ戻ってこれるのか心配しててね…』


「えぇ?!そんなワケっ…だって愛想悪いしカッコよくないし、いっつも1人で何考えてるか分かんないし!友達だっていないんだよ?!そんなモテるなんてありえないよ!!!」


『そうかなぁ?顔も美形だし、そういうクールなトコとか、ふとした時に優しいトコとか好きって子多いんだよ?…ってか仲良さそうだねっ♪羨ましいなぁー。』


本人目の前でそんな事…言うなっ!!

超恥ずかしい…

新手の拷問だよコレ!!!!


「そんな…まぁ聞いたら喜ぶとは思うケド…」


『けど瑠衣くんには莉結ちゃんがいるからねぇ…』


はっ?!


「え?どゆこと?!」


『だから…莉結ちゃんっていう幼馴染で可愛くて仲良い非の打ち所がないような彼女がいるでしょ?だからみんな手出せないじゃん。笑』


「イヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤ、莉結とはそんな関係じゃないしただの幼馴染…」

なのだろうか?


今まで漠然と当たり前のように一緒に居たから考えたこともなかったけど…


『でも周りから見たら超お似合いカップルって感じだよ♪お互い純粋過ぎて見てるこっちがモヤモヤするけど♪…それで…衣瑠ちゃんはどうなの?』


「えっ?」


『その…だから衣瑠ちゃんは好きな子とかいないの??』


キターっ!!!

思春期女子の鉄板ネタっ!!


俺…いや私の苦手分野No1に輝く話題!!


「え…あの私は居ないよ♪」


これがベストアンサーだ。うん。

ってかホントだし。

これなら話題もハイ終了ー♪


『えぇ?ホントー?莉結ちゃんの事も?』


はい?


「えっ?だって莉結は女だし…」


『私たち中学女子校だったから普通に女の子同士で付きあったりしてる子居たよ♪』


えぇっ?!そうなんだ!

私が思っているよりも当たり前な事なのかなぁ??


「そ…そうかなぁ?私って莉結の事どう思ってるんだろう?」


『えぇ?それ聞くぅ??衣瑠ちゃん純粋すぎるよぉ〜!!笑』


結局、私の気持ちの答えは分からなかった。

だけど周りから見ると、私と莉結は"友達以上のカンケイ"に見えるらしい…


気をつけよう。


それからは各々の"恋バナ"が炸裂し、長い夜はあけていった。


ちょっとだけ女子たちが恋バナに夢中になる気持ちが分かったような気がした。




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