女の試練
どうしよう…
私は衣瑠になってから最大の試練を迎えようとしていた。
遡ること30分前…
『よしっ、じゃぁお土産はみんなもらったかぁ?とっても可愛いまりもっ…わかなちゃん人形だな!!各自お礼を忘れないように。』
今絶対まりも◯こり言おうとしたろ!!
生徒達に不穏な空気が漂う中、最高の天体ショーは最低な結末で幕を閉じた。
『じゃぁ戻った人から風呂の準備をして、大浴場へ行くように!!入浴時間厳守だからなぁっ!!ちゃちゃっと入っちゃえよー!!』
はへ?!
そーだぁ!!!あまりにも色々ありすぎて忘れてたぁ!!
今の私は女の子…
勿論お風呂なんて女湯…
『どぉーーーしよぉーー莉結ぅーー!!!!』
『どうしようって衣瑠ちゃんは女の子でしょ?腹くくって観念しなさいっ!!笑』
えぇーーー?!?!
頼みの綱だった山田先生にも"流石に今日は時間がなぁ…"と断られ…
今に至る。泣
続々と女子たちが脱衣所に入り乱れる中、
私、如月衣瑠は…
脱衣所の角と同化しております…
うん、古い施設の割に隅までちゃんと掃除してて素晴らしいわ♪うんうん♪
あ、ここちょっとクロスが剥がれちゃってるよぉー♪このこのっ♪
『衣瑠ーっ!!そんなトコでなにやってんのよ!!時間厳守なんだから早く行こぉーよぉ!!』
と言われましても…泣
『さっ!!早く脱いで!ほらっ!!ちゃんとタオルで隠して!』
「うわぁ!ちょっ…やめ…わぁーーー…」
……
『はぁー♪いいお湯だったねぇ♪』
「ナニモ、見テナイデス…」
『もぉ…せっかくのお風呂なのに何にも楽しんでないんだからぁ…』
十分楽しませてもらっ…てないです!!別に!!
はぁー…いちいち疲れるなぁ。
ホントこの身体には慣れてきたはずなんだけどなぁ…
髪はなかなか乾かないし…
スキンケアとか別にしなくていいんじゃないの?
『あ♪衣瑠ちゃん!!莉結ちんも♪』
「あ、麗美さん。今からお風呂?」
『そだよー♪一緒に入れれば良かったのにねぇー。』
いや…何されるかわかったもんじゃないよ…笑
そういえば…
私は麗美さんの腕に目をやる。
やっぱり。"あの跡"だ。
間違える筈がない。
『えっ?なにぃ?私のことジロジロ見て。そんな見られたら照れちゃうよぉ♪』
ハッ!いかんいかん。また変な誤解を…
今しかない!
「麗美さん!!あの…その腕…」
だけど何て聞けばいいんだ?!
単刀直入に?
いやっ、もし、間違ってたら墓穴掘るだけになっちゃうし…
『腕がなに?』
「あのぉーほら腕細くて可愛いねっ♪なんて♪はははは…行こっ莉結!!バイバイ麗美さん♪」
くぅー!!!言えなかった!!
バカバカバカバカ!!まぁいっかぁ…
『え?さっきのなに?』
「いやぁなんでもないよ…自分の不甲斐なさを恨みたいだけだよぉ…」
『ふーん。麗美さん可愛いもんね。明るくて元気だし、スタイルもいいしさっ。』
「え?なに言ってんの?」
『衣瑠のタイプっぽいなって思っただけ!!』
そう言うと莉結は小走りに行ってしまった。
何だったんだよ今の。




