因果応報
コイツらマジでどうかしてるよ…
目の前に居るのはただの女子高生…
なのに…身体が動かないッ!!!!
どうして?!
すぅーっと意識が遠のく中声がする。
『もう身体が動かないの?無理ないわ…そういうものなの。本当はこんなことするつもりなかったのよ?
適当に意識無くさせて恥ずかしい写真でも拡散してあげるだけのつもりだったのに。
全て貴女が悪いのよ?私は何も悪くない。私の"全て"を奪った貴女のせい。……さよなら。』
その瞬間、顔に土の柔らかな冷たい感覚を覚えた。
……
頭の後ろの方が痛い…
ズキズキと心臓の鼓動に合わせて血管が激痛と共に波打っている。
その痛みの合間に声が聞こえてきた。
『…かにしろッ!!可愛い顔して…しやがるなぁ。』
誰…?
頭痛い…
アレ?何だろ…蟻?なんで蟻が顔の上に…
段々と意識が鮮明に戻ってくる。
あ…あ…莉結…みんな…
どうなっちゃったんだろう私たち…
此処は…崖の下…なのかな…
『死にたくねぇなら大人しく付いて来い。』
誰だ?!
聞いたことない男の声…
『やめて。汚い手で触らないで。…私は…私は健太君のものなんだからっ!!!!!!!』
『死にたくねぇだろ?俺らが無事逃げ切れるまでの辛抱だお嬢ちゃん。…ま、こんな事しちまってアンタも無事かは知ったこっちゃねぇけどなっ。ははっ。』
なんかまずい状況か…?
声の方向を見ると見知らぬ男性が天堂さんの首に腕を回しナイフを突きつけていた。
ナイフを…?!
え?!どーなってんだよ?!
そう思った時には既に声を発していた。
「ちょっと待った…」
同時に自分はどうしようもない馬鹿だと思った。
殺されるかもしれないじゃん…
『んだよ…もうお目覚めか…めんどくせぇ。だけどそんな身体じゃどうしようもねぇな。』
「私が代わるから…その子を離してよ…」
『何言ってんのよ!!アンタどうしようもない馬鹿ね!!』
ドス!!
天堂さんの身体が地面に落ちる。
『それは俺にとっても都合がいい。こんな暴れまわる小娘よりお前の方がお利口さんみたいだしなっ。』
そして私は自ら"見知らぬ男"の人質となった。
こいつ…もしかして…昨日麗美さんが言ってた"逃げた強盗犯"なんじゃ…
いや間違いないよね?こんな事するって…
フラフラと立ち上がりながらそんな事が頭を過っていた。
その時倒れている莉結の目がこちらを見ていることに気づいた。
そして落ち葉の山に投げ出された拳の親指だけがそっと持ちあがった。
…分かったよ莉結…!!
どうしてか分からない。これは幼馴染のテレパシーのようなものかもしれない。
今なら…イケる!!!