地獄のウォークラリー
先生によるウォークラリーの説明が終わった。
簡単に説明するとこうだ。
1.車が来たら避ける
2.危険な道に入らない
3.落ちている物や野生の植物等を食べない
4.変な人について行かない
5.迷ったら公衆電話か、民家で借りた電話でセンターへ連絡
6.グループのみんなとはぐれない
……大体こんな感じ。
ううぉぉぉおいっ!!!!私らは小学生か!!!
当たり前の事わざわざこの歳の子供に言う必要あるか?!
心は子供でも身体はオ・ト・ナ・だ・ぞ♪
あ、逆だ。
身体は子供でも心はオトナ?ん?
まぁどっちでもいいや。
とりあえずそんな事言われなくても理解できてる歳だってことを私は言いたかった!!
その前にここに来る途中公衆電話どころか民家すら見なかったのに…ウォークラリーコースにはあるのだろうか…
たぶんみんな携帯くらい持ってますよ?先生…
「ってアレ?みんなは…?」
『衣瑠がブツブツ言いながらなんか考えてる間に出発したよ♪』
「え?」
ブツブツ言ってたの?!無意識っ!!!
うわっ、ちょー恥ずかしっっ!!!!
『さっ私らはマイペースマイペース♪』
『よろしくお願いします。』
ちなみに炊飯棟と一緒の女子メンバーだ。
改めて説明するとイインチョーことほのかさん。
それと隣の席の千優さんだ。
何故か男子が居ないというのは、ほのかさんの計らいだ。
"こういう時は思春期の男子なんか居ない方が楽しいの!"らしい。
というわけで少し遅れてウォークラリーがスタートしたんだけど…
食べ過ぎで歩きたくない。
そして千優さんは既に疲れている。
ってなんで?!まだ10分も歩いてないけど?!
莉結とほのかさんは異常にルンルンしてるし…
「ねぇもうちょっとペース落とさない?」
『えぇー?スタート出遅れてるんだから急がないと1番になれないよ?衣瑠ちゃんもう疲れたのぉー??』
いや、別に私は1番を目指してはない訳で…
「え?なんか1番になるとなんかあるの??」
『地位と名誉が手に入るわ♪』
入んねー。こんな事で手に入った地位と名誉って一体…
「…千優さんも辛そうだしさ?私もお腹が一杯で…」
『えぇー?衣瑠はそんな食べてないじゃん!!それにこんないい景色なんだからもっと早く歩かないと!!』
あぁ…"そんな食べてない"ね。莉結と比べたらそうなるわ。
それよりも"景色がいい=早く歩く"が理解できないケド。
『うわぁーー♪山だよー♪ねぇ!衣瑠!山っ!!』
「山だね。って、凄ーーっ♪」
森林の木漏れ日の先に見えたのは"あの丘"で見たよりも壮大な山々の景色だった。
遠くに見える大きな山々の山頂付近には、粉砂糖のように真っ白な雪がトッピングされていた。
空気を吸い込む。
ふぅー…
街中とは比べ物にならないくらい澄んだ新鮮な空気が肺いっぱいに溶け込んできた。
「あぁー気もちぃー♪」
『なんか今の衣瑠ちゃんセクシー♪』
どこが?!
『あっ!あそこが第1チェックポイントの夫婦岩だね!』
チェックポイントなんてあるのか。
莉結の指先の方には大きな2つの岩が絶壁にそり出していた。
『凄いね!なんでこんな大きいのに崩れないんだろうね。』
確かに凄いなぁ。何トンあるんだろう。
『それは巨大な岩石のほんの一部が突起しているだけ…だからじゃないですか?』
「ほぉー♪千優さん頭いい!!」
『へぇー♪じゃぁこの山もおっきな岩石なの?』
『それはちょっ…と分かりませんが、山というもの自体が隆起して出来たものですからそ…うかもしれないですね。(ハァハァ…)』
大丈夫…?笑
ゴールできる?…
夫婦岩の真下に到着すると小さな机にメモが置いてあった。




