妄想…
『うわっ♪ひっろぉーーーい♪ログハウスみたぁーい♪』
やっぱり子供だな…笑
「莉結…みんな見てるよ。もうちょっと静かに…」
『いいじゃん♪今日は一生に一度の林間学校1日目なんだよ?遠慮してたら後悔しちゃうよっ♪』
そっか。たしかにそうかもね。
私も"男の時"に毎日後悔のない日を過ごしていれば良かったと思う。
まぁそんな深い意味で言ったんじゃないと思うけど。
「そうだね。その意見賛成♪私も今の身体を楽しまないと♪」
『"今の身体"って変な意味で言ってない?』
「べ、別にそんな意味ないよ!!もう!」
そんなことをしている間に他の女の子たちは大浴場へ向かっていった。
よくよく考えると、莉結と2人だけで風呂入れて本当に良かったぁ…
あんなたくさんの女子の中で風呂なんて…
考えたぢゃだけで恥ずかしくなる。
そして部屋にはいつのまにか2人っきりになっていた。
『なんか寂しくなっちゃったね…』
「まぁみんなすぐ戻ってくるよ!」
莉結が窓の外を見て言う。
『何にもないっていうのもたまにはいいよね♪』
「そうだねー♪ ホント…いつもの"当たり前"がなくなるだけでこんなにも変わっちゃうんだもんね。」
『ふふ♪最近の"衣瑠"はホントに女の子らしくなってきたよね♪』
「え?んまぁ…女の子らしくしなきゃって思ってるのが大きいけど…やっぱり身体が女の子だと言葉遣いとか身振りが自然とそうなってくんだよねぇ…」
『私よりも女の子らしいんじゃない?笑』
「そ、そんなことないし!!莉結は女の子の中でも女の子らしくて可愛いって!!」
『えっ?あ、ありがとぉ…』
そんな風に言われるとなんか…恥ずかしい事言っちゃったみたいになるじゃんか。
『衣瑠がもし小さい頃から女の子だったら超可愛かっただろうなぁー♪んふふ♪妄想だけで可愛い♪』
…
なにニヤついてんだよ?笑
「そう?けど莉結が小さい頃は純粋で何でもかんでも一生懸命で超可愛かったよ。笑」
『"今も"でしょ?(笑)あー…見たかったなぁ!小さい頃の"衣瑠ちゃん"♪』
「あはは♪なにそれ?笑」
『小さい頃から女の子だったら私たち今みたいに仲良くできてたかなぁ?』
「もちろんできてるよ。きっと私は性格もこのまんまだったろうし、頼れる人は莉結しか居なかっただろうなぁ…」
『ふーん♪それならいっか♪』
「何が?」
『べっつにぃー♪』
たまに考えてる事よくわかんないよなぁ…
と、その時。
"トントントントンッ…"
突如屋根から奇妙な音が…
『きゃっ!!』
ふわっとシャンプーの香りがすると同時に胸に莉結が飛び込んできた。
『え?なになになになになに?!ねぇ!衣瑠っ!』
そんな怖がらなくてもいいのに。笑
「どうせムササビかリスだよ。ふふ♪意外と可愛いとこあるよね♪笑」
『意外とってなによ!!ホントにリスとかなの?』
「だからそうだよっ♪ホントにっ…ほらっヨシヨシ♪」
少しからかってやろうと思い、
胸下辺りにしがみついている莉結の頭を撫でてやる。
『えっ?…』
莉結はそう言うと顔を火照らせ、斜め下へ伏し目になった。
な、なんだよその反応…
なななんか"イケナイコト"しちゃったみたいじゃんか!!!
莉結の思わぬ反応に、逆に戸惑ってしまった。
なんか変な雰囲気っ…
その瞬間莉結と目が合った…
視線を逸らせない…
心臓の鼓動がどんどん高くなっていく。
そして見えない磁石でもあるかのように、
勝手に2人の距離が少しずつ縮まっていく…
あ…もう…キス…しちゃう…。