がーるずとーく?
『じゃぁ、莉結ちゃんは好きな人とかいるの?やっぱり瑠衣くん??というかもう付き合ってたりするの??』
急に莉結の顔が赤くなる。
怒ったのか?!
『そ、そんなんじゃないよ!瑠衣は確かに美形で、カッコよかったし性格もまぁまぁ悪くないケド…私は男の人苦手だからさっ…』
『いやぁー♪男子にモテモテのクセに素晴らしいねっ♪私と気が合いそうだ!(笑)』
『そーゆー委員長は?』
『わ、私は別にいいじゃない!好きな人なんていないわっ!!…ウソ!いるけど言えないわ!!』
どんだけ正直なんだこの人は。
『ちなみに衣瑠ちゃんは??転校してきたばっかだしいないか?ロクな男子いないしね!』
男子かわいそうだな…
「私は…」
莉結に目をやる。
まだ赤さがひかない顔の潤んだ瞳と目が合う。
「転校してきたばっかだし、男の人はまっっったく興味ありません!」
『えぇ?!そうなの?もしかして…』
言いたいことは分かる。
まぁ俺たちの受け答え聞くとそうなるか。
「別にそんなんじゃないよ。悪いこととも思わないけど。」
ほのかさんと千優さんがドキッとした表情で固まった。
『衣瑠!!なんか勘違いしてるよ!!』
莉結が慌てて言った。
「そう思われてた方が逆にめんどくさくないかもな。」
そう。男子に異性として見られるのはちょっとな…
気まずくなったのか、ほのかさんは
急に"パチン"と手を鳴らし話題を変えてきた。
『そ、そう言えばさっ、衣瑠ちゃん!!瑠衣くんっていつ頃退院できそうなのっ??』
瑠衣?
「え?!あ、あぁ。瑠衣…か。」
ふと気付かされた"現実"が重くのしかかる。
そういえば"瑠衣"はもう戻ってこないんだ…
俺は…"私"は衣瑠…
2度と戻ることないんだろうか。
違う。これが"本来の自分"あるべき姿なんだ。
ぐるぐると頭の中に"何か"が渦巻いていく。
『あれ?ごめん。聞かないほうがよかった…かな?』
「あっ、ごめんごめん!瑠衣は大丈夫!!きっとすぐ良くなって…」
その瞬間喉が詰まり目から大粒の涙が溢れ出てきた。
「ごめん!トイレ!!」
そう言ってその場を走って離れる。
その時、改めて自分が"この件について"しっかりと気持ちの整理ができていないんだと知った。
次々と溢れ出る涙を空へ撒き散らし、夕暮れの中を走った。
俺は先程莉結と座っていた丘に来ていた。
なんで俺、飛び出して来ちゃったんだろ。
だけど、今は誰とも話したくないな。
水平線に輝く夕陽が黄金色に輝き辺りを金色に染めていた。




